米は美味しく炊けました「たまには一緒に作るか?」
「え」
まさかのコンビニ行こうぜ、と同じノリだった。
エプロンを持つカザマの隣に並ぶ。自分の家のキッチンなのに、これから料理をするんだと思うとなんだか新鮮な気持ちになる。
「ナニ作るの?」
「ハンバーグ。あと朝作った味噌汁が残ってるから、それも……。だいたいは俺が作るから」
不安が伝わったのか、カザマがエプロンの紐を結びながら「大丈夫だって」と笑顔を向けた。
冷蔵庫からハンバーグのタネを取り出し、慣れた手つきで形を整え、真ん中に凹みを入れる。それから手際よくフライパンにサラダ油を入れ、強火のまま投入する。ジュージューという肉の焼ける音が目の前で繰り広げられる。いつもはカザマの背中越しに聞いている音だった。
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