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    kan_00

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    ジュンブラ無配ペーパー
    バディコ現パロはじぐだ♂

    せっかくならのジューンブライドネタ!
    一ちゃんは記憶をなくすことはないけれど、とはいえおぼろげだし自主的に忘れたことにはするかも知れない。

    #一ぐだ♂

    ある宵闇の酔いのこと「あ」
    「ん?」
    「お?」
     三人そろっての食事は久しぶりだった。
     パーシヴァルは相変わらずこれもあれもと食べさせようとしてきたし、実際に食べるまでただニコニコと二人を眺めていた。その無言の圧力に最終的には屈してしまい、朝から調整して備えていたにも関わらず、やはりどうしても食べすぎてしまうのだった。
     斎藤はそこに酒も加わっており、飲みすぎた、車乗ったら吐く、などと唸っている。どうやら今日はやけに進んでしまったらしく、今にも藤丸の肩を借りるはめになりそうだ。
     二人と同じくらい、いやそれ以上の量をたいらげているにも関わらず、パーシヴァルは特に変わった様子もなくけろっとしているのも毎度のこと。腹ごなしだ、と散歩に繰り出した二人の後ろについて歩きながら、やはりニコニコと笑っている。
     そんな道すがら、藤丸はふと視線を向けた先のはなやかな景色に声をあげた。
    「わぁ……」
     夜風に揺れる純白のウェディングドレスに、鈍く光沢を放つタキシード。おおきなカメラを持ったスタッフがドレスアップした二人を撮っていて、あれはいわゆるウエディングフォトというものだろうか。
    「へえ、こんなところでねぇ」
    「綺麗ですね。すごいな……」
    「ジューンブライド、ですね」
    「そんなの、商業的な理由じゃないのぉ?」
    「ちゃんと由緒ある理由もありますよ」
     あけすけな斎藤の言い草に苦笑しながら、パーシヴァルはなんだっていいんですよ、と幸せそうな二人へ目をやる。道ゆく人々が何事かと目をやるが、当の本人たちはお互いしか見えていないのだろう、気にするそぶりはなかった。
    「商業的な側面があることも確かですが、サムシングフォー然り、二人の門出に祝福を添えるものは多い方がいいじゃないですか」
    「サムシング……なんて?」
    「サムシングフォー、ですよ先輩。一番有名なのはサムシングブルー、なにか青いものを身につけるというものですね。あとはサムシングボロウ、ニュー、オールドがあります」
     へえ、と感嘆の声をあげる藤丸に笑顔を向ける。
     その傍らでなるほど、と呟きながらゆらゆらと体を揺らしている斎藤だったが、突然藤丸の肩へと腕をのばすと、ぐいとそのまま抱きよせた。
    「うわっ」
    「新しいものは立香ちゃんで、古いものは僕ってか。ははは、四つすぐにそろえられそうね」
     それだけ言うと、斎藤はすぐにその手を離した。
     楽しそうにけらけらと笑いながらひとり先をゆく斎藤の背を、二人はぱちくりと目を丸くしながらみつめることしかできなかった。
    「……お式はいつだい?」
    「パーシヴァルさん笑ってないで! 一ちゃん飲みすぎだよ!」
     耳まで赤くなりながら、藤丸は斎藤を追いかけていった。
     そのさまを眺めるパーシヴァルは、いい夜だ、と天をあおぐ。またたく星々が見守るなか、心地よい風が吹き抜けていった。
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