パステルカラーの面影 店先から中を覗き込む怪しい影。
やたら目立つ、淡いみどり色の丸い後頭部をローが見つけたのは偶然だった。
【パステルカラーの面影】
梅雨の走りか、ここ数日は天気の悪い日が続いていた。
しとしとと降る雨がようやく上がった休日の昼下がり、ローは隣町にあるショッピングセンターにひとり繰り出していた。上階にある大型書店で用を済ませ、エスカレーターでひとつ階を下る。上から見下ろす目線の先、ローは見覚えのある後ろ姿を見つけた。
気づかないそぶりで無視しても良かったが、スルーできない違和感に抗えずにローはスタスタと早足で影に近付く。
「何してる、ゾロ屋」
「のわっ……あ、先輩?」
びくりと肩を跳ねさせ振り向いたのは案の定というべきか、ローの通う高校の後輩にあたるロロノア・ゾロだった。特徴的な淡く明るいみどり色の髪は見間違うべくもない。
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