ピーチャン!ソイツは、突然現れた。
「くぅ~、いい天気!」
「タケミっち、その言い方オッサンみたい」
「はぁ? オレがオッサンだったら、オレより年上のマイキーくんもオッサンですけど!?」
「オレは窓を開けながら伸びをしたりしないもん。だから、オッサンじゃ無い」
アラサーが二人、朝っぱらから不毛な言い合いを繰り広げる。なんの変哲無い一日の始まりだ。開けっ放しの窓からバサバサと羽音を響かせた侵入者が勢い良く飛び込んでくるまでは。
「うわっ?!」
「なに?」
それぞれに悲鳴を上げる武道と万次郎をよそに、出しっ放しの洗濯ハンガーの上に留まった鳥――オレンジと緑のカラフルな体毛を持つインコは元気に自己紹介をした。
「ピーチャン!」
インコはおしゃべりで、次から次へと色んな言葉を並べた。普段かけられているであろう赤ちゃん言葉、夫婦喧嘩の場面が浮かぶ台詞、果てはどこで使う場面があるんだ?と疑問に思うような不穏な決め台詞。どうやら、どこぞの家庭で買われていたペットのインコが逃げ出し、迷子になったようだ。そう二人は結論づけた。
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