特別について 名前を呼び捨てしてくれるまで返事をせん!というのが彼の言い分らしかった。
昼休みの教室で喧嘩未満の行為をしている僕らを、クラスメイト達が遠巻きに眺めているのを視界の端で捉える。
僕が違うところに意識を向けているのを察したのか、司くんは固く口を結ぶと、ふいと窓の方を向いて腕を組んだ。いかにも怒ってます、といったような雰囲気を出しているのにも関わらずどこか愛らしさが抜けないのは行儀良く閉じられた両足のせいか、たまにちらと僕を伺ってくるいじらしさか。どちらもだろうなと、思わず笑いを溢してしまった僕に司くんはとうとう口を尖らせた。
「なんで呼び捨てしてくれないんだ」
「今更呼び方を変えるのは恥ずかしくないかい」
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