私の進むべき道はどうしてこんな目に遭わなくちゃいけないんだろう。
私はいつだって良い子にしてきた。
小さな頃から素直で、反抗らしい反抗はしたことがない。
親や先生の言いつけは必ず守った。
中学だってママが望んだから友達が誰も行かない私立の進学校に進んだ。
ママはいつも言っていた。
『今は辛いかもしれないけど、将来きっと麻琴のためになるわ』
私はママを信じた。
ママは厳しいけどいつも私のことを第一に考えてくれていた。だから、ママが導いてくれれば絶対上手く行く。
そのはずだったのに……。
「穂風さん?」
「え?」
名前を呼ばれて、我に返った。
目の前には無人の教卓、そして階段状に机が並んでいる。大学の教室のような場所だ。
いや、実際ここは教室なのだ。
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