Recent Search

    zyogasaki_

    @zyogasaki_のやましい落書き入れ。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 29

    zyogasaki_

    DOODLE冬毛でもこもこむちむちの布九尾の話「きゅうん、くん……」
    「よしよし……」
     猫なで声を出している九尾は、腹を上に向け、国広に擦り寄って甘えている。胡座をかいた脚の間に収まっている姿を見ると子犬のようで、いつか国広よりも大きく育つのかと思うと寂しいものがある。
     まだ変化(へんげ)に慣れない彼は、こうして眠る前は元の姿に戻ることも多い。この姿に戻った彼を愛でるのは日課のようなものだ。

     ――成体でないとはいえ、あの気高い九尾がここまで自分に懐くと国広は思っていなかった。
     ただ一晩、飯をやって助けただけだがこうしてずっと傍に居る。
     人間の姿は弟の様で愛おしく、獣の姿は小さく愛らしい。そんな彼に好かれるのだから悪い気はしない。
     それに加えて彼は可愛らしいだけでなく、九尾としての力も強く、頼りになる。
     もう国広は彼無しの旅は考えられなくなっていた。
    ――ちりん
    「ふふ、この鈴つけて正解だったな。可愛らしいし、何より何処にいるか分かって安心する」
     彼に買ってやった首の鈴が鳴る。
     国広が贈った飾り紐に括り付けられているそれは、逸れないようにと町で買ったものだ。動く度にちりん、ちりんと鳴らす姿は猫のようで微笑ましい。 1319

    zyogasaki_

    DOODLEホワイトデーも過ぎてしまったけど吸血鬼んばんばのバレンタインネタ。甘め街中に漂う甘い香りと、何処か浮ついた雰囲気。
     バレンタインデーというものを経験するのははじめてだったが、恋人のためのイベントだということは聞かされていた。恥じらう気配も無く寄り添い、手を繋ぐ恋人達を見てる度に恥ずかしくも、羨ましくも思いながらくにひろは街を歩いていた。
     片手には先程買ったチョコレート。相方である国広のために購入したものだが、店に入るだけでも気恥ずかしかった。自分には似つかわしくない上品で、高級感のある紙袋はひと目で恋人に送るものであると分かるだろう。
    「なんと言って渡そうか……」
     もちろんバレンタインにチョコレートを贈ったことなど無い。ただでさえまだ国広には遠慮があると言うのに――
     それでも彼にプレゼントがしたくて街へ繰り出したのだった。




    「おかえり、早かったんだな」
     家に戻ると、リビングから顔を覗かせた国広が迎えてくれる。
     こうして共に暮らす様になってまだ幾らも経っていないが、彼の顔を見ると安心する。
    「ただいま……」
     午前中に街へ出かけるとだけ伝えていたが、何を買いに行ったのか察しが付いているかもしれない。
     くにひろは右手にぶら下げていた紙 2511