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    🐯君と🐁君の狼煙での初遭遇の様子を妄想しました😊

    🐯こたコンタクト🐁公立狼煙高等学校。
    山手のお寺のような校舎に壊れた仏像が不気味に佇む、そこだけ時間が巻き戻ったような場所。

    数ある有名な不良学校の中でも、一際治安が悪い事で有名なこの学校にオレ、根津浩臣は通学している。

    決して喧嘩が得意とは言えないオレがこの高校を志した理由は、不良漫画のような《最強の不良になる為》ではもちろんない。

    1年前に一足先に別の高校に進学した恋人と同じ高校に行きたかったが、成績が届かずにこの狼煙高を受ける事になったのだ。

    別の高校に通う事になったとはいえ、恋人にはオレが中学生の時点で会う機会はあるし、ここに入ってからの友人も出来た。入学してからここまでの1年以上、大きないさかいに巻き込まれる事も無く無事に過ごす事が出来ている。正直、自分は恵まれている方だと思う。

    だが、どんなに気を配り、争いを避けるようにしていたとしてもここは不良の集う高校。完全な平穏などただの見せかけでしかない。

    🐁「ヒイィィィッ」

    まさか、自分が少年漫画の1話の主人公みたいに大量の不良に追いかけ回されるハメになるとは思いもしなかった。

    読者として読むのは手に汗握るが、自分がその状況に置かれるのは手に汗どころではない。全身からイヤな汗が噴き出している。

    その上、オレが逃げた方向は丁度校舎裏…、建物と高い金網フェンスで囲まれた出入り口の存在しない場所であった事に入り込んでから気がついてしまった。

    そう、所謂…、《袋のネズミ》というヤツである。

    来た道を戻ろうにも、大人数の不良で埋め尽くされた道を1人で突破など出来るはずがない。

    オレの目の前まで迫った不良の1人が襟首を掴もうとした次の瞬間、不良の身体がくの字に折れ曲がり勢いよくフェンスに叩きつけられる。

    太古の生き物を封入した琥珀のような綺麗なオレンジの髪の少年は、オレに掴みかかろうとした不良に真横から飛び蹴りを食らわし、一発で意識を刈り取ってしまった。

    完全な不意打ちを食らう形になり思考が停止した不良達に、少年は容赦無く攻撃を加える。

    小柄な身体から繰り出されるとは思えない蹴り技はもちろん見事だが、鼻やアゴ、後頭部など狙う場所に慈悲が無い。喧嘩に慣れているというよりは、【殺さない暗殺】者といった方が適切な気すらする。

    あまりに一方的な蹂躙と息を切らす様子すらない少年の様子に、不良達の側に恐怖が伝線していた。

    クモの子を散らすように逃げていく不良達の背中を少年は追わず、

    🐯『あれ〜、もう逃げちゃうんだおれまだまだやれるのにな〜…。』

    とつまらなそうに呟いていた。正直、今の一言を聞いただけでオレは小便をチビりそうだった。耐え切ってくれた膀胱には感謝しかない。

    🐯『君大丈夫怪我とかしてない』

    オレの心情など全く気にもとめていない様子で、振り向いた少年は尋ねてくる。その表情には、先程の暗殺者のような冷たい色はみられない。

    🐁「あ…、あぁ…、ありがとう。助かったよ…。あのままだったらオレ、大怪我してかもだし。」

    🐯『だろうね〜。あいつら、かなりの荒くれ者みたいだったし、武器とか危ないものも持ってたみたいだから。』

    あっさりと恐ろしい事実を突きつけてくる少年に背筋が凍る。不良達の危険性もそうだが、この少年はそんな集団を1人で撃退してしまった。

    その牙がオレに向かないとは限らない。

    🐯『あ安心しておれは君に蹴りかかったりしないよだっておれ、君の事大好きだもん』

    🐁「へ…」

    オレに危害を加える気が無いと自ら表明してもらえるのはありがたいが、その次の言葉の理解が追いつかない。

    オレがこの少年と会うのはこれが初めてなはずだ。

    🐯『えっとね…。おれ、入学式で君の事見かけて…、一目惚れで好きになりました』

    未だに理解が追いつかない頭に追い打ちをかけるかのように、告白までされてしまった…。

    🐯『でも、君はまだおれの事よく知らないだろうから返事はまだ先で大丈夫』

    この時点で断るという選択肢は潰された。いや…、即答で断る胆力はそもそもオレには無いが…。

    🐯『おれ、茶山虎太よろしくね』

    まるで太陽のような笑顔と共に差し出された手を握り返す。

    🐁「根津…、浩臣だ…。こちらこそ、よろしく…。」

    🐯『浩臣君…、ヒロ君だねおれ、ヒロ君がおれの事好きになってくれるように頑張るから待ってて♪』

    おれの手を力強く握る虎太の顔には人懐っこい笑顔が浮かんでいて、同性であるオレですらドキリとしてしまうくらい眩しく感じる。

    本当に、先程と同じ人物なのだろうか…

    これが、学校生活どころか大人になってからも続く茶山虎太という少年とオレとのファーストコンタクトの瞬間だった。
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