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    komaki_etc

    波箱
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    北村Pの漣タケ狂い

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    ファンクロ/漣タケ

    #漣タケ

    サクラ「見てくれ、ファング、アーモンドの花だ!」
     こんなにたくさん、と木の下でくるくる回ると、ファングが溜息がちに肩を落とす。
    「サクラだ。ちょっと違う」
    「ふうん、違うんだ?」
     ほんのり薄ピンク色の、優し気な花びらが舞う。おいしそうな匂いがする。花びらはきっと食べられないけれど。
    「オレだって詳しいわけじゃねーよ」
    「まあ、そりゃそうだよね」
     ファングが花に詳しいだなんて、そんなハズがない。仕事で庭園に寄ったって、見向きもしないんだから。セブンだって笑うはずだ。
    「……あ」
    「どうしたの?」
    「バラ科だな、アーモンドもサクラ」
    「へえ」
     胸の紋章が躍る。僕らは薔薇に囲まれて生きている。血を吸って真っ赤な、絢爛な花。
    「どっちだっていいや。依頼者もターゲットも、この花を知らずに死んでいくんだろうから」
     地面に落ちた花びらを掬って、ぱっと頭上に広げる。ヴェールみたいだ、と笑みがこぼれた。眉間に皺を寄せているファングは心底不機嫌そうで、僕のお遊びが終わるのを待っている。
    「気が済んだかよ」
    「そうだね。あ、ファング」
     ついてる、と言って、彼の髪に触れた。嫌がられたけど仕方ない。花びらが新しいチャームポイントになってしまうよりよっぽどいいだろう。
    「……ね、花の命って、短いよね」
    「オマエはしぶといだろーよ」
    「どういう意味!」
     儚げな花の影から覗く鋭い眼光に、そういうキミもね、と返す。僕たちは地獄行きは決まっているけれど、まだ当分行く予定はない。
    「……ね。地獄で会ったら、キスしようね」
    「ハッ、誰が」
     僕の頭から花びらをひとつ摘まんで払った彼の手を取って、木々の真ん中まで歩いた。
    「誓いのキス」
    「それよりタバコが吸いてえ」
    「僕の唇より重要なワケ?」
     そんなことより、と遠くの匂いを嗅ぐファングに、ハイハイ、と返事をする。僕らは、今日も明日も、血まみれの花。
     僕たちの胸に散る真っ赤なシルシは、空から舞う薄ピンク色では隠せなかった。
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