スモアディで料理の準備ワフルドの夕暮れ、キッチンにはアディオとスモーカーの二人が立っていた。しかし、いつもは気にならないアディオの長い銀髪が料理をする上ではなんとも邪魔で、髪が揺れ動くたびにスモーカーの気を散らした。

「おい、アディオ。その髪、どうにかならねェのか？」スモーカーが半ば呆れたように言い放つ。

アディオは、肩まで垂れ下がった髪を手で払いながら軽く笑った。
「ははは、悪いな。料理中は確かに邪魔になるな」

スモーカーは深いため息をつき、近くに置いてあった紐を手に取った。
「結んでやる。少しはマシになるだろう」

アディオは、スモーカーが手にした紐を見て、肩をすくめた。
「…うーん、なんとかなりゃいいが…」

彼は髪の毛を背中に流すとスモーカーに背を向けた。スモーカーは手馴れた様子でアディオの髪を一つに纏まるよう結ぼうとしたが、すぐにその異常な量と硬さに気付いた。彼の指先が髪の毛をしっかりと束ね、紐をきつく結び始めるが…。

「なんだ、この髪…」スモーカーは眉をひそめた。

「何だって？」アディオが首をかしげる。

スモーカーが紐を引っ張った瞬間、パチン！と音を立てて紐が切れた。
「…ちぎれたぞ」

アディオは振り返って笑った。「はは、俺の髪はちょっとばかり頑丈なんだよ。簡単には結べなくてなァ…」

スモーカーはもう一度、今度はさらにしっかりとした紐を手に取った。
「これでどうだ。今度はもう少し頑丈なやつだ」

彼は再びアディオの髪を束ね、ぐいと力強く彼の頭を揺らしながらキツく結ぶ。だが、アディオの髪は再びスモーカーの思惑を裏切るように、今度は紐がギシギシと音を立ててほつれ始めた。

「嘘だろ…」スモーカーは半ば呆然とした様子で呟いた。

アディオは、彼の肩越しにちらりと覗き込みスモーカーの苦戦する様子に笑いを堪えた。
「あんたも諦めた方がいいんじゃないか？おれの髪に挑むのは無駄だ」

スモーカーは、鋭い目つきでアディオを見やると、もう一度力を込めて結び直した。
「まだだ…今度こそ…」

しかし、またもや紐が耐えきれずに切れてしまった。スモーカーは今度こそ諦めの色を見せたが、同時にアディオの髪の頑丈さに呆れていた。

「こいつはもう、鎖でも使わなきゃ無理かもしれねぇな…」スモーカーが苦笑いを浮かべながら言った。

「さすがにそこまでされたら、俺も困るな」アディオは軽く頭を振り、髪を再び肩に流した。
「もういいよ、スモーカー。髪はこのままでいい。気を使ってくれてありがとな」

スモーカーは、腕を組んで大きく息を吐いた。「仕方ねぇ。だが、その代わり、髪が料理に入らねぇように気をつけろよ」

「了解。慎重にやるさ」アディオはニヤリと笑い、再び調理に取り掛かった。

スモーカーは、結局髪を結ぶのを諦め、再び料理に集中した。しかし、時折アディオの髪がふわりと揺れるたびに、彼は思わず目を細める。

「やれやれ…、料理がこんな気の散るもんだったとはな」スモーカーはそう呟きながらも、少しだけ楽しんでいるような表情を見せた。