話しているだけ まるで灯りがつけられたように、反射的な覚醒だった。子供は寝つきも良ければ、寝起きも良いらしい。すっかり忘れた幼少期もおそらく同じだったのだろう。
周りを見回せば、近しい年齢だった筈の男達は未だ夢の中だ。カーテンの向こう側も、さして明るくない。
買い与えられたスマートフォンは、どうにもこの手には大きすぎる。両手で持たなければ、操作が覚束なかった。
そんなスマートフォンの画面に触れ、時刻を確認する。
明け方という程でもなかったが、まだまだ眠っていられる時間だった。しかし、一度ここまでハッキリと目を覚ましてしまえば、二度寝はできない。
上背がある男達が選んだベッドは些か広すぎる。起こさないように出ていくには、簡単に飛び降りられなかった。あまり音を出さないよう、ずるずるとシーツの上を這って、ベッドから降りる。
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