恋愛というものがよく分からない、俺の情緒は欠落しているのかもしれない。
そう零したブレットに、エッジは笑って
「ドキドキして居ても立ってもいられない、とかない?」
と訊ねた。
「ないな」
ブレットはクールに答える。
「そう?………じゃあ、キスしてみよっか」
「は?」
ぐ、とエッジの顔が近づいた。
エッジの吐息が唇に触れる。
「待て、エッジ。……待て!」
ブレットは慌ててエッジを押し退けた。
エッジはまた笑い、「キスしたことない?」と柔らかく訊いてきた。
「お前とは、駄目だ」
「どうして。いいでしょ、キスくらい」
再び顔を近づけてくるエッジ。
「……っ、」
ブレットは目をぎゅっと瞑る。
ふふ、と笑った気配を感じ、ああ本当にキスされる、と思った。
だが、いつまでも唇には、吐息以外触れるものはない。
ブレットは、そろ…と目を開いた。
それを合図に、エッジは顔を離す。
「……ほら、ちゃんとドキドキしてんじゃん、」
エッジがブレットの左胸に触れて、「ね?」と言った。
「こういうのが積み重なると、恋になるの。そんで、リーダーの情緒は欠落なんてしてないよ」
分かったでしょ、とつりあがり弧を描くエッジの口元から目を離せず、ブレットはやっとの思いで頷いた。