離れたくなかった 妙に暑いな、と思ったのはコイツの城に来てから数時間経った頃だった。暑すぎても寒すぎてもすぐに死ぬ吸血鬼が普段と変わらぬ様相で過ごしているということは、恐らく自身に問題があるんだろうと思い至ったのは先程まで感じていた暑さが悪寒へと変わった頃だった。
なるほど、これは風邪を引いたか…種族の違うコイツにはうつることはないと思うが早めにお暇しよう、と一緒に遊んでいたゲームも丁度セーブポイントが見えていたので吸血鬼がセーブするのを見届けてすぐ立ち上がる…つもりだった。実際セーブしたところまでを見届けじゃあ、と声を発する途中ソファの肘掛けに重心を置き立ち上がりかけたところで支えきれなく崩れ落ちた。隣りに座っていた貧弱な吸血鬼はその振動に驚いて本日自称初の死を迎えたが、再生に時間かかっているところを見るにニ回目だなこりゃ。
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