座敷牢南水「ねえ、お師匠、いい加減僕を許してくれないかな」
「誰が許すか。人をこんな風に閉じ込めておいて」
座敷牢からの鋭い視線を南海太郎朝尊は受け流すとニコリと人好きのする笑みを浮かべる。ここは時の政府の座敷牢だ。ここを利用するのはそう言った癖を持つものくらいで普段は物置として使われている。ここに来て何日が経過しただろう。光すら差し込まない部屋。
「お師匠にしか頼めないことなんだ」と言って連れ込まれたのいつだったか。括り付けられた手首を動かそうとすればどういう仕組みか体に電気が走る。
「いい加減解放して欲しいんだが」
「それは聞けないお願いだね。この間興味深いものを見つけてね、僕はそれにとても心が惹かれたんだ」
「それと私、なんの関係が?」
「身に覚えがないのか。無自覚なら尚更質が悪いね」
そう言って南海は懐から一枚の写真を取りだし水心子に見せる。
そこには南海が見た事のない水心子が写っていた。