思い出と初体験 「……」
「ナスカ?食べないのか?」
「…ナイヴス、これはどうやって食べればいいの?」
何を頼めばいいか分からなく、ナイヴスと一緒でいいと頼んだものの食べたことのないものが運ばれてきて動揺を隠しきれないナスカ。困った様子のナスカにナイヴスは笑みを浮かべるとハンバーガーを手に取り勢いよく齧り付いた。
「!?」
「こうやって食べるものなんだ」
「そう…なんだ、こう…?」
言われるがまま倣って食べてみると口元にソースが付くが肉の厚みやソース、そしてバンズの組み合わせがナスカの瞳に光を宿す。
「…お、美味しい!こんなに美味しいのはじめて食べたよ…!」
「本当、ナスカってこれまで何を食べたたんだって思わせられるな。」
「ご、ごめん…?」
「いや、謝るようなことじゃないさ。…美味しいならよかった、ほらソースが付いてる」
「う、ごめん…」
布巾でナイヴスに拭われ恥ずかしさのあまり顔を赤らめるナスカだなそんなナスカに愛おしげにナイヴスは笑みを浮かべるばかり。
「謝る必要はない。…俺はナスカのそういうところ、可愛いと思うしな」
「えっ!」
「わ、悪い…気を悪くさせたか…?」
ぶんぶんと首を横に振ると柔らかくナスカは笑う。
「そうじゃなくて…嬉しい。嬉しかったんだ。…ナイヴスに出会えてよかった、ナイヴスに出会えたなかったら今、私が好きなことも知らないままだった。ありがとう、ナイヴス」
「まだまだ…足りない」
「え?」
「こんなもんじゃない。俺はもっとナスカを幸せにしたいよ」
「ナイヴス…」
ナイヴスのその言葉にじーんとなってしまったナスカを思わずナイヴスを見つめ、そして思い出したかのようにハンバーガーを齧る。
「…美味しい、美味しいよナイヴス」
「ああ、俺もだ」
にこにこと笑い合ってナスカにとっては初体験の味を好みの思い出と共に刻み込む。今度、レシピを探して家でも作ってみようかなと密かに考えるナスカだった。
-Fin-