阿澄、危機一髪!曦臣と江澄は恋仲になりもう数年になる。
魏無羨がこの世を去り、穏やかな日々がすぎる中で二人も穏やかに深い愛を育んでいる。
金氏と協力し金凌を育てている江澄であるから、月の半分ほどは金凌が蓮花塢に滞在することになっている。
その事情もあり、二人の逢瀬は曦臣が蓮花塢に来る事のが多く、自然と曦臣と金凌も顔を合わせ、話をし、共に過ごすことが増えた。
今日も金凌の滞在中に曦臣が蓮花塢を来訪し、三人で雲夢の街を歩いている。
久しぶりにあう曦臣と楽しそうに手を繋ぎ、小さいなりにあーだこーだと一生懸命話をしている金凌とそれを楽しそうに聞いている曦臣を少し後ろから眺めていた。
江澄は、その光景に自然と笑みを浮かべた。
(あぁ……幸せとはこういうことか……。まるでホントの家族みたいだな。)
昼餉の後から夕刻まで三人で雲夢の街を見て回ったためか金凌は夕餉後直ぐに眠りについた。
そこからは二人の時間だ。
三人の時間も楽しいが、その分なかなか2人になれないので二人の時間が大切でいつも濃厚な時間となる。
しかも、最近は互いに執務が忙しくなかなか逢瀬を重ねれなかった。
金凌が眠り、江澄の私室に二人で移動するとそのまま牀榻になだれ込み、どちらからともなく口付けを交わすどんどん深いものへと変わっていった。
快楽の波に二人共に身を任せ、お互いを貪りあった。
情事後、まだ上がる息で、牀榻でまるで半身だと言わんばかりにただ抱き合っていると、廊下を走る音を聞いた。
お互いにうん?と思い顔を見合わすと
走る音とともに
「じうじうーー泣
たくーくんー泣 」
という声が聞こえてきた。
「じ、じんりん?!」
2人は焦った。
なんせ、まだドロドロの身体のまま、お互い裸なのだから。
そんな二人の気も知らず、声の主である金凌は走った勢いのまま泣きながら私室のとをあけた。
「じうじうーー泣 たくーくんー泣
うわぁーーーんっ…どこーー?泣」
金凌は泣きながら私室の中へ入って2人を探している。
「じ、じんりん。ど、どうしたのだ?
ちょ、ちょっと待てよ。おい。そこで止まれ。あっ…!」
私室の奥にある牀榻は金凌からは衝立の影になっており今は見えないが、声の大きさから確実にこちらに近づいているのがわかり、江澄の頭は真っ白になった。
裸のままならまだいい。着れば良いのだ。
しかし、己の中にはまだ曦臣が放った情事の証がそのままになっており動いた瞬間にそれは中を伝い、足へと降りてくる。
現に今も少し身じろいだだけでつたい降りてきて、思わず艶めいた声が出てしまい、口を押えた。
しかも、久々の情事で箍が外れた。いつも以上に激しいものとなったのは自覚があり、足腰が全く立たない。
衝立の向こうに金凌の影が見え、
(あぁ、もうダメだ。恥ずかしすぎる。。
姉上、すみません……俺は今から金凌に飛んでもない痴態を晒すことになりそうです……)
と、江澄はこの姿を晒すことを天の姉に謝罪し、諦めかけた。
「阿澄、大丈夫。私が何とかする。
阿澄はこのまま。」
いつの間に着たのかとりあえず内衣だけ身につけた曦臣が江澄の頭を撫でると唇をよせ、衝立の向こうへと消えていった。
「金凌、どうしたの?こんな時間に起きるなんて」
「たくーくん…泣 じうじうは……」
「江澄はもう寝ているよ。金凌の声にちょっとだけ起きたけれど私が見てくるとまた寝かせてしまった。」
「んーー……たくーくん。ひっく、あのね、ゆめみたの。ひっく、こわくて、かなしいゆめ。」
「そうなのかい。
では、一緒にお部屋に行けば怖くないかい?」
金凌は頷くと手を伸ばした。
曦臣は、金凌を抱き上げると戸に向かい歩き出した。
「眠るまで手を繋いでそばにいるよ。それすれば怖い夢もどこかにいってしまう。さぁ…行こうか。」
曦臣の声が遠ざかるのを聞いて江澄は一息ついた。
(た、たすかった……こんな姿、金凌に見せられるわけがない……これからは事後も結界を張っておこう……)
江澄は一人項垂れながらそう思案し、曦臣が戻ってくるまでに何とか湯浴みをしようと考えた。
内衣を犠牲にし、中のものが伝い落ちるのはどうにか出来る。
そこまでは良かったのだ。
しかし、足腰が言うことを聞かない……
ガクガクブルブルと震え、立ち上がろうとすると力が抜けその場にペタリと座り込んでしまう。
這っていくと、内衣で秘部が押さえられない……
江澄が四苦八苦しているうちに、いつの間にか戻ってきていた曦臣が軽やかに江澄を抱き抱えるとそのまま湯浴みに連れていった。
「阿澄。あーだこーだと悩んでる姿は可愛かったけれど、床に座るのは冷えてしまうよ。私が来るまで待てばよかったのに。」
「いや、いつも悪いしな…たまにはと思ったのだが……」
「私の楽しみの一つなのだから気にしないで。
金凌はまたすぐに寝たよ。しばらく様子を見ていたけれどうなされることも無かったからもう大丈夫だと思う。」
「すまない…。助かった。
これからは少し考えよう。」
「そ、そんなっ!!減らすなんて無理だよ。私はいつでも阿澄を堪能したいのだよ。」
曦臣は抱き抱えている江澄をそれはもう力いっぱい抱きしめた。
「ちょ、ち、違う!いたいっっ!!ち、力をぬけっ!!
……そ、そうではなくて、結界をだな。
そ、その処理が終わるまでは……」
「あぁ!わかったよ。これからは私が張ろう。
江澄が意識を飛ばしてしまうと解けてしまうからね。」
艶やかな笑顔で曦臣は同意した。
「そっ……//それはっ……//
でも、うん。頼む……//」
金凌の突撃で危うくあられもない姿を晒すところだった2人だが、なんとか回避し、また幸せな逢瀬を続けるのだった。