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    choko_bonbon

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    一緒のベッドに寝ている五七

    #五七
    Gonana

    五七ワンライ「夜明け」目を覚ますと、薄いカーテンを越して、朝のひかりが部屋中をやんわり包んでいた。
    街は平日、だがここに寝そべる二人は各々、三日に渡る長期任務あけの休日である。今日一日はまるまる休みで、明日の午後からまたお互いに、教育指導と任務に向かう予定であって。産まれたままの姿で汗にまみれた、昨夜の深い時分に、目を覚ますのは昼近くで良いよねと、暗黙のうちに約束してあった。
    だから五条は、目を覚ましたのがまだまだ朝と言える時間であるのに対し、となりの枕が空になっていることに気づくなり、瞬間で憤慨しかけた。
    あの、上背の高さと筋肉の総量を活かす、重く鈍い近接打撃に特化した。体力には人一倍の定評のある七海が、指先ひとつ動かしたくないと嘆き。そうさせてしまった張本人である五条自ら、男の整えられた指の爪先から髪の一本に至るまでを、丁寧にタオルで拭きあげ、丹念に仕上げのキスを降らして磨き。真新しいシーツの上でそれぞれ寝入った際には、朝には確かに、隣にいてあげようと約束してくれていたのに。
    この仕打ちはなんだ。なぜ自分は独りぼっちなのだ。
    金糸の美しさを探し、寝ぼけまなこに唇を尖らせながら、あたりを長い腕の先でぺたぺた探っていると。廊下につづく扉の向こう側から、足音が聞こえた。
    冬の時分、どうしても冷たくなりがちな廊下の床を、スリッパで叩く音。
    その重たさや、足取りの気怠さを耳にし。瞼を閉じて昨夜の思い出に五条が浸っていると。
    「おはようございます」
    扉の開く音に続き、低く、すこしばかり掠れた七海の声が降りかかった。
    「おはよう七海。なんで隣にいないの?」
    「だからこうして、戻って来たでしょう」
    目を開き、さらりと流れる己の、銀糸の前髪の間から覗いた男は。昨夜のうちに腕を通したシルクのパジャマ姿のまま、湯気立つマグカップをふたつ、筋張った手に抱えてベッドサイドにやってくる。
    「なあに、それ」
    「私のぶんのコーヒーと、あなたのぶんのホットミルクです」
    すん、と鼻を鳴らし、外気を吸う。整えられた空調のあたたかさのなかに、ふわりと香ばしいコーヒーの香り。ゆるい甘さの漂うミルクの香りとが、高い鼻梁をくすぐった。
    「砂糖は?」
    「めまいがするほど」
    七海がそう言うなら、美味しそうだ。
    五条は乱れた髪を掻き上げ整え、裸の上半身を、よっ、と起こした。七海の居た側の布団を捲ってやると、スリッパを丁寧に揃えて脱いだ彼が、ベッドの中へ戻って来てくれる。
    「先に目が覚めたので、なにか飲もうと思いまして」
    「おまえ、喉、痛そうだもんね」
    「まったく……誰のせいだか」
    「僕のせいだね。でも七海のせいでもある。だっておまえってば、いつまでも僕の体力についてくるんだもん」
    二人並んで仲良く、羽毛たっぷりの枕を二個、三個、と積み上げ創り上げた、即席の背もたれへと寄りかかり。手渡されたあたたかさで、互いに喉を潤し、胃に朝を告げる。
    本来、朝日を遮ってくれていたはずの厚手のカーテンが、左右に纏め上げられ、レースのそれに変わっていたのは。起き抜けの七海が、施して出て行っていたのだろう。
    室内をまったりと、それこそ五条の口づける、七海の手ずからこさえられたミルクと同じ色に染める朝日に、ほう…と吐息を零す。七海と揃って過ごす、気怠さに彩られた穏やかな朝は久しぶりだ。ここ最近はどちらかが早くに出たり、深夜の帰りで寝こけたまま起きなかったりと、すれ違いが続いていた。それでも二人でいる時間が取れただけましだ、とする見方もあるにはあるが。
    「もう少し、ここでゆっくりするんでしょ?」
    「えぇ、そのつもりです。顔は一応洗いましたが……読みたい本があるので」
    「じゃあ僕は大人しく、もう少し寝かせてもらおうかな」
    パジャマのまま自堕落に、となりに温かい飲み物を揃え、ベッドの中で仲良く寛ぐ。それは貴重な休みを無為に過ごしているようで、その実、常が繁忙期である特級と一級の術師にとって、かけがえのない朝である。
    「お昼は、近くのカフェに行きたいのですが」
    「えぇ~……僕はおまえと、部屋でゆっくりとりたい」
    言いつつ五条は、最強と言えども、上半身裸では肌寒さを感じ。飲み干したマグカップを七海に預け、もそもそと布団のなかに潜り込み。彼の太く筋張った感触を持つ太腿に、シルクの布地越しに擦りついた。
    膝枕させて、と。言葉にすると舌打ちが送られるだろうことが目に見えているので、勝手に頭をのせていく。七海は五条の思惑に気づいているようだが、読みたい本とやらの方が大事だったようで。大人しくしてくれるなら、と条件をつけるよう、大きな手でぽんぽんと五条の頭をあやし、サイドテーブルに置いてあった本を片手にとって開く。
    昨夜、このベッドで彼をあやしていたのは五条の方なのに。数時間後には七海の方が大人の態度をとっている。仮にも年上であって、その行為や、その雰囲気を許せるようになったのはいつからか。
    七海の、明かりを照り返す金の髪を、己の鼻先や顎から汗を降らせては、しとしと濡らし。彼自身の肌から浮いた汗の粒を、舐めとって、大きな手の平でぬり広げ。幾度となく自分の名前と、身体の内から湧き出す悦びを素直に吐き出させ。男の深い海の色をした瞳に、五条自身だけを映し、二人で共に、真っ白な欲の最果てへ到達した。
    それらの記憶がありありと頭にこびりつき、身体中で満足を会得したからこその、七海の甘やかしを受けて平然としていられることを。七海はそこまで知っていて、甘やかしてくれているのだとしたら。これほど嬉しいことはない。
    「なら……パンは買って来るだけにして、ここでスープを、私が作りましょう。サラダは五条さんが」
    「んン、その、行きたいパン屋って、あの、」
    「フレンチトーストを作ってくれる、あそこですよ」
    「なら、いいよ。七海はコーンスープって作れるの?」
    「コーン缶を買ってくれば」
    じゃあ決まりだ。
    言って五条は、見上げていた七海の喉仏に手を伸ばした。なんです、とでも言いたげな。これ以上なにかしようものなら、高すぎて、筋張って、硬さが気になる膝枕から、落とすぞ、という眼力を受け取る。
    「喉、痛くさせてごめんね」
    本や新聞の、活字に向けるならいくらか柔らかくなるのに。五条に対しては深みで繋がっているとき以外、冷徹である瞳が。素直な謝罪に丸くなり、そして、ふっと平坦なまなじりをわずかに落とした。甘やかな態度に、五条の咥内では、砂糖の溶けたミルクの味わいがぶり返してくる。こんな表情の彼は、ひどく珍しい。
    「あなたがどれだけ熱心に組み敷こうと、私は喉を傷める程度。ということですよ」
    「意地っ張りめ」
    なにも分からなくなるくらい、気持ち良かったくせに。
    起きて、もう一度ベッドに戻ってくるほど、足腰にガタがきたくせに。
    こちらからの愛を一身に受け、その溢れんばかりの質量に、涙を流して喜んでいたくせに。
    それでも、もっと与えてもらって構わない。そう告げる男の逞しさに惚れ直す勢いだ。喉を痛ませてごめんと。謝るより、それで済んだことを褒めるべきだったらしい。
    「おやすみ、七海。ちゃんと起こしてね」
    「えぇ。ちゃんと起こしますから、もう少し寝ていてください。お疲れなんですから」
    活字の熟読の片手間で、髪を根元から何度も梳いてくれる手に、睡魔を招かれるようだった。お疲れなのはお互い様。任務で体力気力共にすり減らし、なお愛とか言う、重い呪いを投げて擦り付け、絡め合ったのだから。
    暖かな部屋の、暖かな体温に促され。思考は微睡の中に滲んでいく。
    夜明けはもうすぐそこ。カーテンを開けた先に。それはあと数時間後の二人に、平等に降り注ぐ。
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    CAN’T MAKE五七の馴れ初めはn億通り書きたい

    これは書きかけてかなりの期間経つけど難航している馴れ初めのひとつ
    天啓がひらめかない限り書けない気がする……
    前触れなく意識が浮上した。
     重い目蓋を押しあげたが、視界に入った室内はまだ暗い。サイドテーブルに手を伸ばしスマートフォンで時刻を確認する。明け方ではあったが起きるには早すぎる時間。

     全身に残る倦怠感に、もう一度寝なおそうと眼を閉じたが一向に眠気が訪れない。ひとつ小さく舌打ちをすると七海建人は身を起こし、リモコンのスイッチを押して明かりをつけた。

    「……んん~、……ななみ……?」

     突然明るくなった部屋に、隣で眠っていた男がむずかるような声をあげて薄く眼を開く。

    「どうしたの……今日やすみだろ」

     眩しそうに、ほとんど開いていない眼が七海を見あげた。いい加減に見慣れたはずの、人間離れした鉱石のような眼。

    「ああ、すみません。アナタがいたことを忘れていました」

     七海のその言葉にわかりやすくむっとした表情を浮かべて五条悟は、まだ眩しいのだろう、眼を眇めつつ起き上がった。

    「ちょっとなにそれ、ひどくない?」

     起き抜けの気怠さが混じる声で批難して、五条は七海のほうへ腕を伸ばした。まだ眠りの淵にいるような声に反して思いがけないほど強い力で抱き寄せられる。そのままベッドに押 1445