傷落ちの雄花~⑤~ 芽生えてしまった感情の仕舞い用なんて分からない。更にお互いの意思を確認し合えば、もう当たり前のように時を一緒に過ごす仲、交わりも進むのが自然の流れであり…
浩介は改めて息を呑んだ。海外の血でも交じっているのか…いや、でもそれにしてはそこまで日本人離れしているわけではない。色素が薄い髪、目の色も黒ではなく、深い碧色を帯びていて、見詰めていると呼吸も忘れ、吸い込まれそうになる。
「先生…その、俺こういう経験初めてで…」
「前に傷を調べた時に、全部見たんだろ?」
「あの時とは全然違います」
「なぁに、大人の戯れだとでも思って楽しめば良い」
「だめです!…先生のこと、大事だから…大切にしたいんです」
がっしりと抱き締めたまま、動かない浩介。
1430