原稿85.
「よう、ジョルノ!」
側近用のオフィスのドアを開ければ、寝転ぶミスタが真っ先に目に入った。ソファーの上で朝から寛いでいるミスタを、フーゴが苦々しい表情で睨んでいる。
「おはようございます」
「おはようございます、ジョジョ。こちらが今日、ルカーノにサインをさせる書類です。目を通してください」
書類の積まれたデスクから立ち上がり、フーゴがジョルノに近づいた。
差し出された書類の束を受け取ると、ジョルノは目を通し始めた。業務提携というよりは、互いに協力して麻薬の売人及び販売ルートを締め出そうという協定だ。パッショーネから逃げ出した連中を締め付けるためには、近隣の組織との協力が不可欠となる。彼らが隣接する組織の中で優遇されては、苦労は全て水の泡となる。パッショーネは本格的に麻薬の排除を行なう。その宣言でもあるのだ。この協定はその第一段階と言えるだろう。
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