リョフアダ「…ぉ、これなんか、アダムに似合いそ…。いや、でもバレたら、氷漬けにされちまうな。……諦めるか」
「何を諦めるんだ、リョーフキー?」
アダムに似合うだろうと思ってこっそりと集めていたコスプレ衣裳を眺めていたところ、いつの間にやら本人のご登場にビクっと肩を跳ねさせては、慌てて手を大きく広げて、隠す。
「…ノックは一応したんだが、返事がなかったものでな」
何故ここに、という俺の表情を読み取ったのか、アダムは先程した質問の返事をする前に告げた。
「…あ、嗚呼、そうだったんだな。悪いな、気づかなくって」
謝りつつも、そそくさと衣裳を片す。どれもこれもコスプレ衣裳ではあったが、見た目は普通のものもあった為、アダムに際どい衣裳が見つかってしまう前に片してしまえば問題はないと思ったのだ。
「ん…どうやら、邪魔してしまったようだな。出直したほうがいいか?」
「そんなことねぇよ。ちょっとばかり、待っててくれ、アダム」
邪魔だなんて思うはずがない。寧ろ、嬉しいという迄ある。突然ではあるが、恋人の訪問に喜ばないやつが何処にいようか。
「…ぉし、終わった。待たせて悪かったな…んで、お前はどうしてここに?」
やはり今日のサボっていたことがバレたのだろうか、それとも報告書を遅れてだしたことを怒りにきたのだろうか。考えれば考えるほど、色々と自分の問題点が浮かんできてキリがない。
「別にどうもしない。…お前に会いにきた、それだけじゃダメか?」
「んん"…」
ぅ、俺の恋人が可愛い。会いにきた、だと……可愛さのあまり、思わず咳き込む。
いつからこんなに素直になったんだろう。
確かに、アダムは遠征に行ってたり、俺も入れ違いで遠征に行ったりと会えないときが多かった。だが、まさか騎士団長様も自分と同じように寂しいと思ってくれていたなんて、信じられない。
「最近、会えてなかったもんな…アダムも寂しいとか思ってくれてたとは、俺、すげー感激……」
「…寂しいとまでは言ってない」
出てくる言葉は毒舌であったが、行動はそれとは真逆で、こて、と俺に寄り添ってくる。
ちらり、と視線を投げれば、自然とあい、そのまま流れるように軽く口付けた。
久しぶりのキスは、とても幸せな味がした。
「…ふ、好きだぜ、アダム」
「嗚呼、知ってる」
なかなか好きを返してくれないが、俺が好きといえば見せてくれる、この照れた表情が俺は好きだった。もともと色の白い肌をしているアダムの頬がほんのりと色をもつ瞬間は、俺の中で何かくるものがある。
暫く、その表情を見つめていたが、再び口付けたくなりキスをする。それに応えるようにアダムの腕が俺の首に回されたのが分かれば、角度を変えてまた口付けた。