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    きふゆ

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    きふゆ

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    立香……霊感少女。好かれやすいしつきやすい

    一ちゃん……自称立香の守護霊。しかし、立香には見ることが出来ない。

    から始まる一ぐだ♀の冒頭だけ。

    #一ぐだ♀

    見えないひと『オネエチャンイッショにアソボ』
    『アソボアソボ』
    立香の周りにまとわりついている小さな子どもが二人。普通の子どもなら可愛いなと思うのだが、半透明で二人の周りに黒い靄がまとわりついていなければ平和だったのに。
    (返事しては駄目。返事はしちゃ駄目……)
    立香は子どもと反応しないように、目を合わせないようにしながら歩くスピードは少しずつ速くしていく。子ども達は悪霊の部類だろう。ふふふっと笑いながら立香の歩きのスピードから離れることはない。
    『ネェドウシテオヘンジシテクレナイノ?』
    『ハヤクワタシタチノナカマニナッテヨ』
    立香が反応してくれないのにしびれを切らしたようで、子どもの一人が立香に手を伸ばす。
    「いやっ」
    流石に無反応ではいられなかった。声を上げて小さな手を避ける。立ち止まって子どもたちと向かい合う形になる。立香がようやく反応してくれたのが嬉しかったのかキャッキャと笑い声を上げる。
    『ヤッタヤッタ』
    『アソボオネエチャンコッチオイデ』
    ゆっくりゆっくりとまた立香の方へ近づいてくる子どもたち。立香に追い返す術もないので、全力で逃げるしかない。
    (タイミングを見て逃げる……!)
    心の中でカウントダウンをしてタイミングを見計らっていれば、カチンと金属音。そして子どものうち一人の首がゆっくりと落ちていって悲鳴を上げて消えていった。立香の緊張が少しだけ和らぐ。
    「やっと見つけた」
    男の声が聞こえた後、混乱しているもう一人の子どもも首が落ちて同じように悲鳴を上げて消えていった。子どもの姿は見えない。立香は完全に警戒を解いて安堵の息をはいた。地面に座り込めば、頭上から全くもうと男の声が聞こえる。
    「俺がいない間に間一髪だったじゃないの、立香ちゃん」
    「えへへ、ごめんなさい。ありがとう一ちゃん」
    立香は顔を上げる。そこには声の主は見えないが気配はそこにある。
    「はいはい……怪我はしてないよな?なら、汚れるから立ち上がりな」
    立香の腕が見えない手に掴まれてそのまま引っ張られた。一ちゃんから引っ張られたようだ。引っ張られて立ち上がった立香はそのまま汚れてしまったスカートを叩く。
    「ありがとう」
    さっきの子どもに掴まれるよりも一ちゃんに掴まれる方がずっと安心感がある。一ちゃんは自称立香の守護霊だ。しかし幽霊が見える立香だが、一ちゃんの声は聞くことは出来るが見ることが出来ない。一ちゃんは強い力を持つ幽霊らしく彼曰く刀で幽霊を切ることが出来る。立香が幽霊に絡まれる度に一ちゃんが助けてくれている。
    (ちゃんと見れたらいいのに)
    声とたまに触れられる腕に男性だと分かるくらいだ。
    「一ちゃんいる、よね……?」
    一ちゃんの気配は感じるが見ることが出来ない。さっき襲われたこともあって不安だった。ふと気配が動いて立香の手を握られる。一ちゃんが握ってくれたようだ。
    「いつまで経っても子どもだねぇ立香ちゃん」
    「うん。子どもでいいよ」
    一ちゃんが手を握ってくれている感覚はあるけれど、温度は感じないけどずっと安心出来る。一ちゃんからは子どもだって言われるけれど一ちゃんと手を握っている感覚が立香はすごく好きなのだ。
    「このまま一緒に家に帰ろう?」
    「いいよ。けど俺に喋りかけるのは止めときなよ立香ちゃん。また変人って思われるよ」
    「はーい」
    いい返事を一ちゃんに返してから立香は家に向かって歩き出した。
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