メモ帳から出てきた女装鶴さんと源氏兄弟の話ハアと大きなため息が車内に響く、その様子に赤信号で停止し緑髪の青年が兄者と双子の兄に話しかけた。
「気持ちは解るが、もう手段を選んでられんだろ」
「まあ、それもそうだけどね……まさか、行き詰まるとは思わないじゃないか」
猫のような印象をした金髪の青年が弟を見る、顔立ちは瓜二つだが柔らかい印象のせいなのか全く違った顔に見えた。
弟が、信号を見据えて発進した。そのまま車は二人を乗せて郊外へと出る。ここからは見通しのいい真っ直ぐの道のせいか、車内では再び会話がはじまっていた。
「それでどこまで話は進んだかな」
「西園寺家の御令嬢が、ホテルの一室で失踪した、そして俺たちに依頼が来たんだ……」
「そうそう、よりにもよって消えたホテルがうちの傘下だったんだよね」
2694