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    annojo_94

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    annojo_94

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    ドラロナとゲテモノの話
    不憫なパパを添えて

    「ドラルク〜! パパが会いに来たよ〜!!」パパーッ
    「……」
    「どうか、部屋の壁を這う羽虫を見つけたかのような顔をしないでくれないかい」
    「ああ、失礼。つい」
    「つい……? ひ、久しぶりの再会だ。ゆっくり話そうじゃないか」
    「先週もお会いしましたよね?」
    「さ、これ。お土産だ」
    「それはどうも。また、欲しいものだけお預かりします」
    「分かった。お前に任せよう」
    「これと、これ……あとこれも。持ち帰っていただいて」
    「……ブラッドワインを?」
    「溜まっていく一方なんですよ。ご覧の通り狭苦しい小屋ですから、ワインセラーなんてもの無くてですね」
    「飲まないのかい?」
    「ええ、今はわか、ッ」
    「わか?」
    「……あ、いや、ええ……と」
    「……そうか。気が利かなくてすまなかったな」
    「ハイ? な、なに、気、気というのは……?」
    「若い女性の血に飽きたのだろう?」
    「……アー……マア、エエ。ある意味は……」
    「次はカタログを持ってくるよ」
    「結構です……」

    「ただい、うわなんかいる」
    「やかましい。家族の団欒を邪魔するなクソポール」
    「他人ン家で団欒してんじゃねえぞカス」
    「なんと野蛮な。ドラルク、嫌になったらいつでもウチに帰っておいで」
    「検討しておきます」
    「それはしないヤツだとパパは思うのだけど」
    「で? 何しに来たんだ、オッサン」
    「……」オーッ
    「私にお土産を持ってきてくれたんだ」
    「またァ? 甘やかしすぎじゃねえの」
    「オーッ」
    「声に出ていますよお父様。……まあ気にするな若造。丁度いま帰られるところだ」
    「えっ」
    「帰りますよね?」
    「で、でもォ……まだしてない話とかァ……」
    「帰りますよね?」
    「あのぅ……」
    「帰りますよね?」
    「無限ループやめてやれよ。俺が外行きゃいいんだろ」
    「は?」
    「それだ! それがいい!」
    「後でスナバ代請求すっからな」
    「待てもっと粘れふざけるな普段の図々しさで居座らんか!!」
    「ハァ? 家族団欒なんだろ、邪魔しちゃ悪ィじゃん」
    「確かに家族だが団欒はしていないッ!」
    「そんな!!」
    「お父様は黙っててください!!!!」
    「はい」
    「ちょっとオッサンが可哀想になってき、た……」
    「……ロナルドくん」
    「……」
    「ロナルドくん、まず落ち着いて私の話を聞いてくれないか。いいかい、ゆっくりとそのワインボトルから目を逸らすんだ。君は何も見ていない。いいね?」
    「ああそうだポール。息子が最近飲んでいるというボトルの銘柄を知らないか?」
    「ヴァーーッ!? お、おお、お父様ッ!!」
    「どうやら若い女性の血に飽きてしまったようでね」
    「ふーん……」
    「まっ、違、いや違わんが、若造ッ、これはその」
    「銘柄とかよく分かんねーし、知らねえ」
    「……」ホッ
    「そうか……」
    「けど、中身なら知ってる」
    「ちょっ」
    「20代男性、O型。クソ砂が言うには不味い通り越して拷問みてえな味がするんだと」
    「バカ造!!」
    「拷問……? またどうしてそんな酷い血を……」
    「さあ?」
    「……あとで説教だぞルドくん」
    「やってみろや。俺の暴力で強制終了させてやる」
    「聞き捨てならんな。貴様、可愛い我が子に暴力だと?」
    「帰りますよね?」
    「……」
    「帰りますよね?」
    「息子がもうこれしか言ってくれない!」エーン
    「今すぐ帰って頂くと、なんとRINEの返信保証が5回分無料で付きますよお父様」
    「悪徳マッチングアプリか?」
    「パパ今すぐ帰るよ」
    「テメエも簡単に引っかかんなや」
    「じゃあまた明日会おうドラルク!」
    「ええ、お父様。また来年」
    「温度差エグいな。しかもマジで帰ったし」
    「よし、厄介払いは済んだ」
    「実の父親を厄介扱いしてやんなよ……。つーか、良かったのか返信保証がどうのって」
    「構わん。あの機械音痴グランプリ金賞受賞のお父様がメッセージアプリなど使えるはずもない。その上トラウマ持ちだからな。開くことすらままならんよ」
    「かわいそう」
    「……で? 君、どうしてあんなこと言っちゃうわけ?」
    「嫉妬」
    「は」
    「ついに俺のクソ不味い血、嫌になったんだと思った」
    「……」
    「別に、いいけど。でもそんときは俺に教えて欲し、、ってえッ……!」

    「──……マズい」
    「じゃあ無理して飲むなよ……」
    「うるさい。もうこれじゃなきゃ喉を通らないんだ。私をゲテモノ好きにした責任を取りたまえ」
    「誰がゲテモノだって?」
    「ホントにさぁ、君見た目いいのになんでこんなに血が不味いの。景品表示法違反に引っ掛からない?」
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