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    mocci5udobon

    @mocci5udobon

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    mocci5udobon

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    ピクシブにあげてるシリーズ物ですが保管用にこちらにもあげることにしました。
    付き合ってる五悠。五条先生との初Hに向けて悠仁くんが斜め上に頑張る話。
    ピクシブの1〜3話までまとめてます。

    #五悠
    fiveYo

    暴走列車虎杖稽古や任務の時に汗一つかかない男のしっとりと汗ばんだ肌と、こちらを見つめる熱を帯びた視線。
    与えられる情報はあっという間に自分を追い込んでいく。

    「やば…悠仁の中気持ち良すぎ」

    そしてややかすれた吐息まじりの声がその言葉を紡いだ瞬間。
    悠仁が真っ赤な顔を更に赤く染めて息を詰めたのは羞恥からだけではない。


    (よっ…しゃあぁぁぁぁぁ!!!)


    湧き上がるのは歓喜と達成感、蘇るのは悩み試行錯誤した日々だった。








    教師と生徒だとか年の差とか性別とか諸々の壁をふっとばして悠仁と五条がお付き合いを始めたのは京都校との交流戦が始まる少し前のことだ。
    まさか叶うとは思っておらず、地下生活の間もひっそりと隠していた恋心だった。
    それがひょんなことから叶ってしまった。
    元々距離の近い二人だ。
    手をつなぐのもキスをするのも早かった。
    地下室で、五条の部屋で、ぎゅっとくっつきながら過ごす。
    悠仁の生存が明らかになってからは二人の任務の合間をぬってデートを重ねた。
    とは言っても五条の忙しさは相変わらずなので、デートと言ってもほんの短時間なことが多かったがそれでも嬉しかった。
    少しずつ、少しずつ二人の仲は進んでいく。
    手をつなぎ、キスをして、デートを重ねて。
    そうすると次なる目標はただ一つ。
    セックスが、したい。
    悠仁はまだ誰ともそういったことをしたことがない。そもそも五条が初めての恋人である。
    初めての恋人に初めてのセックスという未知の領域に考え出すとソワソワと落ち着かなくなってしまう。

    (初えっちて、どんな感じなんかな…ん?てかそもそも俺と先生ってえっちできるん?)

    虎杖悠仁、15歳。
    色々と興味津々なお年頃である。
    気になりだしたら調べるのも早かった。

    『男同士 セックス』

    寮の自室のベッドの上でぽちぽちと文字を打ち込めば、スマホは何でも教えてくれる。
    ずらりと並ぶ検索結果を次々と読み進め、

    「マジで!?」

    思わず大声で叫んでしまった。
    間髪いれずに隣室からドン!という音が響く。
    伏黒がおこである。
    手のひらで口元を覆いながら目はスマホの画面に釘付けだ。

    (ああああなるせっくす…)

    尻の穴にアレをインする。
    未知の世界だ。
    ひょえーとなりながらも指は止まらない。画面をスクロールし、一通り目を通したら次のサイトへ。
    そうして男性同士のあれそれについてふんわりと知識を仕入れた後、首をひねる。

    (待った。どっちがどっちだ!?)

    挿入する側とされる側。
    今しがた見たサイトによると、男性同士の場合役割を固定しない場合も多いらしい。

    だがしかし。
    自分が五条を押し倒しアレソレする絵面がまったくもって想像できない。
    何せ最強の男である。家入からちらりと聞いた話によると、過去には数々の武勇伝(黒歴史ともいう)を持つらしいし。
    そっち系の経験は相当豊富であろう。
    そのレベル99のボスキャラに、未経験の村人Aが果たして勝てるのか。答えは否。まず確実に勝負にならない。

    (となると俺が挿れられる側ってことだよな)

    自分の尻に五条のアレが。入るだろうか。直接見たことはないがあの巨躯である。それはそれはご立派であろう。
    うっすら想像してしまい頬に熱がこもる。

    五条は自分相手にその気になってくれるだろうか。

    ふいに13という年の差が頭を過る。あんなにちゃらんぽらんに見えるが、一応自分たちの担任教師なのだ。
    付き合うのはOKでもセックスはダメとかだったらどうしよう。
    この悩みを伏黒と釘崎が聞いたのであれば。教師の自覚のあるちゃんとした大人はそもそも15歳の教え子と交際しないと教えてくれただろうが、生憎今の悠仁には届いていない。
    また壁ドンされぬよう静かに頭を悩ませていると、コンコンと自室のドアがノックされた。

    「はいはーい」

    ひょいとベッドを降りて玄関に向かうと、開けたドアの先にいたのは今しがた頭に浮かんでいた人物で。

    「やっほーゆーじ!ただいま。」
    「五条先生!おかえり!出張もう終わったん?」
    「うん、たいしたことない内容だったしね。巻きで終わらせてトンで帰ってきちゃった!」

    にっこり笑って答える五条に何となくうなだれる伊地知の姿がちらつくが、数週間前から出張に出張を重ねて各地を転々としていたその忙しさを思うとしょうがないなという気持ちが勝ってしまう。

    「もう…あんまり伊地知さん困らせたらいかんよ。でも、お疲れさま、先生。」

    はにかみ目の前にある上着の裾をきゅっと掴むと五条も微笑みを返しながらずいとその体を室内に滑り込ませてきた。
    五条の背後でドアが閉まる。

    「ほんとは報告書提出する前にちょっとだけ顔が見れたらと思っただけなんだけどね」

    すり、と頬に手が添えられ上を向かされる。

    「隣に恵いるでしょ。しー、だよ、悠仁。」

    潜められた言葉の終わりと共に目隠しをずらした顔面が降りてくる。
    悠仁も目を閉じて大人しくその唇を受け入れた。
    少しひんやりとした、けれど滑らかな唇が二度三度と押し当てられる。唇の触れ合う心地よさに思わずほうと息を吐いた瞬間だった。
    薄く開いた唇の隙間からぬるりと五条の舌が滑り込んできたのだ。
    触れ合うキスはもう何度もしたことがあるが、実はディープなキスはこれが初めてだ。
    優しく舌を絡めとられ擦り合わされると悠仁の背中をぞくりとした感覚が駆け抜けた。

    「ふっ、は…」

    どれくらいそうされていたのか正確な時間はわからないが、きっとそう長くはなかっただろう。
    それでも唇が離れた時にはもう息も絶え絶えだった。
    無意識に詰めていた息を吐き出し、涙目になりながら五条を見上げるとじっと自分を見つめる瞳とかち合う。
    青い瞳は今までに見たことがないくらい熱を湛えていた。

    (うわ、これは)

    五条が、自分に興奮してくれている。
    いくら経験のない悠仁でもわかる。それくらい五条の瞳は雄弁に語っていた。

    「ごめんね、びっくりした?」
    「びっくりした…けど、嬉しかった」
    「ふふ、正直でよろしい。」

    ふと五条の瞳が和らいだかと思うと大きな手のひらでくしゃりと頭を撫でられた。

    「この報告書出したら学長のとこ行かなきゃなんだ。ゆっくりできなくてごめんね。また後で連絡するから。」

    最後にポンと一撫でして、踵を返した五条はドアの向こうに消えていった。
    その姿を見送りたっぷり5分は固まった後、ようやく体を動かすことができた。
    ずりずりと足を引きずるようにしてベッドに身を投げる。
    思い返すのは当然先ほどの五条だ。

    「すごかった…何かもう色々とすごかった」

    初めてのディープキスは刺激が強すぎたし完全なキャパオーバーだったが、ひとつはっきりしたことがある。

    (先生、俺相手にその気になってくれる!)

    目は口ほどに物を言うとは、昔の人はよく言ったものだ。
    まさしくその通り、五条の瞳はこれ以上ないくらい悠仁に対する興奮を伝えてくれていた。
    つい十数分前に浮かんだ問題は解決してしまった。
    そうなると二人のセックスへの障害は何もない。

    そもそも中学の同級生ですら早熟な子はそういった経験を済ませていたはずだ。
    放課後や休み時間の教室でひそひそと声を潜めながら、だが少し自慢げに、彼氏との初体験を語る女子を見たことがある。
    それと何が違うのだ。相手が同級生だろうと先輩だろうと、10以上年上だろうと同じことだろう。
    (条例とか法律とか難しいことはよくわからんから知らん!)

    ここは呪術界。法律などあってないようなものである。
    問題がクリアになった今、やるべきことはただひとつ。

    (男同士のえっちについて、勉強する)

    エンジンがかかった悠仁の行動は早かった。
    元々思い切りの良い性格も相まって動きに迷いがない。
    投げだしていたスマホを再び手に取り、気になることを片っ端から調べ始めた。
    五条との初セックスに向けて、己は何をすべきか。
    アナルセックスの詳しいやり方をひたすら読み込んでいく。

    (ほうほうほう、きれいにしておくのはマナー、洗浄は必須、と。そうだよなぁ、う○こするとこだもんな…)

    解説サイトにリンクされたショップに飛び、洗浄用の浣腸を数個カートにつっこむ。

    (あとは、拡張……拡張!?)

    そうだ。自分と五条の間には物理的な問題がある。
    先ほどはぼんやりと入るかな、などと考えていたが、普通に考えて村人Aの尻の穴にラスボスのラスボスが入るわけがない。

    『パートナーに拡張してもらうのも、大切なスキンシップのひとつです』

    スマホの画面に浮かぶ文字を見つめ固まることしばし。
    五条に自分の尻の穴を拡張してもらう。

    (だめだ、恥ずかしすぎる。拡張って尻の穴見られるってことだよな。しかも指とか突っ込まれるってこと?無理。ぜぇーーーったい無理。)

    セックスはしたい。でも拡張されるのは恥ずかしい。
    自分でもよくわからないがダメなものはダメなのだ。あの五条の綺麗な顔が、顔に似合わず男らしい指が、自分の尻の穴を見つめ解す様がどうしても恥ずかしい。
    理想は興奮した五条と勢いのままにベッドインして本番になだれこむこと。
    その瞬間、ピンと悠仁の頭に天啓がよぎった。


    『出会って五秒で合体!即ハメ生本番15連発!!!』


    悠仁だって年頃の男の子。好奇心の赴くままにアダルトサイトを覗いたことは数知れず。(18歳未満とか気にしない。入口の質問なんてあってないようなものだ。)

    そこで人気ランキング上位に入っていたあの動画。
    その時は「ふーん」と軽く流しながらもお世話になった。見れば見たで興奮したのだ。

    そう興奮。人気ランキング上位ならば大抵の男が好きなシチュエーションに違いない。

    これだ。この方向でいこう。
    即ハメできるレベルまで自分の体をレベルアップさせる!
    決意を新たに悠仁は必要なものを探し始めた。

    全ては大好きな彼氏との初セックスにむけて。
    走り出した虎杖悠仁は止まらない。



    *****



    自室のベッドの上。

    並べられたアダルトグッズを前に悠仁は大きく息を吐き出した。
    我ながら、なかなかに計画通りに事を運んでいるのではなかろうか。

    五条との初セックスに向けて決意を固めたあの日。


    インターネット大先生に教えを乞いながら悠仁は己がこれからすべきことを紙に書き出した。


    ・洗浄
    ・拡張
    ・腸活


    大きく分けてこの3つ。最後の一つにはぐりぐりと大きな丸をつけておいた。
    理想とする即ハメ可能なボディにするためには己の後孔を拡張しなければならない。そしてセックスの時だけでなく拡張の前にも腸内洗浄はしておいた方が良いらしい。
    更に、腸内洗浄=浣腸だと思っていたがそもそも浣腸の前に粗方すっきりしておいた方がいいそうだ。

    なるほど。そりゃそうだ。

    うんうんと頷き少し考え込む。すっきりするには下剤が手っ取り早いがその後の洗浄のことを考えるとあまり薬剤に頼りすぎるのは避けたい。
    体へのダメージもあるし、五条の忙しさには到底及ばないが自分にも任務があるのだ。
    なるべく自然な形ですっきりするには。検索に検索を重ねて辿り着いたのが腸活だった。

    腸活で有名な女性モデルのSNSを読み漁り、翌日の自炊時に仕入れた情報をフル活用した。
    食物繊維の豊富な食材に発酵食品、そして適度な水分。
    元から自炊はしていたものの、突然栄養バランスがアップしたメニューに伏黒と釘崎は首を傾げた。

    「なんでこんな栄養士監修みたいなメニューになってんの?」

    釘崎の素朴な疑問に悠仁も一瞬答えに詰まる。五条先生とのセックスのためです、なんて言えるはずもない。
    言ったら殴られる。多分、五条が。

    悠仁の生存が明らかになってから、同級生2人がやや過保護になったのは気のせいではないだろう。
    言葉にしてはっきり伝えたわけではないが、何となく五条と悠仁の関係について察している気がする。
    頭をフル回転させて言葉を絞り出す。

    「どうせ自分で作って食うなら、栄養とれた方がいいかなって」
    「ふーん。まぁあんたは殴る蹴るメインだし、体が資本だもんね。」

    釘崎はあっさり納得してくれた。タイミングの合う時はなるべく一緒に食事をとっているから、悠仁の作ったものを3人で囲むことも多い。
    釘崎にとっては栄養バランスが取れていることはプラスになりこそすれマイナスにならないからだろう。

    問題は…

    「ふ、伏黒はあんまこういう感じ好きじゃない?」

    黙ったままこちらを見つめる伏黒を恐る恐る伺う。

    「…いや、上手けりゃ問題ない。」

    何か勘づかれただろうか。内心冷や汗ダラダラだが杞憂だったようだ。
    じっとこちらに向けられていた視線が外され、何事もなかったかのように食事に口をつけ始めた。

    (あ、焦った…)

    とりあえずの難関は突破した。
    安堵と共に自分も食事を再開し、食後もわいわいと(主に悠仁と釘崎が)騒ぎながら手分けして片付けを終えた。
    解散して自室に戻り膨らんだ腹をさする。

    「はー食った食った」

    我ながらなかなか美味であった。

    (て、違ぇだろーー!!)

    危うく目的を見失うところだった。
    腸活はあくまで洗浄と拡張の前段階。
    腸活にのめりこむあまり忘れていた。

    早速スマホを開き、昨晩カートに入れっぱなしにしていた腸内洗浄用の浣腸を購入する。
    更にアナルセックス解説サイトでおすすめされていたオーガニックのローション。あとは拡張用プラグ。
    必要なものを紙に書き出しておいて良かった。
    さくさくと購入手続きを済ませる。配送先は高専近くの宅配ロッカーにしておいた。さすがにアダルトグッズを高専に直接届けてもらう勇気はない。

    続いてカレンダーアプリを開き自分と五条、そして伏黒と釘崎のスケジュールを思い出す。


    自分の任務がなくて、五条が出張中で、伏黒も釘崎も寮にいない日。
    同級生2人が無断で部屋に押し入ってくることはないだろうが、拡張デビューの日はなるべく危険要素を省きたい。


    (来週の土曜…)


    五条は出張。
    伏黒は任務。
    釘崎は真希と映画を見がてらショッピング。

    決行の日にはぴったりだ。









    そうして迎えた拡張デビューの日。
    話は冒頭に戻るわけである。

    腸活に勤しみ、任務帰りに何食わぬ顔で宅配ロッカーからブツを回収した。
    ちなみに体調はすこぶる良い。
    毎日快腸だし体が軽い。心なしか肌ツヤまで良くなってる気がする。

    「腸活すげぇな」

    それもこれも、五条との初セックスに向けて腸活に励んだ結果だろう。

    「…女の子が恋をすると綺麗になるってこういうことだったんかな」

    思わずぼそりと呟いてしまい、周りに誰もいないと分かっているのに照れてしまった。本当に誰もいなくて良かった。釘崎が聞いていたら間違いなく殴られているので。


    気を取り直し、ベッドに並べたアダルトグッズと向き合う。
    現在時刻、もうすぐ正午。
    洗浄は2時間ほど前に済ませた。アナルセックスの際、洗浄してから行為に至るまで1〜2時間空けた方が良いと解説サイトにあったのでそれに倣った。
    毎朝快腸ですっきりしているせいか、思っていた程の衝撃はなかった。
    腸活様々だ。


    洗浄が済んで、きちんと時間もおいた。次はいよいよ拡張デビューである。


    ごくりと息を飲み、目の前に並べたアダルトグッズの中からローションを手に取る。
    ベッドの上には防水シートとバスタオル。不測の事態に備える為にすぐ手の届くところにタオルケットを置いた。
    ドアの鍵もきちんと閉めた。


    準備は万端。


    部屋着のハーフパンツごと下着を下ろし足から引き抜く。ゆっくりとベッドに横たわると、溢さないように右手にローションをまとわせた。
    自分の下肢に伸ばす手が震えている。
    後ろ手に尻の合間を辿らせてようやく後孔に到達した。
    そのまま入り口(出口?)をすりすりと撫でるようにマッサージする。

    人間の尻は、入り口(便宜上こっちにする)はきつく閉ざされているがその中は意外と広がるらしい。
    だから入り口()をきちんと解せば怪我することなくセックスが出来る。

    そう、肝心なのは入り口だ。
    ここを突破せねば拡張も先へと進めない。

    解説サイトには入り口を数分マッサージすると段々解れてくるので、それから指をまずは一本。一本で慣れたら二本、指で慣れたら道具で、というように段階を踏んで拡張していくと良いとあった。

    なるべく息を止めないようにしてマッサージを続けること数分。
    もう次に進んでいいだろうか。
    円を描く動きを止め、人差し指を後孔に添える。そこからぐっと力を込めゆっくりと中に指を進め……たのだが。
    第一関節まで進めたあたりで思わず動きを止めてしまった。

    (なんか…痛い、てか苦しい…)

    後孔に埋めた人差し指はみっちりと筋肉に締め付けられていて、ローションの滑りを借りているのにそれ以上中に進めることができない。
    無理に進めようとすると中が引き攣れて痛みに体が竦んでしまう。
    指一本なら楽勝だと思っていたのに。自分の後孔の守りの固さに愕然とした。

    解説サイトの情報を思い出す。

    『指を挿れたら馴染むまで待ちます。馴染んだら円を描いて広げるように指を動かしてみましょう。初めは焦らずゆっくりと。リラックスすることが大切です。』

    リラックス、そうリラックス。焦りは禁物だ。

    (ゆっくり、ゆっくり…)

    深呼吸をして中が落ち着くのを待った。体に力を込めない様、息を吐き出すことを意識しながら指先に集中する。そーっと動かして、少しずつ指を進めていく。

    「う、ううゔ…っ」

    痛みと異物感に耐え、涙目になりながらも何とか人差し指を根元まで挿れた時。
    時計の針は13:30を過ぎていた。







    15:00。
    ベッドの上の悠仁は敗北感でいっぱいだった。
    まさか指一本であんなに手こずるなんて。腸活で完全に調子に乗っていた。
    とてもじゃないが二本目の指を挿れてみようなんて気にはなれず、あれからベッドの上を片付けてシャワーを浴びた。後孔はいまだにじんじんとした痛みを訴えている。

    (さすがに初日から道具まで挿れられるようになるとは思ってなかったけど)

    どうしよう。このままでは即ハメどころではない。
    守りが固すぎるのだ。ラスボスのラスボスだけでなく、恐らく通常サイズの中ボスでも無理だ。いや、言いすぎた。正直に白状しよう。

    (指以上のサイズが入る気がしない!)

    拡張用プラグも買ってあるが、一番小さいサイズですら入口の堅牢な守りを突破できそうにない。
    原因は恐らく筋肉ゴリラなことだ。肛門括約筋が発達しすぎている。
    体脂肪率一桁がここにきて仇となるとは盲点だった。
    じっくり拡張を続けていけばいつかはラスボスでも受け入れられるだろうか。でも一体いつまでかかる?
    とてつもなく遠い道のりに思えてならない。

    「うーん」
    (やっぱ男の体だと先生とのえっち無理なんかな)

    繋がる以外にも愛を確かめ合う方法は沢山ある。解説サイトにもそう書いてあったし、それも確かに正解なのだろう。
    けれど、どうしても。

    どうしても。

    (先生とえっちがしたい…)

    その一言に尽きる。折角好きな人と恋人同士になれたのだから、当然その先にも進みたい。

    諦めきれない気持ちを後押ししたのはメッセージの受信を告げる機械音だった。


    ぽこん、とスマホの画面に浮かんだメッセージ。送り主は(悠仁の脳内で)話題のラスボス五条である。
    慌てて画面をタップし全文に目を通すと翌週の半ばには帰れそうだが、またすぐに出張に行かなければならないこと。月末には休みが取れそうなこと。悠仁の予定が空いていれば会いたいということ。
    五条らしい、ややテンション高めな文章でつらつらつらーっと書かれた内容に思わず頬が緩む。月末の休みは悠仁の任務もないし他の予定も入ってない。

    (久々のデートだーーー)

    労いの言葉と了承の返事をぽちぽちと打ち込み送信するとすぐに既読がつき、そう間を空けずに次のメッセージが届いた。


    『おうちデートなんてどう?』


    これは。これはこれはこれは。
    お誘いではなかろうか。いわゆる、ステップアップの。
    あっという間に顔に熱が集まったのは仕方がない。だってお年頃なので。
    震える手で返事を打ち込む。

    『はい!喜んで!』

    返事が居酒屋みたいになってしまったのは許して欲しい。(悠仁は知らないことだが、そのメッセージを受け取った五条は爆笑し、同行していた補助監督は突然笑い出した特級術師に怯えていた)


    その後も他愛のないやり取りをしばらく続けたが、どうやら出張先で移動中だったらしい五条が目的地に到着したことで一旦おしまいとなった。

    『また夜に連絡するね』

    最後に届いたメッセージにスタンプを返し、アプリを閉じる。スマホを握りしめる悠仁の瞳には闘志がみなぎってきた。弱気になっている場合ではない。やるのだ。いや、やらねばならぬ。
    月末まであと二週間程。今のペースで拡張していれば絶対に間に合わない。


    教えて!スマホ大先生!


    困った時には先人の知恵。そしてネットの海にはそれが詰まっている。

    『アナル 拡張』
    『アナル 拡張 初心者』
    『アナル 指 入らない』
    『アナル 優しい拡張』

    検索履歴がえらいことになっている。寝る前に忘れずに消去しよう。閲覧履歴も忘れずに。そうだ。必要なものを書き出したあの紙も処分しなければ。
    ゴミで捨てようにも書いてあるワードが刺激的すぎるので、万が一にも他の人の目に触れない方法で。

    (燃やすしかないな)

    これだけ広大な土地だ。高専内のどこかで焚き火をしたところで問題ないだろう。

    (ならついでに焼き芋したいな。伏黒と釘崎と、あと先輩達も呼んで。先生…も誘えたらいいけど、皆んな揃う日なんてあるかな?)

    燃やそうとしているものの危険性が頭から抜け落ちている。

    ひとまず焼き芋パーティーのことは置いておいて。


    ぽちぽちぽちぽち。思いついたワードを片っ端から打ち込んで返ってきた検索結果に目を通していく。
    そして見つけたアイテムに目が釘付けになった。



    『アナルバルーン』



    要は初めは小さい状態で挿入して、ポンプから空気を送り込むことで中で膨らませるらしい。中で膨らませて出し入れすることで入り口の拡張にも役立つ。様々な形状のものがあるが悠仁の目に止まったそれは最初は指一本分と同じくらいの太さで、ポンプを握る回数で膨らみを段階的に大きくできる代物。ゴム製で滑らかな挿入感がありつつもゴムが肉厚で中で破れる心配もない。
    初心者にもオススメ!とのキャッチコピーに心をくすぐられる。

    指は迷いなく購入ボタンを押していた。あまりのんびり時間はかけられないので追加料金はかかるがオプションのお急ぎ便を選択した。勿論、配送先を宅配ロッカーにするのも忘れなかった。





    「お急ぎ便すげぇ」

    週が明けた月曜の夜。夢のアイテムは悠仁の手元にあった。
    夕食も入浴も済ませ、後は寝るだけの時間。今夜伏黒は在室だがこの時間に部屋を訪れてくることはないだろう。
    洗浄は勿論済ませてある。

    ドアの施錠をしっかりと確かめ、ベッドに諸々のアダルトグッズを持ち込んだ。
    アナルバルーンの前にまずは指で慣らさねば。前回と同じように後孔のマッサージから始め、ゆっくりと人差し指を進めていく。やはり異物感がすごい。声が漏れてしまわないように、バスタオルの端を口に突っ込んでおいてよかった。
    筋肉の抵抗を感じながら、少しずつ指を根元まで埋めていく。今夜はこの先があるのであまりここで時間をかけるわけにはいかない。異物感と痛みに耐えながら中で円を描く動きに変えた。
    快感とは程遠く、ただひたすら無心で指を動かす。

    (もう、いいかな…)

    何となく、指の違和感には慣れた気がする。ずる…と人差し指を引き抜くと、決心の鈍らぬうちにアナルバルーンを手に取った。
    挿入するゴム部分にたっぷりとローションを擦り付ける。先端を後孔にあてがい力を込めた。
    つい先程まで指を挿れていたせいか、さほど抵抗なくゆっくりと中に沈み込んでいく。太さはあまり変わらないが、ゴム独特の滑らかな質感が変な感じだ。
    恐る恐る中に埋めたバルーンをゆすった。

    にゅぷにゅぷと音をたてながら、ローションを纏わせたバルーンがみっちりと詰まった筋肉の間を往復する。

    「……っん、ぐ、ぅ」

    指とは違った感覚にタオルを噛み締めていた唇の隙間から声が漏れる。
    いけない。今夜は隣に伏黒がいる。
    こんな姿を見られたらきっと双方トラウマになる。

    数分往復する動きを繰り返し、いよいよポンプへと手を伸ばした。震える手でポンプをぐっと握り込む。



    「ゔっ………!!!」


    中でバルーンが膨らんだ瞬間、悲鳴をあげなかったのは最早奇跡だった。
    噛み締める唇に力を込める。
    見開いた両の瞳からはボロボロと涙が溢れ、ガクガクと震える体を止めることができない。
    ほんの少しその容積を増しただけなのに。指の時とは比べ物にならない異物感が、痛みが、全身を苛む。

    苦しい。苦しい。痛い。

    昔から痛みには強かった。仙台にいた頃は喧嘩を売られることも多かったし、今も任務で傷を負うことが度々ある。けれど、胎内から全身に回る痛みはそのどれとも異質なものだった。

    いっそ大声で泣き喚いてしまいたかった。五条に縋り付いて、恥も外聞もなく泣いてしまいたい。
    それくらい、あの力強い腕の中が恋しくなった。

    見開いてた瞳をぎゅっと瞑り、シーツに縋りながらひたすら鼻から息を吐き出す。



    (せんせい)


    (五条先生…)


    脳裏に思い浮かべるのは恋人である五条の姿。叶うと思わず仕舞い込んでいた恋心を掬い上げて、受け止め、同じ気持ちだと返してくれた時。
    本当に嬉しかった。
    地下生活の中でのささやかな触れ合いを重ね、キスをして、その度に愛しさが膨れ上がっていく。幸福感に包まれる。

    最強の男である五条に悠仁ができることは少ない。

    けれど、ほんの少しでもいいから幸せを返したかった。五条がしてくれたように、悠仁も五条のことを幸せにしたかった。

    だから。

    五条が自分を求めてくれるのなら。
    その時に余さず自分を差し出せるように。味わってもらえるように。

    体から力を抜くことを意識する。息を止めては駄目だ。ゆっくり、ゆっくり鼻から深呼吸を繰り返す。
    しばらくそれを繰り返して、下腹部に力を込めた。
    痛みを伴いながらも、ローションの滑りを借りてバルーンの先端が後孔から飛び出す。下腹部の力を抜くとまたバルーンが中に引き込まれていく。これを繰り返すことで入り口も拡張することができる。
    まだ10段階の1段階目だ。
    あと二週間。任務もあるので毎日は拡張できない。さすがにその頻度でマックスにすることは難しいだろうが、せめて4…いや5段階目くらいはクリアしておきたい。

    その為にはこんな初歩で立ち止まってる暇はない。

    (集中、集中…!)

    額に脂汗を滲ませながら胎内の異物に耐えるその姿は、さながら手負の獣のようだった。



    *****



    久しぶりの逢瀬は五条の行きたがっていたSNSで話題ののカフェから始まった。
    まだティータイムには早い時間だというのに店内は若い女性やカップルで溢れ、甘い匂いと楽しげな雰囲気に満たされている。ただでさえ男2人での入店は珍しく人目を引くだろうに、片や190を超える大男で、しかもモデルばりのスタイルで、更に目を引く白銀の髪で、おまけにサングラスごしでも分かるほどすこぶる顔が良い。


    『トッピング全部乗せがオススメ!季節の美味をつめこんだクリーム&ソース増し増しスペシャルボリュームパンケーキ♡』


    席へと案内する店員の後を追いながら、店内の目立つ位置に貼られていた期間限定メニューのポスターにちらりと視線を送る。

    (うん、先生もそんな感じ)

    外見がピカイチなだけではなく、呪術界御三家の一つ五条家の当主でありながら現代最強の特級術師。
    そして。

    (…俺らの担任で、俺の恋人)

    まさしくトッピング全部乗せ、クリーム&ソース増し増しである。(悠仁視点)
    ここで家入や七海や伊地知や伏黒や釘崎、2年の先輩達、京都校の面々に意見を求めていればきっと全力で反論されているが、残念ながら今日は2人きりのデートなので外野の声は耳に入らない。
    悠仁だって、五条が周りからクズだのカスだのちゃらんぽらんだの軽薄だの煽リストだの15歳に手を出す倫理観ゼロ野郎だのと言われていることは知っている。でもそこを全部引っくるめて五条を好きになってしまったので当人的には問題ないと思っている。

    (それに先生、別にクズでもカスでもねぇし…)

    悠仁も初めは五条に対し、その恵まれた外見からすこぶる遊びまくっているんだろうと爛れた恋愛模様を想像したりもしたのだが。

    『学生の頃に多少やんちゃしてたのは否定できないけど、呪術師ってそんなに暇じゃないからね。ヤリチン野郎とか呼ばれる筋合いはないと思ってるよ。』

    五条曰く、忙しすぎてそもそもそういう遊びに耽る時間がないのと、軽率にその辺の女性に手を出して後々揉める危険性(これは経験して懲りた体験談らしいが)から、どうしても熱が高まっているけれど自分でする気力もない時には専らプロのお姉さんにお世話になっていたらしい。あくまでビジネスの関係として。これは付き合うことを決めた当日に本人の口から語られた。
    まぁ、学生時代のアレコレが、現在も黒歴史となって語られ続けてもいるのだが。

    『でも、そのおねーさん達とも皆んなサヨナラしてるから。安心してね♡』

    『悠仁への気持ちに向き合うって腹括ってから、色々ちゃんとキレイにしてきたから。』

    『だから悠仁も、僕にここまでさせた責任ちゃんととってね。』


    最後にそう告げられ真っ赤になったのはまだ記憶に新しい。
    それでも自分相手に欲をぶつけてくれるか不安になったりもしたが、それは恐らく問題ないと先日確認できたので。身も心も準備万端で、悠仁は本日のデートに臨んでいる。

    案内された席で楽しそうにメニューを選んでいる五条は知らないだろう。

    向かいに座る悠仁が腸活に励み、毎朝快腸で、今日もばっちり洗浄済みで、おまけにアナルバルーンの5段階目をクリア済みだということを。
    午前中に諸々の準備を済ませるために今日の待ち合わせ時間は昼過ぎにしてもらった。

    「悠仁、どれにするか決まった?」
    「うん、俺これにする。期間限定のやつ。」
    「いいね〜!僕もそれと看板メニューのデラックスタワーパンケーキにするか迷った!」
    「じゃあどっちも頼んで半分こしよ!」
    「悠仁天才」

    すみませーん、と五条が片手を上げるとホールスタッフが我先にとこちらに来ようとするのが見えた。
    多少面白くない気分はあるものの、これからの予定を思うと些細な事だ。

    「トッピング全部乗せで!」


    この店を出た後は、スーパーに寄って五条の家に行くことになっている。
    そこできっと、自分は大人の階段を一段登るはずである。





    予想に違わず、五条の家はそれはそれは凄かった。
    まずコンシェルジュがいるマンションというのも初めてだったし、階層によってエレベーターが分かれているのも意味が分からないし、最上階に至ってはそのフロア専用の一基しかないなんて最早謎でしかなかった。
    当然のようにエレベーターホールの一番奥に位置する最上階専用のエレベーターに乗り込む五条の後を慌てて追いかける。


    「先生」
    「なぁに?」
    「俺、エレベーター乗って耳がキンとしたのスカイツリー以外で初めて」
    「あはは!そこはここが初めてじゃないんだ…ってちょっと待って。スカイツリー誰と行ったの?僕その話聞いてないけど!」
    「え、普通に伏黒と釘崎と3人で。早めに任務終わって時間空いたし、補助監督の人に迎え来てもらう距離でもなかったから帰りに寄ってくかーってなって。めっちゃ景色すごかった!」
    「え〜〜何3人で可愛いことしてるの…僕も混ざりたかった」


    しゅんと項垂れながら凭れかかってくる大きな体を受け止める。何気ない触れ合いでも、服越しに伝わってくる熱に思わず息を詰めかけた。
    冷たい印象に思えるが五条の体はいつも温かい。オートで対象を選別出来る
    無限を自分相手に展開されていないと気付いたのはいつだっただろうか。
    それがいつも、たまらなく嬉しい。

    「水族館の方は行けんかったからさ、今度は先生も一緒に行こ」
    「…約束だからね」
    「めっちゃ拗ねてんじゃん」

    ふは、と笑いながら肩に乗っかっていた白銀の頭をわしゃわしゃ撫でる。
    嘘みたいに手触りのいいその髪からはとてつもなく良い香りがした。
    甘いけれどすっきりしていて、ほんの少し苦味があるような大人の男の匂い。


    (やっっっっば…匂いで変な気分になりそう)


    慌てて手を止め、乱れた髪を手櫛で直してやった。密室でこれは心臓に悪い。
    緩やかに上昇していた箱がようやく動きを止める。開いた扉の先はこれまた異次元だった。
    ワンフロアに一世帯しか入ってないとか何の冗談だろうか。
    エレベーターを降りた先にある重厚そうな玄関ドアを開け、長い廊下を抜けた先にあるリビングダイニングは高専の皆んなでパーティーが出来そうな広さだった。

    「先生…ホームパーティーとか好きな人?」
    「いや?賑やかなのも好きだけど自分の家ではやりたくないかな。家ではゆっくり寛ぎたくない?」

    隣近所の他人の生活音とか気にしたくないし。だからワンフロア丸ごとのこの部屋買っちゃったんだよね、なんてさらっと言い放った五条はやはりどこか金銭感覚がおかしい。おかしいけれど五条が稼いだ五条の金ならその使い方に他人がとやかく言うのは筋違いと言うものだろう。
    ちなみに。余談であるが、実は同じ理由でこの一つ下のフロアも五条が丸ごと買い上げている。


    気を取り直して。あまりの異次元の世界にしばし呆然としたものの、次第にワクワクしてくるのが少年の性というもの。

    「探検してきてもいい?」

    ワクワクキラキラ、好奇心を隠さない瞳で問われ、五条は勿論と即答した。

    「食材は僕がしまっておくから。好きなとこ見てきていいよ」

    にこやかに見送られ、早速探検を開始した。まずは玄関に戻り手前の扉から一つずつ開けていく。

    書斎(本が沢山あった)に衣装部屋(服が沢山あった)に物置部屋(呪具らしきものが沢山あった)に何もない部屋に、明るくて広いバスルーム。扉を開けるごとに

    「すっげー」
    「ひろ!」
    「これここに置いといていいん?」
    「スペース無駄遣いしてない?」
    「ジャグジーある!めっちゃ豪華!」

    一応それなりにリビングと各部屋の距離があるはずなのに楽しげな声が響いてくる。
    食材をしまい終えた五条は笑みを浮かべて悠仁の元へ向かった。この部屋を買った時はそんなに深く考えていなかったし、何なら他にも部屋はあるし、初めて連れてくるにはもう少しこじんまりした方が良かったかな、とか色々考えてはいたものの、悠仁のはしゃいだ声を聞くと最早それはどうでもよい些末事である。


    「ゆーうじ、探検はいったん休憩してお茶でも飲まない?また後からでも見れるし、とりあえず彼氏にもかまってくださーい」
    「はーい」


    呼びに来た五条と共にリビングへ戻ると、高そうなラグの上に鎮座した高そうなローテーブルの上に高そうなティーカップが置いてあった。

    (なんていうんだっけ、これ…価格破壊?インフラ?じゃなくてインフレ?)

    「先生、そのカップ、持っただけで割れたりしない?」
    「あはははは!しないしない!割れても大丈夫だよ。安物だもん」
    「それはぜってぇー嘘!」
    「ほんとに大丈夫だから。ほらこっちおいで」

    真偽はさておき五条の言葉を信じることにして。恐る恐るラグを踏み締め、これまた高そうなソファーに腰を下ろす。

    「尻が!異次元に包み込まれている!」

    座り心地が半端ない。

    「はいはい、落ち着いて。あとお尻は取り戻しといて。それ僕のだから」
    「え?」
    「ん?」

    何かさらっとぶっこまれた気がする。いつの間にサングラスを外したのか、きょとんと瞳を瞬かせる五条にとりあえず反論してみる。

    「俺の尻は…俺のもんだし」
    「そうだね。でも悠仁のものってことは同時に僕のものだし、僕のものだって悠仁のものでもあるんだよ」
    「わからん!わからんけど何か違くない!?」


    「僕のものになってくれないの?」


    楽しげに眇められた双眸。艶々とした唇もにんまりと弧を描いている。
    トッピング盛り盛り、クリーム&ソース増し増しの悠仁の恋人。


    「先生も…俺のものになってくれんの?」
    「勿論」


    答えが返ってきた瞬間。覆い被さってくる広い背中に腕を回して瞳を閉じた。

    初めは触れ合わされるだけ。少しずつ角度を変え数度啄まれた後に誘うように薄らと唇を開く。
    すぐさま長い舌が侵入してきて、悠仁の舌が絡め取られた。上顎をなぞられ頬の内側を余すことなく嬲られる。
    この間の初めてのディープキスはままごとだったんじゃないかと思うくらい、喰らい尽くされている。


    「んむ、う、ぅーーー」


    鼻で何とか呼吸を試みるものの、攻め手が激しすぎて呼吸が間に合わない。
    飲み込みきれない唾液が溢れてきても、五条は止まってくれなかった。
    背中に回していたはずの手はいつの間にか逞しい胸元に縋り付く形になっている。
    新鮮な空気を求めて思わず胸元を押し返そうとするが、五条の大きな掌に後頭部を抑え込まれ距離を開けることが出来ない。
    とうとう息苦しさが限界に達し、酸素を求めて喘ぐ動きで口内に溜まった唾液を飲みこんだ。
    ようやく唇を離して貰えたものの、唾液でべたべたになった唇をべろりと舐められ背中に震えが走る。


    「かぁわいい」
    「し、死ぬかとおもった…」
    「まだまだ楽しいこと沢山あるのに、死なせるわけないでしょ」


    これから沢山、経験していこうね。そう告げながら機嫌良く額に口付けを送られて思わずガバリと顔を上げた。
    その言い方だとまるで。

    「き、」
    「ん?」
    「今日はもう、続きしてくれないん?」

    折角この日の為に準備をしてきたのに。待ち合わせは昼過ぎだというのに、午前5時に目が覚めた。
    そこから軽く高専内をランニングして汗を流し、朝食諸々の後に洗浄を済ませ、朝の陽光が差し込む中ひっそりとアナルバルーンで中を慣らしてきた。
    初めは1段階目で痛みに悶えていたが、今は苦しさは拭えないものの5段回目まで拡げられるようになったのだ。
    それもこれも、この日の五条との初セックスの為。


    「俺…色々準備してきたよ」


    そのつもりでここまで来たのに。


    「お預けなんて、ひでぇよ、せんせい」


    恨みがましく呟けば、五条は右手で目元を覆いはぁーーーーっと深い深い溜息を吐いた。

    「せんせい?」
    「悠仁………あんま煽んないで」

    「これでも、優しくしてあげたくて必死なんだよ」

    目元を覆っていた右手で髪を掻き上げた五条の瞳は熱を帯びてギラギラと輝いていた。




    おいで、と手を引かれて導かれたのはまだ開けていなかった扉。
    その向こうはクイーンサイズのベッドがモノトーンのリネンに包まれて鎮座していた。
    少し冷たいシーツはシルクだろうか。自室のベッドとは肌触りが段違いだ。
    その上にゆっくりと寝かされ、視線を逸らされないまま問われる。

    「ほんとにいいの?もう少しゆっくりでもいいんだよ?」

    いずれヤるのは確定なんだな、と思ったが口には出さないでおいた。余計なことを口走って藪を突きたくない。

    「いいよ。そのつもりで今日、来たし…先生と、えっちしたい」
    「…もおおお、この煽り上手!そんな煽り文句一体どこで覚えてきたの!だれに習った!?」

    頭を抱えてブツブツ言っているところ申し訳ないが、悠仁の師匠は並ぶ者がいないくらいの煽りストで、現在進行形で悠仁の上に乗っかっている。

    「先生の教え子だからね」
    「待って。今現実を突き付けないで」

    そう言いながらも、手はしっかり悠仁のパーカーを脱がしにかかっている。

    「痛かったりしたらすぐに教えてね」

    告げられた言葉には、数瞬おいて頷いておいた。
    痛いと告げたら、五条は止めてしまうだろうか。

    (それは嫌だな)

    拡張の段階で痛みには慣れたはずだし、多少痛くてもいいから今日きちんと五条と結ばれたい。

    唇が再び降ってくる。
    先程とは打って変わって、優しく触れただけですぐに唇が離れた。代わりに首筋を啄みながら辿られる。
    時折チクチクとした痛みを感じさせながら、唇は悠仁の胸元に辿り着い
    た。

    大きな掌が両の胸に添えられ、両脇から寄せるように揉み込まれる。

    「せ、んせ、俺おとこだからぁ」

    五条は聞こえていないのか、唇を降らせるのも手の動きも止めてくれない。
    むにむにと揉みこむ手つきがひどくいやらしい。羞恥心が込み上げる。

    やがて片方の胸の頂きに唇が寄せられ、あっと思った時には熱い粘膜に包み込まれていた。乳輪をなぞるように円を描いたかと思えば、分厚い舌で押し潰すようにぐりぐりと刺激される。

    繋がることに意識を向けすぎて、そんなところをイジられるなんて想像していなかった。

    「や、ゃあ、やめ…せんせ、それやだぁっ」

    絶対に聞こえているはずなのに。
    五条は止まってくれるどころか、もう片方の乳首に指を伸ばしてきた。すりすりと撫でられ、優しく摘み上げられるとムズムズとした感覚が走り抜けた。
    下賜に熱が集まっていくのを感じる。思わず膝を擦り合わせると、胸元で五条の笑った気配がした。

    「勃っちゃった?」

    笑って問いかけてくるが手の動きは止まっていない。両の乳首をクニクニと弄り続け、時折見せつけるように舌を突き出して舐めて見せる。


    「こんなん、勃たんわけないじゃん!先生のばか!」
    「テクニシャンでごめんね」
    「ばかばかばか!も、触ってよぉ」


    履いてきたジーンズの前が苦しくて仕方がない。思い返せばこの一月ほど拡張に夢中でほとんど自慰をしていなかった。
    一度自覚した熱は膨れ上がるばかりで一向に治る気配がない。
    溜まる熱をどうにかして欲しくて、腰を浮かせて股間を五条に擦り付けた。

    「も〜悠仁のえっち!我慢出来なくなるからそういうことしないの!」
    「我慢なんてせんでよ、手ぇ出して欲しくてやってんの!」


    凡そ淫蕩な雰囲気には似つかわしくないやり取りだが、それでも体を弄る手は止まらない。ジーンズの前が寛げられ、そのままずらりと足から引き抜かれた。履いてきたダークグレーのボクサーパンツは前が色濃くなってしまっている。

    (うぅ、新しいパンツにしたのに)

    こういう雰囲気になることを覚悟して、一応勝負パンツ?として新しい下着を下ろしたのだ。
    ちらりと五条に視線を送ると、がっしりとした体は相変わらず服に包まれたまま。

    「先生も、脱いでよ」

    五条のトップスを引き寄せながら強請れば、逆らわずにバサリとシーツの上に脱ぎ捨てられた。露になる鍛え上げられた上半身に心拍数が上がっていく。
    悠仁の体もかなり鍛えているし、自分でも筋肉ゴリラの自覚があるが、五条のそれはまた一線を画している。
    着痩せするのか、普段の飄々とした雰囲気とは一転。稽古の時にその体の分厚さを感じた事はあるものの、こうしてマジマジと裸の状態を見つめたことはなかった。

    (トッピング増し増しすぎる)

    非常にえっちである。
    何というか、オスくさい。
    顔だけ見れば儚げ美青年なくせに。


    「そんなに見つめられると恥ずかしいなぁ」
    「ひん」

    揶揄うような声にはっと我に返った。
    気まずげに視線を逸らすと、突然股間を撫で上げられ思わぬ声が出た。
    そのままやわやわと握り込まれ、背中がシーツから浮き上がる。

    初めての恋人。
    初めてのセックス。

    他人に性器を触られるのも初めての経験だった。
    初めはパンツの上から触られていたのが、いつの間にかゴムの隙間から侵入してきた掌に直接包み込まれている。

    「あっ、あ、あ、だめ、だめ、んっ」
    「すごいね、もうこんなにビチョビチョ。最近触ってなかった?」
    「ん、んん、あ、止ま、って、せんせ、止まってぇっ」

    初めて感じる刺激に追い込まれるのはあっという間だった。

    「いいよ、いっちゃいな」
    「ぁ、ぁぁ、んんんーーー」

    促されると同時にやんわりと手に力を込められればひとたまりもなかった。
    追い上げられるまま熱を放出する。
    出された精液を全て掌で受け止めた五条の笑顔は、それはそれは輝いていた。いつの間にかパンツが足から引き抜かれている。

    「そのまま力抜いててね」

    言葉と共に両膝を立てられ、ぐいっと太腿を開かれる。
    精液を纏った指がぴとりと後孔に充てられた。射精により弛緩した体から更に力を抜くように意識する。
    ぐ、と力を込めて侵入してきた指が媚肉を掻き分けて少しずつ中に侵入してくる。

    「どう?痛くない?」
    「だ、いじょうぶっ」

    今まで慣らしてきたおかげか痛みはない。けれど自分で調整しながら進めてきた拡張とは違い、五条のペースで侵入してくる指は未知の感覚だった。
    こつりと指の先で奥の壁を叩かれると思わず体に力が入ってしまう。

    「すごいね。入り口がきゅうきゅうしてて、中も僕の指に吸い付いてきてる」
    「恥ずいから、そういうこと言わんで…っ」
    「えーっ。悠仁の体、こんなにえっちでイイコなのに」

    悠仁はこんなところまで体の使い方が上手だね。耳元にそう囁かれて恥ずかしさのあまり顔に熱が集まる。

    違うんです。
    それは練習の成果なんです。
    多分練習していなければ、守りが固すぎてその指を受け入れる事すら出来ていないんです。天然物じゃなくてごめんなさい。

    脳内の叫びが口から漏らしてしまわないようにぐっと唇を噛み締める。
    さすがに拡張してきたことをここで白状するのは恥ずかしい。

    というより。

    (即ハメ、どうなった…!)

    五条に中を弄られるのが恥ずかしくて避けたくて、拡張していたのに。
    このまま尻の中を弄られ続けるなんて、本末転倒すぎる。


    「せんせ、俺、準備してきたから。もう、挿れていいよ」
    「うーん。このまま僕の挿れたらスプラッタになるからもう少し頑張ろうね」


    (あっさり却下された!!!)


    「というか、さっきから気になってたんだけど。準備って、悠仁自分で後ろ解してきたの?どうやって?まさか道具とか使った?詳しく教えてほしいなぁ」


    (あっさりバレてる!てか準備してきたって自分で言ったらそりゃバレるじゃん!俺のバカ!)


    唇を噛み締めたままぶんぶんと首を振る。自身の沽券のためにも、ここは黙秘権を行使する。


    「ふーん、教えてくれないんだ」


    それまで優しく中を往復するだけだった指が、唐突に動きを変えた。
    腹側の内壁を探るように擦られ、その圧迫感に眉を寄せる。

    「な、なに?」

    未知の動きは恐怖を引き寄せる。五条が一体何を企んでいるのか。わからなくて怖い。


    「あれ?後ろで気持ちよくなったりしてない?自分じゃ見つけられなかった?」
    「なんの話…?」


    問うた瞬間、ただでさえ楽しげだった五条の瞳がキラリと煌めいたのが見えた。

    (あ、なんか絶対やばいこと言った)


    慌てて口をつぐむも遅かった。


    「この中にはね、男も気持ちよくなれる場所があるんだよ。てっきりオナニーの延長でそこ見つけて弄ってたのかと思ったけど」


    するすると語らいながらも指の動きは止まらない。そして、五条の指がそこを掠めた瞬間だった。

    「あっ!ああぁ!」
    「みーつけた」

    悠仁の体が大袈裟な程跳ねた。自分でも驚く程に。信じられない思いで瞳を見開き、愕然としながら五条に問う。

    「い、いまの、何?」
    「前立腺。悠仁がとっても気持ち良くなれる場所だよ」

    前立腺。
    呆然としながら頭の中で繰り返す。そういえばインターネット大先生でそんな言葉を見たような。拡張についての知識を集めるのに夢中でスルーしていたが。
    悠仁がやろうとしていたのは拡張であって開発ではない。痛みと違和感と戦いながら拡げることに夢中で、快感どころではなかった。


    「せんせい、それ、それやだ。俺はいいから、せんせいの早く」
    「ダメだよ悠仁」


    セックスは、2人で気持ちよくならなきゃ。


    「ここで気持ち良くなるのに慣れとこーね」
    「やだ、やだぁ!そこ、触んないで…っ」


    逃げ出したくてもガッチリ押さえ込まれていて身を捩る事も出来ない。
    未知の感覚が怖い。そこで気持ちよくなってしまう自分も、五条に後孔を弄られその様をじっくり見られてしまうことも恥ずかしくて仕方ない。
    ただひたすら泣きながらもがく事しか出来なかった。


    セックスとは。
    もっと簡単なものだと思っていた。結ばれて、気持ちよくなって、幸せになれる。そんなフワフワしたイメージを抱いて挑んだ結果、貪り尽くされそうになっている。

    「指、増やすよ」

    漸く中を苛む動きが止まったかと思えば、一度抜かれた指が二本目を伴って再び潜り込んできた。

    「う、ぅぁ、ん」
    「そうそう。息止めちゃダメだよ。体の力抜いて」

    二本に増えた指が中を圧迫して少し苦しい。けれど、拡張していた時のように吐きだす息を意識して体の力を抜けば五条が褒めてくれた。


    「悠仁の言ってた『準備』の成果かな?中の力抜くのとっても上手だね」


    どんな『準備』してくれてたのか、後でちゃんと教えてね。
    弾む声で言われても、二本の指で先程見つけられた前立腺を挟むように弄られ、とてもじゃないが悠仁に答える余裕などない。


    (えっちが終わる頃には忘れてくれねぇかな…)


    無理だとわかっていても願わずにはいられない。
    その後更に指が増やされ、結果悠仁は五条の指を三本受け入れた。悲しいかな、後できっと白状させられるであろう『準備』のおかげである。
    体感的には5段階目と同じくらい。
    拡張の時には苦しさしか感じなかったのに、今はそれを遥かに上回る快感に翻弄されて頭が回らなくなっている。


    早く。
    早く。
    早く。


    「も、挿れてくれよぉ…っ」


    鼻をグズグズ言わせながら何度目かの懇願をすれば、ようやく五条が指の動きを止めてくれた。涙目でジトリと睨め付ける。


    「そんな可愛い顔しないで♡僕もそろそろ限界」


    五条が少し体を起こし、下肢に手を伸ばす。自然と視線でそれを追えば、反対の手がすっと頬に寄せられた。



    「見られるのは恥ずかしいから、また今度ね♡」



    頬に手を添えられ見つめ合ったまま、五条が自身の衣服を取り払い、枕元のサイドボードに手を伸ばして避妊具とローションを取り出す。
    滑らかな動きでそれを装着する間も、五条の視線は悠仁から逸らされることはなかった。

    悠仁は知らない。
    それが五条の五条を見て、悠仁が怯えるのを防ぐためだったなんて。


    「そのまま力抜いててね」


    唇が触れ合い、吐息と共に囁かれる。
    ぴとりと、薄いラテックスを纏い、更にローションを擦り付けた五条のペニスが後孔に押しつけられた。言われた通りに体から力を抜き、何度か大きく呼吸を繰り返す。

    「っぅ、あ、ゔ…」

    押し入ってきた質量は想像を遥かに上回るものだった。指三本も、アナルバルーンの5段回目も肩慣らしでしかなかったと今ならわかる。
    ミチミチと中が押し広げられ、苦しさから力を込めてしまいそうになる度に優しく唇を啄まれ呼吸を促される。それでも、ローションの滑りを借りつつ少しずつ侵入してきたペニスが漸く動きを止めてくれた時、悠仁の息は絶え絶えだった。

    五条はそのまましばらく動かず、悠仁の呼吸が整うのを待ってくれた。

    「せんせ…入った?」
    「うん。悠仁は大丈夫?」
    「俺はだいじょ、ぶ、だから。動いていいよ、先生」

    「痛かったらすぐに教えて」

    優しく髪を掻き分けられ、ゆっくりと五条が抽送を開始する。初めは苦しさだけだったのが、張った亀頭で前立腺を擦られる内に段々悠仁の体にも快感が込み上げてくる。



    稽古や任務の時に汗一つかかない男のしっとりと汗ばんだ肌と、こちらを見つめる熱を帯びた視線。
    与えられる情報はあっという間に自分を追い込んでいく。

    「やば…悠仁の中気持ち良すぎ」

    そしてややかすれた吐息まじりの声がその言葉を紡いだ瞬間。
    悠仁が真っ赤な顔を更に赤く染めて息を詰めたのは羞恥からだけではない。


    (よっ…しゃあぁぁぁぁぁ!!!)


    湧き上がるのは歓喜と達成感、蘇るのは悩み試行錯誤した日々だった。






    (拡張、やっぱ頑張って良かった)


    この後洗いざらい白状させられるかもしれないが、今日のこの多幸感はあの努力の日々があったからこそ手にできたものだ。


    「あっ、ぁ、っあ、あ」


    悠仁の体からも緊張が解れ、唇からは甘い声が漏れ出す。
    男の自分がこんな声を出してしまうのとに恥ずかしさはあるものの、抽送の度に的確に前立腺を捏ねられては抑える事も出来ない。じんわりとした快感はやがて全身を回る。

    このまま快感の波に押し流されてしまいそうな。


    「んっ」

    (…あれ?)

    押し流そうとした犯人が五条なら、それを押し留めたのも五条だった。
    緩やかに抽送を繰り返していた動きが、時折奥の突き当たりを力強く押し上げている。
    突き当たりのそこは何度も突かれると少し痛む。


    「せっ、せんせ、そこ、ちょっと痛いっ、からっ、ぁ、ゔ」

    五条は悠仁が訴えている合間も動きを止めてくれない。
    それどころか、一際強く押し上げるようにされてビリビリとした痛みが悠仁を襲った。


    「ひっ、い、いった…なに、せんせ、」
    「あーやっぱり痛い?この先はもう少し時間かけないとダメかな」




    「…え?」



    「悠仁、自分で拡張頑張ってくれてたみたいだけど、浅いとこしかやってなかったでしょ?奥の筋肉まだ全然解れてないから、この先は一緒に少しずつ頑張ってこうね」



    言われた内容が飲み込めない。
    だって、五条のペニスは自分の胎の中に入っているはずで。奥とは一体…

    恐る恐る視線を繋がった下半身に向けてしまい、これでもかと目を見開いた。


    「え?なななななんで?先生の、入ったんじゃねぇの?」
    「うん、半分くらいは入ったかな?でも、半分だけじゃ寂しいでしょ」


    自分の後孔が咥え込んでいる五条のペニスは、よくぞこれが入ったと思わずにいられない程ご立派なものだった。あれを何故自分が受け入れられているのかわからない。
    目一杯咥え込んでいるはずなのに、その長大な砲身はガッツリ視認できていて。
    ということは。
    五条の申告通りだとするならば、あれは全長の半分。


    (無理….死ぬ)


    ラスボスだと覚悟はしていたけれど。その想像を遥かに上回る裏ボスレベルだなんて聞いてない。

    「無理、そんなの入んない…」
    「大丈夫!今日だって初日で半分も入ってるんだから!」

    いや〜悠仁が頑張ってくれてたおかげだよね。
    にこやかに告げる五条の笑顔が怖い。

    「もう腹いっぱいだし…奥、ほんとに痛い…」

    だから、せめて今日は諦めて欲しい。
    そう伝えたつもりだったのだけれど。


    「痛い?うん、大丈夫大丈夫。今日は優しく突くだけにするから」


    そう告げられ、言葉通りに優しく奥を突き上げられる。同時に前立腺も捏ねられれば、鈍痛と快感に交互に見舞われる。


    「ぃっ、あ、あっ、あ、ぁぁ」


    押し流されてしまう。わけがわからなくなる。

    本格的に意識が飲み込まれる直前。五条が耳元に唇を寄せてきた。


    「頑張ってくれたのは嬉しいけど、これからは勝手に一人でやっちゃダメだよ。ちゃんと僕にもやらせてね」


    約束だよ。

    そう囁かれ、半分以上茹だった頭で頷いた。
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