ヒュンケル〜狼煙剣術の修行中、唐突にミストバーンが視界の隅に現れたが、ヒュンケルは動揺を見せず飽くことなく剣を振るい続けた。
父バルドスと死に別れ、アバンと共に暮らし、そしてミストバーンに師事して、幾年たっただろうか。
生年もあやふやな孤児の身だが、確か10歳にはなるはずだ。
俺はアバンの元にいた時より強くなった。今の強さがあの時あれば父をムザムザと死なせなかったものを、とギリリと奥歯を噛みしめるヒュンケルを見てミストバーンが僅かに左手を上げる。剣術の稽古を終えろ、という合図だ。
剣を収めて流れ落ちる汗も拭かずに師の元へ歩む。
次は暗黒闘気の修行だろうか?
直接指導するのは珍しい、とヒュンケルは無表情のまま師を見る。
無口で知られたミストバーンだが、流石に修行や学問については直接指示をするか教師役の魔族に指導させていた。
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