〈裏切り者には 必ず 死を〉
それはティーラパンヤークン家の信条で、いつしか俺の信条になっていた。生まれてから今日まで、いつだって死は身近にあった。そんな世界で生きてきた。
なぜ耐えられる?そう問うPorscheに、選択の余地はないと答えた。いちいち辛さを感じてたら、とっくの昔にKinnという男はティーラパンヤークン家から逃げ出すか、自らこの世を去っていただろう。
『あんたに感謝してる』
不意にそう言われて心が動いた。無防備に笑うこの男の唇に触れたら一体どうなるのか、知りたかった。決して綺麗とは言えない埠頭に座り込み、雰囲気の欠片もない酒臭い口付け。触れてから後悔した。この世界に置いておくには忍びないと思ってしまうような何も知らない[[rb:普 > ・]][[rb:通 > ・]]すぎるこの男の唇は柔らかく、とても甘やかだった。
1905