リップクリームの行方 今日も厳しい補講を乗り越えた轟と爆豪。そしてそれを見守っていたオールマイト。
専用バスの広い座席にオールマイトを挟むように、爆豪と轟がオールマイトの隣にそれぞれ座り、帰りのバスに揺られていた。
オールマイトと轟は、いつものように和やかに話をしている。
そんな中、オールマイトが何かに気づいたように言った。
「おや轟少年、唇が少し乾燥しているんじゃないかい?」
「そう、ですか?」
爆豪は聞こえてくる会話に興味が無く、窓の外を見ていた。
轟は舌を出し、唇を舐めようとする。
「舐めると余計に荒れてしまうよ」
やんわりと轟の行動を止めるオールマイト。
「ちょっと待ってね」
そう言って、オールマイトはポケットを探り始めた。
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