戦闘描写習作【アキラ+ウィル】「うおおおぉぉっ!」
アキラは拳に炎を纏わせ、【イクリプス】の群れに突っ込んでいく。いつもなら小言を並べるウィルも、その口を固く閉じてアキラの後に続いた。
アキラは高く跳躍し、躊躇いなくその拳を【イクリプス】に突きつける。瞬間、炎が広がり周りの【イクリプス】も巻き添えになって煙のように消えていった。
「まだまだっ!」
着地してからも炎が収まることはない。炎の渦の中心で、アキラは次々と【イクリプス】を薙ぎ倒した。視界が徐々に開け、周りの様子が見えるようになる。ウィルが【イクリプス】に囲まれているのが視界の端に映ったが――アキラは微塵も不安を抱かなかった。決して奢りからくるものではない。――ウィルの力を信用してのことだ。
「はあぁぁぁっ!」
ウィルが勢いよくハンマーを振りかざして地に下ろす。すると、コンクリートであるはずの道路からツタ状の植物が芽吹き始め、あっという間に【イクリプス】を拘束した。
「アキラ、今だっ!」
「わかってる!」
自分をターゲットにしていた最後の【イクリプス】を焼き払い――次にその拳はウィルの生やした植物へと向けられた。
「喰らえ! ボルテージマックスピットファイアリーフアタック!!」
アキラの炎が植物へと移り、勢いよく燃え上がる。無事に2人の周りにいた【イクリプス】は姿を消した。
「必殺技の名前言うの諦めてなかったんだ?」
「今日はブラッドがいないんだし別にいいだろ!」
悪戯っぽく笑う幼馴染に、ウィルは苦笑を浮かべた。