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    ももた

    @momoGameholic
    ふわっと浮かんだお話をえいやっ

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    POIPOI 162

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    nbsk_pk

    DOODLE転生現パロ記憶あり。博が黒猫で花屋の炎さんに飼われている。博猫さんは毛づくろいが下手すぎてもしゃもしゃにされたのを自力で戻せないので、原因にブラッシングを要求しました
    ねことのせいかつ いくら朝から店を閉めているとはいえ、生花という生き物相手の職業であるためやらなければならない作業は多い。ましてや今回の臨時休業の理由は台風、取引先各所への連絡から店舗周辺の点検と補強までひと通り終わらせたときには、すでに窓の外にはどんよりとした黒い雲が広がり始めていた。


    「ドクター?」
     店の奥にある居住スペースの扉を開けても、いつものようにのたのたと走り来る小さな姿はない。しん、とした家の気配に嫌な予感を募らせたエンカクがやや乱暴な足取りでリビングへと駆け込んだとして、一体誰が笑うというのだろう。なにせあのちっぽけな黒猫はその運動神経の悪さに反して脱走だけは得手ときている。植物や薬剤をかじらないだけの聡明さはあるというのに、頑として水仕事で荒れた手のひらで撫でられねば一歩も動かないと主張する小さな生き物に、どれだけエンカクが手を焼いたことか。だがエンカクの心配をよそに、雨戸を閉めた仄暗い部屋の中で黒猫はあっさりと見つかった。キッチンの出窓、はめ殺しの小さな窓には雨戸もカーテンもないため、今にも落ちてきそうなほどの暗雲がよく見て取れた。自身が抱いているものを安堵とは決して認めないものの、やや歩調を緩めたエンカクは窓の外をじっと見つめたまま動かない黒猫の背にそっと立つ。
    1015

    nbsk_pk

    DOODLEおじ炎博、あんまり美味しくなかったのど飴の話。おじ炎さんが考えすぎている。庭園メンバーいつまでも仲良しだととても嬉しい。
    おじ炎さん一人称にした結果、おじ炎さんの認識がだいぶずれてるのでスズちゃんたちがめちゃ小さかったことになってたり鉱石病があんまり脅威じゃなかったりしてるのに博さんの体調にはすこぶる敏感で、自分で書いてて愛じゃん…て勝手にニコニコしていた。
    「だから置いていっていいよって言ったのに」
     何のことを言われているのかと尋ねられたところで、俺に返せるのは無言だけである。だが目の前の人間はといえばその無言からですら情報を引き出しあっさりと真相へとたどり着いてしまうほどの脳みその持ち主であるため、つまるところこれはただの意味のない抵抗でしかないのだった。

     鉱石病というのはそれなりに厄介な病気で、時間をかけて徐々に内臓の機能を奪っていく。そのスピードや広がりやすい箇所には個人差が大きいとされているが、やはり感染した元凶である部分、俺に取っては左肩から喉元にかけての不調が最近とみに目立つようになってきた。そもそもこんな年齢まで生きるつもりもなかったのだと言えば、目の前の妙なところで繊細な男はわかりやすく気落ちして、挙句の果てに食事量まで減らして回りまわって俺が怒られる羽目になるため口にするつもりはない。たかがサルカズ傭兵というそこらじゅうで使い捨てにされる命ひとつにまで心を割く余裕など持ち合わせてもいないくせに、固く握り込まれるその小さな拳をそこまで悪いものとは思わなくなったのは、まさしく病状の悪化のせいに違いない。決してこの男に感化されたわけではない。決して。
    1956

    recommended works

    お箸で摘む程度

    TRAININGクルビュ
    秋の日のオフ、マリオンが秋服を全く持っていないレンを連れ出して買い物に行く話。
    ほんの少しシオンさんの捏造があります。
    マリオネットの秋空 輪郭を掴めない穏やかな夢が、少しずつその彩りを光の中に滲ませていって、おぼろげな風景が知らぬ間に部屋の景色へと変わっていく。目を開けたという自覚もないまま、俺はベッドの中で無機質な天井を眺めていた。
     瞼を優しく下ろそうとする眠気の誘惑に抗って、理性を叱咤し上体を起こす。枕元の時計は五時過ぎを指しているが、この明るさはどう考えてたって午前五時でも午後五時でもない。早朝トレーニングに勇んで目覚ましを仕掛け、意識の無いうちに壊したらしい、数日前そのままの時計だ。スマートフォンを確認すると、ピントのずれた野良猫の後ろ姿の上に、九時三十分の表示がある。

     今日は数週ぶりの一日オフ。ガストは普段通りに出勤したようだったが、一人で起きたのにこの時間ならば上々だ。ひとまずは顔を洗いに部屋を出る。今日こそは部屋でゆっくりと猫短編集を読み進めたい。百冊セットの文庫の山は手付かずの巻数をまだまだ残し、難攻不落の様相で部屋の片隅に聳え立っている。そのうずたかい活字の中に潜む数多の猫たちにこれから出会えると思うと、そこに山があるから登るのだと宣う登山家の気持ちにも頷けるものだ。心ゆくまで物語の山道を攻略したら、それから少しトレーニングをして、明日も早く起きられるよう早く寝よう。洗面の傍ら頭の中で一日の算段を立て、タオルを片手に部屋へ戻ろうとすると、リビングでどこからか帰ってきたらしいマリオンと鉢合わせた。
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