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    araito_00

    @araito_00

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    araito_00

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    何本でも…以下略
    同棲してたのに何か知らんけど喧嘩して今一人で寂しいかじゃま

    #七風食堂
    sevenWindsCanteen

     瓶の中身は、半分だ。
     風真はあまり酒を飲む方ではない。付き合いの居酒屋や、接待でいく料亭などでは失礼のない程度に嗜む。料理を邪魔せず引き立てるような辛口の酒はどちらかといえば好きだ。
     だからといって、自宅で晩酌をするかといえばまた別の話だ。一人で酒に合う料理やつまみを用意してまで飲むほど、酒の味自体を好んでいる訳でも、酩酊する感覚を楽しんでいる訳でもない。
     風真はダイニングに置かれた、カッティングの美しいガラス瓶をじっと眺める。黒々とした液体は、底も先も見えない。嘆息し、用意していたグラスを引き寄せる。そこには既にミルクが注がれており、僅かに波立ち、溢れそうになる。瓶の栓を開けると、ふわり、と嗅ぎ慣れた香りが広がった。
     朝の食卓で、会社のスタンドで、コースメニューの最後に、そして、あいつ。
     数週間前、きっかけなんてもう忘れてしまったけれど、酷い言い合いになった。過去の事とか、未来の事とか、そういった話から互いの歯車がずれて、噛み合わなくなって、直そうとしなかった。軋む音が頭に五月蠅く響いて、それを言葉にのせた。その結果、風真は今、一人だった。
     グラスに酒を注ぐ。溢れてしまわないように、ほんの少し。ミルクの白に茶色が負けていた。
    「…甘い」
     あいつはこの酒に何を合わせていただろう。ナッツか、そうだ、俺の作ったクッキーを一緒に食べていた事もあった。甘い酒に甘い菓子なんて、と笑ったんだ。生憎、ナッツは切らしている。クッキーは、ここ暫く焼く気にはならなかった。
     あいつのお気に入りのコーヒーリキュール。
     この中身が全て無くなるまでにあいつが帰ってこなければ、別れてやろう。そう思い瓶を掴み、グラスを用意したのに。何故か注ぎ過ぎてしまったミルクのせいだ。それでもほんの少しだけ減ってしまった、その事実に、減らしたリキュール程の涙が溢れた。

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    oredayo_mino

    DONE七風食堂:冷蔵庫の残り物でごはん作ってくれ……風真……。
    明日は買い出しへ買い物に行く日は週に一度と決めている。自宅から徒歩十五分のスーパーは金曜が特売日で、カードで支払うと5%値引いてくれる。一週間分買いだめした食材を小分けにして冷凍し、作り置きのおかずを作っていれば「主婦みたい」と緑の瞳がいつも笑う。
    食材がほとんど底をつく木曜は俺の腕の見せ所だった。すかすかの冷蔵庫の中にはシチューの残りとサラダに使ったブロッコリーの残り。冷凍庫の中には食パンとピザ用チーズ。戸棚の中には使いかけのマカロニ。
    今日の夕食は決まりだ。残り物を工夫してそれなりの料理に変化させるのは意外と楽しい。まず冷凍の食パンを常温に戻す。その間にシチューをあたため、マカロニを湯がく。マカロニは少し芯がある位でざるに上げ、グラタン皿に盛りつける。その上からブロッコリーを乗せ、常温に戻した食パンを一口サイズに切り、同様に皿に盛りつける。その上からシチューを流し込み、冷凍してあったピザ用チーズを振りかける。それからオーブントースターで約8分焼くだけ。すると、チーズのいい香りに誘われたのか、ふらふらと実がキッチンへやってくる。
    1000