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    下町小劇場・芳流

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    ⑸2021.12.11「不死身の長兄」web拍手お礼画面⑤
    竜騎衆戦

    #ダイの大冒険
    daiNoDaiboken
    #ポップ
    pop
    #ヒュンケル
    hewlett-packard
    #不死身の長兄
    immortalEldestBrother

    2021.12.11「不死身の長兄」web拍手お礼画面⑤ 激闘の果て、ヒュンケルは、敵だったはずの男から、新しい鎧を譲り受けた。
     俺の目の前で、ヒュンケルは、その受け取ったばかりの鎧の魔槍を身にまとうと、跪き、元の持ち主の手を取った。もう、力の入っていないその手を、そいつの胸の上に置き、組んでやっていた。
     そうして、ヒュンケルは、胸に軽く手を当てると、そいつの前で頭を垂れた。哀悼の意の表明だった。俺も、その背後で、ヒュンケルに倣い、その敵だったはずの男、ラーハルトに頭を下げた。その死を悼む意味を込めて。
     少しして、ヒュンケルは、立ち上がると俺に近づき、いきなり俺の腕を取った。
    「な、なにすんだよ!」
    「ひとりでは歩けないだろう。肩を貸す。」
    「ケッ、冗談じゃねえよ、気持ち悪ぃ。」
     俺は悪態をついて、体を引こうとしたが、体力全開のときだって、こいつの腕力にかなうはずがない。俺はあっさりと、腕を取られ、肩を支えられてしまった。間近に、いけ好かねえ兄弟子の横顔が見えた。
     俺は、顔をそむけた。
     すると、後ろから、ヒュンケルの声が聞こえた。
    「無理をするな。お前が言葉以上に衰弱していることはわかっている。
    それに・・・お前の持っている情報を聞きたい。いま、ダイは、どんな状況にあるんだ?記憶を消されたとはいったい、どういうことだ?」
     俺は逆に聞き返した。
    「おめぇこそ、なんで、いまここに現れたんだよ。鬼岩城を追いかけていったんじゃなかったのか?」
    「そのことも説明する。おそらく、俺とお前の持っている情報を合わせる必要がある。特に、バランに関してはな。」
    「・・・バラン・・・。」
     その名前に、俺は肝が冷えるのを感じた。
    「超竜軍団長だ。
     会ったんだな?」
     ヒュンケルが、質問というか、確認のように尋ねてきた。
     俺はうなずいた。
    「ああ・・・。とんでもねえ奴だった。それに、いまは先に行かれちまっている。」
    「急ごう。」
     俺は、再度同じことを尋ねた。まだ答えをもらっていなかった。
    「だから、なんでおめぇがここにいるんだよ。」
    「・・・鬼岩城を追いかけていった中で、バランが、ダイとつながりがあるのではないかと思うことがあった。そこで、急いでパプニカに戻ろうとしたのだが、ベンガーナで情報を集めていたときにヒドラの襲撃のことを聞いた。
     その上で、今日もドラゴンの襲撃があったと聞いた。俺がその方向に向かって走っていたらお前を見つけた。
     たまたまだ。」
    「・・・たまたま、ね。」
     俺は、ぼやいた。その偶然で、俺は命拾いしたということか。
     すると、このいけ好かねえ兄弟子は、意外な言葉を口にした。
    「・・・悪かったな・・・。」
    「へ?」
    「・・・あれは、お前の戦いだった。」
     コイツが先ほどの、俺の、鳥野郎との戦いのことを言っていることは明らかだった。 俺はコイツがいなければ、間違いなくやられていた。俺を間一髪のことろで助けておきながら、こいつは謝罪の言葉を口にした。
     俺はむきになって反論した。
    「な、何言ってんだよ!おめぇが来なかったら、俺の首はとっくに地面に落っことされてたんだぜ!?プライドとか一対一とか、そんなの関係ねえよ!勝たなきゃ、しょうがねえじゃねえか!」
    「そうだな・・・。」
    「・・・俺一人じゃ、勝てなかったんだよ・・・。」
     俺には、それが悔しかった。
     魔界で生き抜き、軍団長にまでなったコイツに比べ、俺には戦いの経験が圧倒的に不足していた。
     俺だけでは、竜騎衆に勝てなかった。その事実が、苦く胸の中に残った。
     俺は、ちらりと横目で、兄弟子の顔を見た。相変わらず、嫌味なくらい整った面に、冷静な色を乗せている。
     一流の戦士の面持ちだった。
     俺は、唇を噛んだ。
     来てくれて、助かった。
     俺たちだけじゃ、どうしようもなかったんだ。
     おめぇが来てくれて、安心した。
     助けてくれてありがとう。
     その言葉が、口にできなかった。
     この時の俺は、まだ、この男の前で、素直な感情が現わせなかった。
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