全部、置いて行こうか。【西南】「……隼人?」
突如背後から聞こえた声に、隼人は飛び上がりそうなほど驚いた。
「しゅ、瞬……!?」
「何してるの?こんなところで」
「あ……いや、これは、その、」
慌てふためいて上手く言葉を繋げられない隼人を他所に、瞬は一歩ずつ隼人のいる方へ歩いてくる。足元に転がる「それ」を見つけた瞬間、瞬は顔色一つ変えず呟いた。
「ああ……なるほど」
「ち……違うんだ、瞬。その、こんなことをするつもりはなかったというか、き、気付いたらこうなっていて……」
「隼人」
しどろもどろの言葉を遮ったその声に、隼人の心臓がぎゅっと締め付けられる。次の瞬間聞こえた言葉は、思わず耳を疑うようなものだった。
「もし、今から海か山に行くのなら……どっちがいい?」
1728