休日 太陽が燦々と降り注ぎ、物干し竿に干された布団や服をその光で包み込む。
雲は無く、非常に洗濯物日和であることは明白だ。
中腰から洗濯物を取ってはハンガーにかけてを繰り返していたので伸ばすと腰がパキパキと音を立てた。
「ハク、洗濯物は全部干し終わったぞ」
「お、サンキュ〜」
室内からは穏やかな声が帰ってくる。
家の中では日々四隅に溜まるホコリを掃除機で吸いつつ「早く飯食いたい…」と1人でごちていた。
「ハク、それ終わったら飯にしよう」
だから頑張れと告げるとキリッとした顔でこちらを向く。
「マックを買いたい」
…我が嫁殿は手を抜きたいようだ。
ただ、その提案はこちらとしても大変魅力的な提案だった。
新作とあればこちらとて試さずには居られない。
ここまでの処理をコンマ1秒でこなし瞬時にサムズアップを送る。
向こうもわかっていたとばかりにサムズアップを返し掃除機を再びかけ始める。
さて、こちらは洗濯物を干し終わった。
次は干すものとは分けていたアイロンをかけるべき物にノリを吹きかけてアイロンをしていくことにしよう。
洗濯物カゴを抱えて室内に戻る。
洗濯物が穏やかな風に吹かれて揺らぐ。
今日も穏やかに日常が流れる。
————
平日はどちらも仕事のため掃除などはもっぱら土曜日や日曜日にまとめて行う。オシュトルはほぼ毎日にスーツに着替えては朝早く通勤をしていく。エンジニアであるこちらは毎日テレワークのため家で作業をしてる。生粋の営業サラリーマンとゆるゆるエンジニアサラリーマンとでは住む世界が違うとも思われたが、どのような巡り合わせか現在は一つ屋根の下にて不可思議な共同生活をしていた。
さて、掃除機をかけ終わり床も気持ちも大変スッキリした。ただ、掃除機をかけた自身は埃で塗れているようにも感じ、少しむせた。
「オシュトル、こっちは終わったぞ〜」
洗濯機の前のスペースでアイロン台を引っ張り出してアイロンをかける自身の旦那様を確認する。
すでに向こうは終わらせていたのかアイロン代をまるでバーカウンタで客を待つかのように頬杖をつきながらスマートフォンを片手に一息ついていた。こちらの終わりの声の後アイロンとアイロン台を片付ける。
「お疲れ様」
片付け終えてこちらに向かってくる。こちらにそう労りの言葉をかけてふむと少し思案する素振りを見せる。
「……なんだ?」
「いや、昼に向かう前に一度シャワーにでも入ったらどうかと」
手が伸びてきたかと思ったら髪に触れた
先ほどの埃塗れの感覚は間違いではなかったようで、指先には小さな埃が付いていた。
「……外だし問題なくないか?」
高々外にマックを食べに行くのに少し埃を被っていたところで……と思ったが向かい合う男は賛同する素振りはなかった。頭を抱えている。