龍門での会合の帰り、寄りたい場所があるからと途中でアーミヤたちと別れたドクターは、護衛のエンカクひとりを伴ってぶらりと電飾輝く通りを歩いていた。
「ホシグマが教えてくれたんだ、今日はここに夜市が立つからって」
「祭りか何かか」
「下町の各地域をね、巡回するらしい。といっても不定期だからありつけるかどうかは地元の人でもわからないらしいけど」
なるほど、移動式の屋台が多いのはそのためか。見れば道に置かれた看板はどれも軽く、持ち運びが容易なものばかりで、吊り下げられた電飾はコンパクトな収納式のものだった。それでもこれだけの数が並べば壮観としかいいようのない景色であり、人と食事の生み出す熱気にエンカクですら気圧されそうになるほどの喧騒が、その一帯には満ちていた。
1222