エーテルチャームきらきらしゃらしゃら、鬱陶しい。保健室に入ってすぐ、エースは目を眇めた。
「あーこりゃ、やっぱり自然に抜けてくの待つしかないっすわ」
「どんくらいかかりますかね……」
「ま、ま、一週間から二週間かな。ほっときゃ治るよ、魔力注ぎ足したりしなければだけど……」
長身瘦軀、滴るような青い炎を全身にまとわりつかせた先輩が、その身を屈めてベッドを覗き込んでいる。ベッドに腰掛けているのはハーツラビュルのベストを着た、ネイビーの髪に丸い後ろ頭の生徒。彼こそ、エースが呼び出された原因である。
原因である、が。別にエースとデュースが一緒に居ないから呼び出されたわけではない。当然のことだ。誰かと一緒に居ないと呼び出されるのなんて、エースの部活の先輩のジャミル・バイパーくらいだ。彼は最近、カリム・アルアジームに新しい弟妹が増えたとかで、なんとはなしにずっと疲れている。主人のカリムは出産祝いをどうしようかと楽しげなので、その対比が余計に悲壮感を煽っていた。
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