「誕生日おめでとう、ミハエル」
シュミットの優しい声。
いつもは凛と鋭い視線が、いまは優しく僕に向いている。
「なにか贈り物を。欲しいものはありますか?」
エーリッヒも、いつもみたいに柔らかくそう訊ねる。
僕は、僕が欲しいものは………
「………愛が欲しい。なくならない、愛。君たちに、ずっとそばにいて欲しい」
俯いて告げると、二人は顔を見合わせて、ふふっと笑った。
「もちろんですよ」
「あなたが嫌がっても離れません」
ちゅっ。
右頬と左頬に、柔らかくあたたかい唇。
ふっ、と吐息を漏らして僕は緊張を解いた。
「ありがとう。僕、君たちと出会えて幸せだよ」
満面の笑みで言うと、二人もにっこり、笑ってくれた。