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    nekoruru_haya

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    POIPOI 19

    nekoruru_haya

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    フォロワーさんからのリクエスト。
    【まついをめちゃくちゃ甘やかすくわな】

    松井をめちゃめちゃに甘やかす桑名はデフォですよね。
    https://poipiku.com/423378/5711720.html の続きです。

    ##くわまつ

    「本当にごめんてば」
    でも、僕だけが悪いんじゃあないと思うんだけれど、と続く台詞は松井の研ぎ澄まされた視線に制されてしまった。
    手桶に湯を入れて部屋に戻ってきた桑名を一睨みした松井が布団の中でくるりと背を向ける。居心地が悪そうに身動ぎ続けているのは、先程までの名残が敷布のあちこちに有る所為だ。
    枕元に手桶を置いた桑名は押し入れへと向かい、中からもう一組の布団を取り出して今あるものの隣へと敷く。それからいつまでも布団の中に籠城続ける松井の横に膝を付いた。
    「ほら、起きて」
    声を掛けるが起き上がる気配がない。ただちらりとだけその碧色の視線を桑名へとやった。
    「……起きられなくしたのは、誰?」
    「はいはい。僕、だよね」
    云いながら首から背へと腕を入れて起こすと、桑名は自分に松井の身体を凭れさせる。全くと云っていいほど自立する気のない松井はくったりと遠慮無く全体重を預けていた。
    固く絞った手拭いで松井の全身を清めていく。
    首筋から肩。
    綺麗に浮き出た鎖骨を辿れば鬱血痕と重なる黒子。
    対の位置にある自身の黒子に目をやると小さな咬み疵。
    「ふふ」
    手の止まった桑名を振り返り松井がやわく笑む。
    「なんなん?」
    「別に……ふ、」
    くつくつと微笑み続ける松井に小さく溜息を吐いた桑名は、はい、と手のひらを差し出した。その上に当然のように松井は自分の手を乗せると背を反らせて体重を掛ける。
    「重いよぉ」
    「なんでんなかやろ?」
    「もお、」
    何を云っても今の松井は今の態度を改める気はないらしい。諦めた桑名が受け取った手を握り、松井の白く細い腕を拭いてやれば少しくすぐったそうに肩を竦めた。
    何度か手拭いを濯ぎながら全身を清め終え、新しい寝間着を羽織らせる。その頃にはすっかり夢見心地で松井の碧の瞳はとろんと蕩けだしていた。
    「ねえ、松井起きて。あっちの布団へ行こう?」
    抱きかかえたまま耳元で声を掛けても、松井は小さく首を振るばかりで動こうとしない。せっかく綺麗にしたんだからと強めに揺さぶっても全身の力は抜けたままだ。
    「じゃあ、抱っこ、する?」
    「……抱っこ?」
    「うん。抱っこ」
    ことん、と首を傾げ桑名を振り返り、花が咲くように微笑む松井。
    「抱っこ、して」
    「はいはい」
    幼子のように手を広げる松井を横抱きに抱え上げ、隣の布団へとそっと横たえる。
    「朝になって思い出して、きっとまた怒るんだよねえ」

    こんな甘えたところを見せた事。
    でもまあ、原因を突き詰めればこれは元々松井が煽ってきたからなんだけれど。

    溜息を吐く桑名の口元も微笑んでいる。寝息の聞こえ始めた松井の露わになった額に軽く口付けると軽く息を吐き、その隣へと横になった。


    ‥了
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    nekoruru_haya

    PROGRESSくわまつですが書き手以外誰も幸せにならない予定のお話の下書きというか荒書き。ちゃんとしてから後日支部に上げます。
    完結に向けてぼちぼち追記していきますので現状は途中経過の進捗見て見て構ってちゃんなので注意。
    .5や独自設定盛り込んでます。
    biotope歴史は大河の流れのようなもの。
    何れかのサーバーの何某という本丸の誰彼という刀剣男士がそう例えたと云う。果たして事実、そうなのだろう。世界が始まり時間が動き出したのを起点に歴史は流れ始め、時の政府が管理している現時点まで一筋の大きな河として流れ着き、この先へと恐らくは流れ続けていく。歴史の流れは大きく緩やかであった為、その道筋は逸れる事もましてや氾濫する事もなく、ただ過去から現在、そして未来へと流れていくものと思われていた。
    その時、までは。
    ある時、後に歴史修正主義者と呼ばれる未知の存在が現れた。彼等は過去から未来へと流れるだけだった時間を遡り、歴史という過去に起こった事実の改変を開始する。それは水面に小石を投げ入れて波紋を浮かべる程度で済むものから、巨大な岩で流れを堰止め、流れる方向自体を変えてしまうような改変となった。波紋程度であれば歴史という事実認識の強固さ故、自浄作用が働き、大勢に影響はない。だが、流れる方向が変わってしまえば今日までの道筋が違えてしまう。
    2031

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    DONE猗窩煉/現パロ
    実家から出て2人で同棲してます。
    ライトな「価値基準が違うようだ!」が書きたくて書いたお話です。
    喧嘩したり家飛び出したりしてるけど内容は甘々。
    「君とは価値基準が違うようだ!!実家に帰らせてもらう!」

    近所中に響き渡る声と共に、騒々しく杏寿郎は出ていった。
    またか、と勢い良く閉められた玄関のドアをぼうっと見つめること10分。リビングの方から間の抜けた通知音が響く。重たい足取りで通知を確認すると、それはまさしくさっき出ていった杏寿郎からのメッセージだった。

    『今日は実家に泊まる』

    …律儀と言うか何と言うか。喧嘩して出ていったにも関わらず、ちゃんとこういう事は連絡をしてくるのだ、杏寿郎は。

    先程までどうしても譲れないことがあって口論していたのに、もう既にそのメッセージだけで許してしまいそうになる。

    駄目だ、と頭を振って我に返る。この流れもいつものことだった。実際、今までは俺の方から折れている。

    杏寿郎と一緒に住むようになったのは一昨年の12月。あれから1年と少し経っているが、住み始めた頃も今も、些細なことで言い合いになって杏寿郎が家を飛び出すという事がたまにある。

    その度に「価値基準が違う!」とか何とか言って出ていくものだから、正直なところ、デジャブの様なものを感じてかなり傷ついていた。

    だが毎回、言い争いの原因は 3534