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    tonanashi_1074

    マイ武

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    マイ武ドロライ2
    お題 嘘・真実 より 嘘 をお借りしました。

    嘘がつけないみっちと自信満々なマの話
    ・付き合っているマイ武
    ・ご都合主義謎軸

    #マイ武

    嘘をつかない伝え方「これより!東卍最強の嘘つきはだれだ?決定戦を開始する!」

     ドラケン君のかけ声に、おぉぉ!とむさ苦しい歓声が上がる。『東卍最強の嘘つきはだれだ?決定戦』とは例の如く我らが総長こと佐野万次郎の思いつきにより開催された祭りのようなもので、東卍はそのかっちりした組織体系とは裏腹にこのようなお遊び企画が多い印象だ。
     最も、武道は他の暴走族に所属していたことなどないので、比較のしようもないけれど。

     さてこの祭り、ルールは簡単。チームの人間に質問をされたら必ず嘘で答えなければならない。会話のなかで、相手に「嘘です」と言わせれば勝ち、というものだ。敗者は罰ゲームとして、後で勝者の願いを一つだけ叶えなければならない約束である。
     決定戦と言いつつもトーナメント制などではなく、一日の終わりにまた集まって、自己申告で一番多そうなヤツが優勝でいいんじゃね?というふわっとした祭りだ。
     一見、不正し放題のルールにも思えるが、罰ゲームをしなければならない相手がいるものである以上、そう酷いことにはならないのだろう。案外よくできている。

     腹の探り合いが得意ではない自覚がある武道は、はなから優勝など狙っておらず、となれば大切なのはいかに罰ゲームを避けるかである。
     その為に最も安全な方法は、東卍の人間と出会わないことだ。そもそも会話をしなければいいのだから。

     そうやって逃げ隠れるつもり満々だった武道は、開始10分で万次郎に捕まった。そもそも一カ所に集まって用意スタート!である以上、東卍で一番足の速い万次郎に本気で追いかけられたら武道には逃げ延びるすべなどなかったのだ。彼が全力で走る姿など、普段見る機会が全然ないせいで忘れていた。というか、めちゃくちゃ怖かった。正直もう二度と追いかけられたくはない。

     さて、何の質問をすればいいだろう。焦る武道を余所に、万次郎はにこにこと上機嫌そうである。
    「たーけみっち」
     先に勝負を仕掛けたのは万次郎で、きた、と武道は身構えた。
    「オレのこと、好き?」
     ――そんなのありぃ?!
     武道は内心、絶叫した。好きに決まってる。当然である。君に殺されかけたって腕折られたって許せるくらいには大好きだ。しかし、ゲームのルール上、武道は「嫌い」と答えなければならない。でないと負ける、そうなってしまえば罰ゲームでなにを命令されることやら。 
     おそらく、万次郎の狙いは最初からそれだったのだ。心を強く持て、武道。これはゲーム、これはゲームだ。
    「・・・きらい、です」
     武道がそう言った瞬間、先ほどまでにこにこしていた万次郎の表情が一気に凍り付く。あ、止めてくださいその表情、罪悪感で死んじゃそう。間違いなく彼の演技だ、と分かってはいても痛む心に武道は呻いた。負けるな自分、心を強く持つんだーー
    見開かれた万次郎の瞳から、涙が一筋、すぅっと流れ落ちる。
    それを見た瞬間。

    「スイマセン!!嘘、嘘です!!マイキーくん大好き!!」

    武道は土下座した。心の痛みに耐えられなかった。くそぅ、絶対演技なの、分かりきっているのに・・・っ。
     案の定、万次郎はそんな武道の様子を見た途端にけろっとした表情に戻り、「だよな♡」などとのたまった。この勝負、誰がどう見ても万次郎の勝ちである。

     しかし、うぐぐと悔しさを噛み締める武道の頭に一つの名案が浮かんだ。
    「マイキーくん、オレの質問にも答えてください!」
    「そういうルールだからね、いいよ」
     余裕そうな万次郎に、武道は問いを投げかけた。
    「マイキーくん、オレのこと好きですか?」
     そう、万次郎だってこの問いには「嫌い」と返さなければならないのだ。仮にも恋人、彼だって良心が痛み、嘘だよって言ってくれるハズ・・・!そうすればこの勝負は引き分けだ。罰ゲームも取り下げられるだろう。
     これが、武道がとっさに思いついた反撃である。我ながら冴えているな、今日は。

     しかし。
     自信満々の武道に与えられたのは、「嘘だよ」という待ち望んだ言葉ではなく、ふにりとした唇の感触だった。
     いつの間にやら眼前に迫った万次郎は、にやり、と口角をあげ、逃げられぬように武道の頭を捕まえて告げた。
    「オレ、タケミっちのことキライ」
     ふに。ふに、ふにり。言葉の後にも、雨のように口づけは顔中に降ってくる。額にも、瞼にも、頬にも、もちろん唇にも。
     ひとしきり満足したのか、ようやく武道を開放した万次郎はだめ押しのように口を開いた。
    「―オレ、タケミっちのことダイッキライ♡」
    「~~っ、あぁもう!分かりました、オレの負けです!」
     武道は真っ赤な顔で叫んだ。こんなにも『好き』を伝えられてしまえば、降参するほかに道はない。どこをどうとっても完敗だ。一枚も二枚も上手な恋人を前に、武道はがくりと肩を落とした。

    「はは、タケミっちがオレを出し抜こうなんて10年はえぇよ」
    「・・・罰ゲーム、手加減してくださいね」
    「ン~、どうしよっかな、タケミっち生意気だったからな~。なにして貰っちゃおうかな~」
     上機嫌に歩き出す万次郎の後を追いかける武道にできることはもう、どら焼き買ってこいくらいの軽い命令がきますように、と後日の万次郎の機嫌に祈ることだけである。

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    tonanashi_1074

    DONEマイ武ドロライ5

    お題 花見/花の雨より、花見をお借りしました。

    マイに喜んで欲しいみっちの話

    加筆修正してあります
    さくら不良はお祭り好きである、たぶん。
    オレの偏見である。皆で集まってワイワイ騒ぐことが好きな連中が多いから、その口実になりそうなことは大概なんでも好きなのだ、と思う。もちろん花見もその一つで、テレビで開花予報が流れはじめると同時に東卍のなかで「満開になったら花見しようぜ!」という浮き足だった声が上がったのも当然と言えば当然であった。それももう、一ヶ月ほど前の話だけれど。



    「桜、もうぜんっぜん残ってないじゃん!!」

    ピンク色などもうほとんど見当たらない、綺麗な緑色の葉を繁らせる桜の木々を前に怒りの声を上げる我らが総長、佐野万次郎。その姿を横目に、武道はそっとため息をついた。
    時が過ぎるのはいつだってあっという間だ。命知らずにも東卍の隊員にちょっかいをかけてきたどこぞのチームの連中を万次郎たちが叩きのめすまでの間に、桜の見頃はとっくに過ぎ去ってしまったのである。結果、お祭り騒ぎをしたい心だけが取り残された彼らはそれでも花見を決行することにしたのだが、万次郎はすっかりふて腐れていた。つまらない連中のせいで、楽しみにしていた祭りのメインが奪われたことが気にくわないのだろう。
    2207

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