水麿の水と麿水の麿が擬似親子の話「ねえ、水心子、ずっとずっと一緒だよ。僕を置いていかないって約束して?って約束したのに」
「だからそばにいるだろう。」
「…養子縁組なんてする必要どこにあったの?保護者に水心子の名前を書くくらいなら婚姻届に描きたかったんだけど」
そう言って清麿は前世と変わらぬ赤紫の目で水心子を睨みつける。この二人前世では刀の付喪神だった。そして今世での二人の関係は父親と息子だ。見つけてくれたことは嬉しいがこの関係は正直嬉しくない。前世からの親友をお父さんと呼ばなきゃいけないなんて。人前では親子を装っているが2人きりになるとその関係は前世そのもので。まあこの関係も嫌いではないが。それでも子供扱いされるのはやはり癪に触るわけで。
「この世でも私はお前のことを好ましく思っているが同じ人間の女に目が眩むこともあるだろう。息子の彼女を見るのも悪くないな」
好ましく思っているならそんな発言をしないで欲しい。前の世の水心子はもっと可愛かったはずだ。それなのにどうしてこんなと思っていると水心子が問いかけてきた。
「以前から聞きたかったんだが貴殿は本当に私の源清麿か?」
「…それ僕も怪しいなと思っていたんだよね。僕の水心子は君と似ても似つかないくらい可愛くて夜も床上手だったんだから!」
「床上手と言えば私の清麿もうまかったな。何度抱いても生娘の様で初々しかったな」
「あれ、もしかして君の清麿は…」
「鞘だが。そちらの水心子は…」
「僕の可愛い子猫といえばわかるかな。お、と、う、さ、ん」