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    ni0407

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    ni0407

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    ヤンデレ乙に監禁されるさとる先生の話の導入部。
    書きかけです。そのうち卑猥なことになるかもしれない。

    さとる先生①




    『さとる先生』はきれいな人だった。
     白い髪は僕のまわりのだれとも違っていて、長い手足は見とれてしまうくらいにすらりと伸びていた。
     いつもサングラスをかけているからよく見えなかったけれど、一度だけ見せてくれた目はどこまでも広がる空みたいに蒼く澄んでいたっけ。
    「キレイです」って伝えたら「みんなには内緒だよ」だなんて言って、先生は人差し指を口に押し当ててみせた。その顔を僕は今でも覚えている。
     いいや、『覚えている』とは違う。忘れられるはずなどない。
     だって、あれが僕の初恋だ。
     さとる先生は高校生で、あの頃はバイトで僕の家庭教師の先生をしてくれていた。
     そうは言っても別に勉強を見てくれるわけじゃなくて、時間いっぱいベッドでごろごろしたり、一緒に本を読んだり、話をしたりするだけだ。ただお母さんが部屋に来る時だけはふたりして体裁を取り繕って勉強しているふりをした。そういう時、僕は罪悪感で胸がちくちくとしたけれど、さとる先生は気にもしていないようだった。
     先生なのにそれでいいの? と一度だけ聞いたことがあるけれど、先生は「憂太が成績を落とさなければいいでしょ」とあっけらかんと言い放つものだから、そういうものなのかと思った。
     だから僕は勉強を頑張った。
     先生と会えた時にたくさん遊んでたくさん話ができるように、週に2回だけのその時間のために、僕は毎日頑張った。
     僕にとってさとる先生との時間はデザートとかお菓子とかと同じような、ご褒美の時間だったのだ。
     会えると嬉しくて、ずっと話していたくて。
     さよならするのは悲しくて。
     あの頃の僕は学校でも家でもずっとさとる先生のことばかり考えていたように思う。
     だから、先生が何も言わずに家に来なくなった時にはショックだった。
     悲しくて、悲しくて、たくさん泣いた。
     さよならすらも言ってくれないなんてと思うと涙が溢れて止まらなかった。しばらく後になって、先生にその程度にしか思われていなかったのだと、そういう事実に気がづいて腹が立った。


     悲しみは、怒りは。
     流れていく時間の中で執着へと変わる。


     あれから10年だ。もう小さな子供ではない。
     今の僕は、欲しいものは自分で手に入れなければならないことを知っている。
     手段は学んだ。立ち回りを覚えた。
     でも、決して傷つけたいわけではない。
     だから、真綿でくるむようにやさしく囲い込み、有無も言わせず押し込めて、あなたに似合う籠の中で僕のことを見ていてほしい、と。


    ───そう、思うんです。


     言うと、さとる先生の表情が硬くなるのがわかった。













     街中で白い髪はよく目立つ。
     僕が見間違えるはずもない。

    「久しぶりですね、さとる先生」
    「ひょっとして、憂太?」

     再開は本当に偶然だったのだ。
     声をかけた時、先生は嬉しそうだった。でも話していくうちに喜色は薄れ、感情の消えた表情になってくる。
     何年ぶりかなとか背が高くなったねとか、そういうどうでもいい話には無防備に笑っていたのに、僕が話をしはじめると変わってしまう。
     どうしてかはわからない。
     それがあの頃とは違うのだと突きつけられているようで寂しくも思うけれど。
     でも、先生のそういう顔を見るの初めてだから、少しドキドキしてしまう。僕の見たことない表情を先生はきっとたくさんもっているのだろう。
     それらのひとつひとつを、ぜんぶ僕のものにしてしまいたいと思うのだ。
     焦る必要なんてない。時間がかかったってかまわない。
     だから、

    「ねえ、先生。
     ずっと一緒にいましょうね?」

     言って、さとる先生の手に指を絡める。
     先生は少し戸惑ったようだけど、抗ったりすることもなく、ついてきてくれた。それって僕のこと受け入れてくれているってことでしょう?
     さとる先生と手を繋いで歩く道はいつもの道とは違って見えるから不思議だ。やっぱり僕はまだ、さとる先生のことが好きなんだと思う。そうじゃないならこんなにドキドキするわけがないのだ。
     僕は嬉しくて、そのまま先生を僕の家まで案内してしまう。
     鍵を開けてドアの中へ、短い廊下を進んで部屋へと入る。
     不意に気づく。
     手を繋いだままだなんて子供っぽいと思われたかな?
     だって先生は僕よりもひとまわりも年上の大人だ。子供じみたことなんて嫌だったかもしれない。嫌じゃなくても、呆れられてしまっていたらどうしよう。
     不安になって振り返る。
     でも、なんて声をかけていいのかわからなくなって、振り向いたままで僕は止まってしまう。
    「……ゆうた」
     先に口を開いたのは先生だった。「はい」と返事をしながら考える。
     僕ってだめだな、もっとちゃんとしなきゃいけない。言葉にしなければ、伝わないのだ。
    「ここは?」
    「ここは僕の家です。それから、ええと、今日から……その、僕と先生との家でもあります」
     照れてしまって、少し吃ってしまったけれど、意味はきちんと伝わったようだった。
     初めにちゃんと説明をしておかないと先生も困ってしまうだろう。
     それから不安にさせてはいけないだろうと笑顔を作ると、時間を開けてではあったけれど少しだけ先生も笑ってくれた。
     多分、承諾してくれたということだ。
     なんてことだろう。先生とふたりでの生活なんて夢みたいだ。

    「うれしいです」

     そう伝えた時に視線が合わなかったことだけが、幸せな今日の一日の中で少しだけ不満に思うことだった。
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