無題「サウラー。今から買い物に行くんだが、何か買ってきてほしいものはあるか?」
「そうだね……ゴムを買ってきてもらえると嬉しいかな」
「ごっ……!?」
サウラーの発言に、ウエスターは驚いて言葉を詰まらせた。
(これは……そういうアピールなのか……!?)
どう答えたものかとウエスターが考えていると、サウラーが再び口を開く。
「さっき髪を結ぼうとしたら、切れちゃって」
「……あ、ああ。なるほど」
「だから、すぐに切れないような太めのヘアゴムを買ってきてくれるかな」
「分かった、探してみよう」
(……なんだ、オレの勘違いだったのか)
口に出さなくて良かった、危うく一週間くらいは無視されるところだったとウエスターは心の中で胸を撫で下ろした。サウラーは一度機嫌を損ねると長いので、不用意なことは言わないのが吉なのだ。……とはいえ、怒った顔のサウラーも可愛いと思ってしまうのがウエスターなのだが。
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