その日。オーレリアに呼び出され、散々こき使われていたクロウだったが、駄賃は弾むと言われた通り、かなりの額の入った袋を渡され。今日はウマイ飯が食えそうだな、とニヤニヤしながら外に出るため廊下を歩いていた。
時刻は夕方。既に日も落ちかけていて、生徒たちもみな部活は切り上げ、寮へと戻ったらしく。しんと静まり返った中を歩きながら、誰もいない校舎ってのはなんでこんなに不気味なんだろうな、と考えていたのだが、突然声をかけられて驚いて振り返れば、そこに居たのはワーカホリック気味の後輩だった。
「あれ、クロウ? こんな時間にどうしたんだ?」
「おわ、びっくりした。……なんだ、リィンか。お前こそこんな時間まで仕事か? ご苦労なこったな」
1700