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    残念ながら全て幻覚でした!!!!(小噺only)
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    2022年のエイプリルフールに夢を見た、犬の獣人族音也くんと作曲家ハルちゃんの音春です。突然NLを書き始めるのでない。

    #音春
    soundSpring

    Inhale the warmth. (音春)オーディオデッキからずっと知らない曲が小さく遠慮がちに流れている。
    それは時に激しく、時に緩やかにメロディーを奏でては余韻を残しながらフェードアウトしていき、そしてまた新しい曲が流れ始める。
    ソファーで仰向けに寝転びながら横目に、こちらに背を向け床にクッションを敷いて座ってパソコン作業をしている人物へ「誰の曲?」なんて問いかければ、少し間が空いてから「クライアント先の今までの楽曲です」とちらりとこちら見てくれるものの簡潔な答えが返ってくる。
    その後も視線は再びパソコンへと戻り、カタカタと止むことのないキーボードを打ち込む音と遠慮がちな存在感で延々と響くバンドの演奏に、どうやら無意識にため息が出ていたらしい。肺の中の空気がなくなった感覚と同時に、ふと小さく聞こえていた音楽とキーボードの打ち込む音が止まり、続いてずぅっとパソコンとにらめっこしていた彼女がようやくこちらを振り返ってくれた。
    「音也くん」
    「ん、終わったの?」
    名前を呼ばれれば真横を向くように寝返りを打つ。すると春に咲く菜の花のように愛らしい色をした彼女の瞳が俺に向けられていて、もうそれだけでなんだか無性に嬉しくて背後からばたばたと忙しない音と風圧が響き始める。その様子に彼女は小さく笑って、ひとつ伸びをするように腕を伸ばしてから体ごとこちらに向いてくれた。
    「まだまだかかりそう、かな。でも……ちょっとだけ、疲れちゃって」
    そう言いながらおもむろに俺の胸元へ緩やかな動きで頭を寄せて、そのまま微動だにせず顔を埋めてくる。少し傾けば重力に従ってさらさらと流れ落ちる彼女の髪に指を通しながら梳き撫でると、無言のままちらりと見上げてくるものだから、その不意打ちな可愛さにとくんと胸が高鳴った。
    「なあに、春歌。甘えたい気分?」
    「音也くんを吸いたい気分」
    「えぇ? 俺、猫じゃないよ?」
    世間ではよく『猫吸い』なるモーションが流行っているらしく、どうにもこれが癒し効果があるのだとテレビでも話題に上がっているのをたびたび見かけてはいた。が、まさか犬である自分が吸われる身になるとは思ってもいなかったので、服越しに熱を帯びて篭る呼吸にこそばゆさを感じつつもきゅっと彼女の頭を優しく抱え込む。
    「ん-……音也くん、いい匂い……」
    「ふふっ、くすぐったいなぁ」
    ぐりぐりと額を擦り付けられ、そのくすぐったさに小さく笑いながらきゅっと少し強めに頭を抱きかかえれば、腕の中から彼女の可憐な笑い声が聞こえた。
    「ね、後でお散歩行かない?」
    「お散歩ですか?」
    「気分転換も大事じゃん?‪ お散歩して、途中のカフェでおいしいもの食べてさ」
    納期、まだ先なんでしょ?と問いかけると少し考えるように唸り、それから身体を起こしてまたパソコンと向き合ったかと思えば数回のクリック音の後にパタン、とパソコンが静かに閉じる音がした。
    「わかりました。じゃあ、準備してくるね」
    「うん!」
    パソコンと睨めっこしていた時より和らいだ表情の彼女に尻尾を振って見送る。よいしょ、と自分も身体を起こしてさっきの彼女みたいに一つ伸びをして……ふと窓越しに見上げた空は真っ青で、二人を祝福するような日差しが降り注いでいた。
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    DONE22年3月のリハビリリクエスト企画にて頂きました。リクエストくださった方とは縁が切れたので非公開でも良いのですが、他の方が書いたSSを漫画に書き起こしてストーリー構成などの原作は己だと自作発言をして盗作なさるような方なので一応保険のため残してあります。
    年長の二人の関係性に対して解釈が不明瞭・不慣れな部分が多いため所々関係性があやふやです。すまない。
    微睡みの星灯り。 (那レン)長い長い一日が終わる。
    今日の仕事はスケジュールがタイトだったこともあり、それもなかなか骨が折れる内容ばかりで気が付けば夜も更けていた。家に辿り着いた頃には日付けも変わっていて誰もいない部屋に重たい足取りで帰宅して、適当に荷物を廊下に置いてからそのままバスルームへと足を運ぶ。パウダールームで乱雑に衣類を籠に落として浴室へと移動しシャワーを頭から浴びれば、この身に溜まった疲労による怠さも全てが水滴に溶けて流れていくような気がして、一つゆっくりと息を吐いてからコックを捻りシャワーを止めた。
    時間も時間だからと軽めに入浴を済ませてからバスルームを後にして、途中で置き去りにした荷物からスマホを取り出し通知チェックをしながら髪を拭う。ある程度返信等を返してからテーブルに置き、軽くバスローブを纏ったまま明日のオフは何をしようか、などと返信を行いながら注いだ水の入ったグラスを片手に思案していると軽快な音楽が鳴り始めた。それと共にブブ、とテーブルの上で響く小さなバイブレーションの音に腕を伸ばし手にしたスマホの画面を見れば、まさかの人物からの電話に急いで通話をタップする。
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