未定(異世界idaoちゃんのお話)「う、、、みず、水が欲し…」
漆黒の髪を持ち背の高い男は、カラカラの喉を痛めながらも、掠れ声で必死に水を青年に求めた。
だが、運悪く此処には湿地帯さえ無い。生えている草木を千切れば水分は出るが、善き水とは限らない。嘔吐や痺れ、高熱で亡くなってしまう場合もある。勿論無毒な水が出てくる草木もあるのだが、青年は専門家ではないので見分けが付かず、途方に暮れた。
「俺が、もうちょっと上手く魔法を使えれば…」
息も絶え絶えに水を求めている男とは対照的な、明るい髪色を持つ青年…名は青木。青木の家系は水に特化した魔法使える血族だった。だが青木は己の体温の低さのため、氷しか放出させられないのである。攻撃の時には役に立つのだが、こういう人助けにはとんだ役立たずの自分に思わず項垂れた。
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