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    @94_ROM_12
    稲妻の目金君関連のみ

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    本編の前日談。ブレイク組中心

    #豪目
    howeEye

    豪目おまけ(以下おまけのブレイク組 本編より少し前の話)

    日本代表がFFI優勝の偉業を果たして数か月たったある日の部活終わり。鬼道は円堂と共に豪炎寺を呼び止めた。自身でも何か察するものがあったのか豪炎寺は素直にそれに応じ、三人は人気のなくなった部室へと集まることに。

    「……単刀直入に言おう。最近のお前はパフォーマンスが低下している」

    自覚はあるか。鬼道の鋭いまなざしを受け、豪炎寺は己のふがいなさに目を伏せる。二人のやり取りを受け円堂は語り始める。

    「前々から鬼道と話してはいたんだ。最近豪炎寺のプレイに迷いがあるって。一時的なものかもしれないって思ったから今までお前には何も聞いてこなかったんだけど……。豪炎寺、お前のプレイがおかしくなってもう2週間だ」
    「……すまない、二人とも。早く元の調子に戻れるよう努力する」

    心の底から己を恥じているのは伝わってくるが、その変化の理由を語ろうとしない豪炎寺。何かまたサッカーを続けられない理由でも出来てしまったんじゃないか。幾度と脳裏をよぎった可能性が本当に豪炎寺の身に迫っているのではないかと円堂は表情を曇らせる。

    「豪炎寺、俺たちに心当たりを話してみる気はないか。例え解決が見込めないことだろうと、誰かに話すことで気は晴れるはずだ」
    「鬼道……」
    「……サッカー、続けられなくなっちまったのか?」

    悩みを打ち明けることに躊躇いを見せる豪炎寺。そんな豪炎寺の様子に円堂は胸元にずっと抱えていた不安を口にする。

    「!?ちがっ、そうじゃない!」

    驚いた様子で否定する豪炎寺にホッと胸をなでおろす円堂。その様子に豪炎寺は自分が思っている以上に二人に余計な気を使わせてしまっていると気付き顔をゆがめる。

    「……大した話じゃない。聞いたらすぐに忘れてほしい程度の悩みだ」
    「聞かせてくれ豪炎寺」
    「__、好きな人ができたんだ」

    豪炎寺の言葉に備え身構えていた二人の耳に届いたのはまさかの悩みで、二人は「え、」と呆然とした表情に。しかしすぐスイッチを切り替え鬼道は「あの豪炎寺から恋バナを聞けるとはな」と豪炎寺らしからぬ、だが若者らしい悩みを肯定する。

    「だが不思議だな。お前が相手なら大抵の女性は告白を受け入れそうなものだが」
    「別に俺は好きになった相手と付き合いたい訳じゃない。寧ろ何故そいつを好きになったのか俺自身わからないんだ」

    豪炎寺は戸惑うようにそう語る。鬼道は豪炎寺のパフォーマンス低下の原因が戸惑いの感情にあると見当をつける。だが、

    (豪炎寺が好きになってしまった相手とは、いったい誰なんだ?)

    本音を言えば聞きたくて仕方がないが、悩みの本筋とは離れている上、豪炎寺がなかなか悩みを話したがらなかったという事もあり、鬼道は喉元までせり上がってきている好奇心の塊のような質問をぐっと飲みこむ。

    「…なあ、豪炎寺。好きな人っていったい誰なんだ?」
    「円堂!」

    だが円堂は自身が想像していた悩みよりもずっとライトだった為か、好奇心に負けキラキラとした眼差しでそう尋ねる。話したくなければ言わなくていいと伝えたが、豪炎寺は話し始めた段階で覚悟が決まっていたのか、一度深呼吸をしたのち思い人の名前を口にする。

    「__目金だ」
    「えっ」
    「……すまない豪炎寺もう一度言ってくれ」

    この流れで出てくるはずがない人物の名が聞こえ、円堂と鬼道は先ほどとはまた毛色の違った戸惑いの声を上げる。

    「俺が好きになったのは目金だ」
    「えええええ!?」
    「噓だろ豪炎寺……」

    しかし豪炎寺は、無慈悲にも念押しするようにまた同じ名前を二人に告げる。円堂は素直に信じられないとばかりに叫び、鬼道は悲痛な声で呟く。何故なんだ。何故目金なんだ。二人は声に出さずとも同時にそう思った。

    「……悪かったな二人とも。気分の悪い話を聞かせて」
    「!違う、そうじゃないぞ豪炎寺!ただちょっと、その、相手が予想外過ぎただけで……俺は豪炎寺が男だろうと女だろうと、誰を好きになったって馬鹿になんてしない!」

    呆然としたまましばらく口を利かなかった二人を『男同士の恋愛の話を聞かせたから』と捉えた豪炎寺は後ろめたさを感じたかのように謝罪の言葉を口にする。円堂はそれを聞きハッとしたようにすぐさま思いのたけを豪炎寺にぶつける。鬼道も円堂に続くように口を開く。

    「俺も円堂と同じだ。お前がどのような価値観を持とうと俺たちはそれを否定するつもりはない。……だが、こうなると少し難しくなってきたな」
    「え?どういうことだ鬼道」
    「豪炎寺のパフォーマンス低下の原因が気のたるみや成長の行き詰まりを感じているなどであれば、俺たちが協力することで改善は容易だ。しかし、恋の病が原因となると一筋縄ではいかないだろう」

    本来の本題である『豪炎寺のパフォーマンスをどう改善していくか』という問題を再度提示すると円堂は「そういうことか…」と頭を抱えた。

    「そこで提案があるんだが。豪炎寺、いっそのこと目金と距離を詰めてみたらどうだ」
    「え。けど、それだと余計に目金を意識しちゃうんじゃないのか」

    寧ろ悪循環に陥るのではないかと不安視する円堂に、鬼道はさらに自論を展開する。

    「今の豪炎寺は目金に対する戸惑いの感情を抱え込んでいる状態だ。その影響でプレイに支障をきたしているのであればいっそ目金と積極的にコミュニケーションを取り、少しでも胸の蟠りを発散させたほうが負担は減るだろう」
    「……豪炎寺、お前はどうしたい」

    お前の意思で決めてほしいと、円堂は豪炎寺に選択を託す。

    「……。今まで一人で悩んでいる間は、目金のことをどうやって意識しないかばかり考えていた。だが鬼道の言う通り、会話を心掛けるほうが意識しすぎなくて済むかもしれないな」

    そう言ってもやもやが晴れた表情で微笑む豪炎寺。それにつられるように円堂と鬼道の顔色も明るくなる。

    「じゃあさ、いっそ二人が一緒になる機会も増やしちまえばいいんじゃないか?」
    「えっ」
    「いいアイデアだな。最近の目金はサポート分野を中心に担っていることだ。お前のシュート分析でも手伝ってもらえばいい」

    本人を置いてワイワイと盛り上がる円堂と鬼道。豪炎寺は戸惑いながらも心中に沸く『目金と一緒にいられる時間が増えるのはうれしい』という欲もあり、二人の提案を受け入れるのであった。


    それから一か月。豪炎寺は二人の提案通り目金にシュート分析担当を頼み、目金はそれを快く受け入れた。そうして二人は今までと比べ格段に会話をする機会が増え、お互いを知り、順調に、健全な絆を深めていった。

    「なあ、鬼道。豪炎寺はあのままでいいのかな」

    だがそんな二人の様子に円堂は少しヤキモキしていた。何も知らなければ「あの二人仲良くなったんだな」と思うだけだったが、豪炎寺の気持ちを知った今となっては二人の和やかな空気に切なさすら覚える。

    「そう言われてもだ。これ以上俺たちが手出しできる事は無いだろう」
    「けどあのままだとあいつら、ただ仲良くなるだけじゃないか」

    このまま黙って見守り続けるのは辛いと訴える円堂。一線を引いた態度を保っていた鬼道も同様の考えなのか、目線を下に向け、押し黙る。

    「そもそも、目金のやつ豪炎寺に告白されたらどう答えるんだろうな」
    「目金の反応か。考えたこともなかったな」

    円堂のふとした疑問に、鬼道は豪炎寺に告白された目金の様子を思い浮かべる。

    『おやおや、まさかあの豪炎寺君が僕を好きになってしまったと。いやぁ、雷門のエースストライカーの心を魅了してしまうとは、僕も罪深い男ですねぇ』

    「………………」
    「落ち着け鬼道、今のは俺たちの想像であいつ本人が言ったわけじゃないぞ!」

    同じイメージが浮かんだのか、無言で立ち上がった鬼道の腕を掴み止める円堂。ハッと我にかえったのか、鬼道はすまないと円堂に詫びを入れる。

    「なら、実際に様子を見てみるか」
    「えっ、見てみるって」
    「豪炎寺達は、今日撮ったデータを見返す為に校舎の空き室に移動している。二人きりになった時のあいつらの様子を観察すれば、今の状況も見えてくるはずだ」

    のぞき見は悪いと思いつつ、好奇心が抑えきれず提案を受け入れる円堂。二人は監督に一言入れて練習を抜け出し、分析用に与えられた校舎内の一室へと移動する。

    「___で、ここの高さでシュートを決めた時が1番速度が出ていますね」
    「成る程…。やはりお前の見方は頼りになる」
    「ふふふ、これくらい造作もないことですよ」

    扉の隙間から室内を覗きこみ、廊下で盗みぎきする円堂と鬼道。豪炎寺達は横に並んで座った状態でテレビモニターを覗き込み、和やかな会話を交わしている。

    「それで、これを見てほしいんですけど」
    「ん、どこだ」

    目金の指さす部分を注視しようと目金との距離を詰める豪炎寺。するとビクッと震え目金は豪炎寺と距離を取る。

    「え、あ。すいません」
    「……いや、かまわない」

    自分の思いが無意識にでも漏れ出してしまっているのかと豪炎寺の表情に曇りがかかる。対し目金は、なぜ自分が豪炎寺が距離を開けようとしたのか不思議に思うかのように目線を下に向け二、三度瞬きを繰り返す。

    (「豪炎寺……」)
    (「……」)

    円堂は顔色を曇らせた豪炎寺を悲しそうに見守る。一方鬼道は目金の挙動に違和感を覚え、その動作に注視する。

    「あ~…。にしても、この作業二人で行っていますが、もっと大人数でやった方が良いんじゃないですか?僕一人の目線では意見の偏りもありますし。鬼道君や風丸君、同じストライカーの染岡君が見る事でまた違った意見が聞けると思いますよ」

    (「っ!まずい」)
    (「余計なことを……」)

    気まずさから投げ込まれたであろう話題、しかし筋の通ったその意見に円堂と鬼道は身をこわばらせる。目金の言う通りではあるが、そうなると二人きりの時間は無くなってしまう。

    「いや、それはいい」
    「え、何故です?」
    「……、お前とのこの時間が無くなるのは嫌だ」
    「へっ?」

    (「豪炎寺?!」)

    豪炎寺は主たる目的を真っ直ぐに語り、まさかの行動に円堂は慌て困惑する。一体どうなるのかと、ハラハラとした心境でことの成り行きを見守る。

    「前々から、お前と二人きりで話してみたいと思っていたんだ。同じ部員ではあるが個人間で話す時間は限られている。だからこの仕事をお前に頼んだ」
    「__そ、そうでしたか。まあ、僕もこの時間は嫌いでは無いですし。君がそこまで言うのであれば、これからも期待以上の仕事をして見せますよ!」
    「ああ、頼りにしている」
    「…………、あの。ちょっと僕、顔を洗ってきますね」

    (「!出てくる」)
    (「隠れるぞ!」)

    聞こえてきた声に円堂と鬼道は慌てて扉から離れ、死角となる位置に隠れる。その間もなく目金が部屋から出てき、扉を閉めた瞬間右手で口元を覆いしゃがみこんでしまう。目金の顔は遠くから見てもわかるくらい赤く染まっており、どう見ても嫌悪の感情はそこに無かった。

    (「…………」)

    どちらともなくその場から離れる円堂と鬼道。しばし無言で歩み続け人気のない場所へたどり着いた二人は顔を見合わせる。

    「なあ、鬼道」
    「……ああ」
    「目金のやつ、脈あるんじゃないか?」
    「……可能性は高いな」
    「だよな……」

    また訪れる沈黙。30秒、またはそれ以上の時間が経過した後二人は同時に互いを見合わせ、頷き合う。この日を境に二人は豪炎寺に積極的になるようはっぱをかけ、結果豪炎寺は目金と共に過ごす時間を順調に増やしていくのであった。
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    ROM

    REHABILI「嘘はまことになりえるか」https://poipiku.com/4531595/9469370.htmlの萌目の2/22ネタです。22日から二日経ちましたが勿体無い精神で上げました
    猫の日「……えっと、つまり。漫画君は猫耳姿の僕を見たいのですか?」
    「今日は2月22日だろう?猫の日に因んだイベント事をこう言う形で楽しむのも、恋人がいるものならではの体験だと思うよ」

    2/22。2という数字を猫の鳴き声と準えて猫の日と呼ばれているこの日。そのイベントに乗じてインターネット上では猫をモチーフとしたキャラクターや猫耳姿のキャラクターが描かれたイラストが数多く投稿されている。そして、猫耳を付けた自撮り写真が数多く投稿され、接客系のサービス業に勤めている女性達が猫耳姿になるのもこの日ならではの光景だろう。
    古のオタクを自負する萌にとって、猫耳とは萌えの象徴であり、身に付けたものの可愛さを最大限までに引き出すチートアイテムである。そんな最強の装備である猫耳を恋人にも身につけて欲しいと考えるのは自然な流れの筈だ。けれど、あくまでそれは普通の恋人同士ならの話。萌と目金の間に結ばれたこの関係は、あくまで友として萌と恋人のごっこ遊びに興じる目金と、目金に恋慕する萌という酷く歪な物であった。
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