純白なる君 賞金首を運んでもらい終え仕事を終えたナスカとナイヴス。そして帰り道、ナスカはぴたりと足を止めた。
「ナスカ…?」
振り向き、ナスカへと近づく。ナスカはじっとショーウィンドウの中のマネキン、どこの誰が見てもわかるウェディングドレスを着ているマネキンをじっとナスカは見つめていた。
「…ナスカは似合うだろうな」
「えっ?」
驚いた様子でナスカはナイヴスの方を振り向く。
「似合うって…」
「もちろん、ウェディングドレスが。だけど」
「……本当にそう思う?」
「ああ、ナスカはきっと似合う」
確信してそう言えば恥ずかしそうにしたナスカは考え込む。
「似合うかな…」
「ああ、似合う」
「…ナイヴスは私を過信しすぎだと思う。私はそんなに…」
「そんなことない。ナスカは可愛いし、スタイルもいい。いつか…ナスカに着せてあげられる日が来ると思うと…嬉しいな」
「…私は、服に頓着したことなんてこれまでなかったし、動きやすいとかそういうのでしか選んでこなかったから…こういう、女の子らしいのが似合うか分からない。…でも、ナイヴスが喜ぶのなら、頑張って慣れてみたいと思う」
そう言って小さく拳を作るナスカに困ったようにナイヴスは笑う。
「俺の為、じゃなくてナスカ自身がしたいから。で、選んでくれた方が嬉しいんだけどな。まあ、それはこれからか」
そう呟きながら、ウェディングドレスを着たナスカに想いを馳せてみる。
――うん、綺麗だし…かわいい。
きっと世界で一番美しく思い出に残る日になるだろう。そう思い未来に夢見ているとナスカにくいっと袖を引っ張られる。
「ナスカ?」
「ナイヴスは、私とずっと一緒にいてくれる?」
「勿論だ。俺の未来には君が必要だ。なくてはならない。君が助けてくれた命だから君のために使いたいと思うし、自分の幸せのためにも君と幸せになりたいと思う。いつか、いつか君にプロポーズするよ。君以外と未来を共にする気は当然、ないけれど」
「…私と、だけ?」
「ああ。ナスカは?」
「私も…ナイヴスと同じ。すごく、嬉しい」
ふわ、とナスカは笑いその笑顔に堪らなくなったナイヴスは素早く唇を奪い去る。
「な、ナイヴス!」
閑散とした都市だとしても人はいるし、店も営業している。だからこそ顔を真っ赤にしてナスカは反抗するがそれにナイヴスは嬉しそうに笑うばかり。
「もう、早く帰ろう!ナイヴス」
ぐっと手を引かれそれに笑いながらナイヴスはついていく。
――心根が純白な君。そんな君が純白の衣を纏う時が楽しみだな。
なんてことを口の中に眠らせながらそっとナイヴスは口角を上げた。
-Fin-