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    しののめ

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    【アルカヴェ】As the river flows swiftly 配膳がいない世界に迷い込む壁の話 超書きかけ

    #アルカヴェ
    haikaveh
    ##gnsn

     朝目が醒めてすぐ覚えた違和感は、形にならずそのまま霧散した。外からは朝を告げる鳥の声がしていて、僕はゆっくりと身体を起こす。覚束無い足取りでのろのろと身支度をする。何かを口に出しかけて、けれど次の瞬間には忘れてしまっていた。首をかしげる間もなく、時計に急かされるまま、僕は静かな家を後にしたのだった。
     それが、今朝の話。太陽が頂点に昇って傾き始める頃合いまで、僕は朝の違和感なんてどこかへ忘れ去ったままだった。クライアントとの打ち合わせが円満に終わった夕方、カフェでぼんやりと噴水を眺めていた僕は、とある約束を思い出す。もしかして今日は、あの日じゃないか?
     あの日、というのは、僕たちが月に一度か二度ほどの頻度で開いている相談──もとい、酒の席のことである。発端は友人であるティナリの弟子たるコレイ、彼女の学習進度等について食事会を開いたことだったが、今ではそれ以外のこと──例えば日常の愚痴やちょっとした議論、果ては七聖召喚まで──の比重も大きくなりつつある。彼らがどう思っているかは知らないけれど、少なくとも僕にとっては、楽しいひとときになっていた。だから、普段ならばこうして直前まで忘れている、なんてことはまずないのに──

    「……きっと、疲れてるんだ」

     誰に言い聞かせるわけでもなく、ため息混じりにそうつぶやいた。幸い、約束の時間まではまだ少し猶予がある。家に帰って準備でもしようと、僕は重い腰を上げる。
     朝忘れたはずの違和感は、明確な形をとらないままで、だんだんと無視できなくなっていたのに。それなのに僕は、どうしてもそれを直視できなかった。



    「遅かったね、カーヴェ」
    「すまない、ちょっと考え事をしてて」
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    しののめ

    DOODLEケビ←スウ 再会前 伝承編のネタばっかりです

    「僕はケビンの親友だからね」
    僕のヒーロー

     花は散っていくものだ。
    「おはよう。昨日は、病院の梅が綺麗に咲いていたよ」
     一つ。
    「……おはよう。おやすみかな、もう。また僕は……助けられなかった」
     一つ。
    「おはよう。今日は……少し遠くまで、花を探しに行こうかな」
     また、一つ。
    「それじゃあ、行ってきます、ケビン」
     写真の中、暖かな笑顔を浮かべる彼にそう声をかけて、その青年──スウは、大きく息を吸い込んだ。
     たった一人の親友、そして、スウにとって唯一で最高のヒーロー。それが、少年の目に映るケビンという男の全て。バスケが好き、流行りの音楽も好き、そして気になる女の子がいる。そんな、どこにでもいる普通の男の子。それが彼だった。まだ未熟で幼くて、暖かく明るい声で自分の名を呼ぶ少年の姿を、スウは一度も忘れたことはない。眩しくて、優しくて、隣で燦々と輝き続ける、太陽のような男。いつか、それを見つめる自分も灼き尽くされてしまいそうだ、なんて、幾度となく浮かんだ考えは、とうとう実現しなかった。本当に、あの太陽に身を焼かれていれば、何か変わっていたのだろうか。
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