ねむりのまぎわにねむりのまぎわに
夜更けも夜更け、もはや朝方ではないかという時刻だ。
まだまだ続くどんちゃん騒ぎから抜け出した鶴丸はふらふらと千鳥足で廊下を歩いていた。しこたま飲んで飲まされた酒で熱を帯びた体に夜風がぴゅうと吹くが、今はそれすら心地よい。
年が明けたのだ。千年この世を渡ってきた鶴丸であるが、いつまで経っても年明けは目出度い。人の身を得、より一層目出度く感じるようになったような気もする。この本丸に顕現してはや九年、今年で十年目となる。鶴丸が渡って来た途方もない時間と比べれば爪の先のようなわずかな時間ではあるが、鶴丸はこの十年を一刻一刻と噛み締めるように生きてきた。なにしろ眠ればほいと時の飛ぶ付喪神の時とは違うのだ。息をしても目を瞑っても、戦ってさえいても、平等に時は流れていく。
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