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    oshiri_kajiri

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    oshiri_kajiri

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    ドがDomでロがSubなドラロナ。ロを全裸にしましたが、えっちはしてないです。

    #ドラロナ
    drarona

    城でお篭り 大体2、3ヶ月に1回。1週間程、ロナルド事務所は休業期間となる。お急ぎの場合はギルドへ、という掲示を行い。電話も留守電対応となり、メールも後日確認するという自動返信を設定しているほどの徹底具合だ。事実、その期間は事務所から物音1つしない。本格的な休暇だ。この休業期間、ドラルクがロナルド事務所に転がり込む以前は存在して無かった。なので、ロナルドをよく知る面々の中では「あまりのワーカーホリックなロナルドを見かねたドラルクが連れ出しているのだろう」と予想を立てられている。とはいえ、ドラルクの貧弱さを考えればロナルドを無理に連れ出すことは不可能であるので、ロナルドも合意の上なのだと理解して、好意的に受け止めている。なにせ、心配になるほど仕事をしてしまう男だったから。

     さて。

     面々の予想は8割程正解である。ドラルクが提案して、それをロナルドが受け入れた結果の休業期間なので無理やりではないというのは正しい。事務所から連れ出している、というのも間違っていない。ただ、ワーカーホリックな彼を見かねて、というわけではない。否、完全に間違いではない。ロナルドは確かに仕事第一で、暇な時間が苦手だからという理由で、依頼だとか原稿だとか仕事を詰め込んで休みを作らないようにしている節があった。しかし、ドラルクが煩く言うからか世界一可愛いジョンが休もうと声をかけるからか、現在は適度に休息をとっているため、昔ほど過労死一直線のような生き方はしていない。なので、ワーカーホリックを見かねた休業期間ではない。ただ、ロナルドの体のためではある。ドラルクのためでもある。ドラルクが楽しければジョンも嬉しいので、最終的にはにっぴきのためだ。
     いつ休業期間に入るかどうかはドラルクが決めている。ロナルドの顔色、表情の動かし方、身のこなし等を観察し、顔が少し青ざめていたり隈ができていたりと後少しで限界きそうだなぁという頃合いでお願いをする。なんでもないことのように、ロナルドがご飯を食べている時とかに日常会話の一部として、にこやかに。
    「ロナルド君、一週間後に休業期間とれるようにしてね」
    その言葉を聞いたロナルドは少しだけ眉間に皺を寄せるものの、特に文句を言う事もなく「わかった」と返事をする。この仕組みを作った最初の頃は、どうしても調整できない依頼があったりしてロナルドから別の日程を提案されることもあった。しかし最近では自分のペースがわかってきたのか、ドラルクの提案が聞き入れられることが多い。今回もちゃんと理解していたようで、ロナルドの成長具合にドラルクは口角をあげた。
     ドラルクの指定した日に無事休業期間を開始できれば、ドラルク達は事務所ビルを後にしてドラルクがこの期間のために祖父に頼んで譲ってもらった、とある城へと移動する。勿論、一週間も事務所を開けるので、にっぴきが家族と同等と認識しているキンデメと死のゲームも一緒だ。

     城は人里離れた……と言うわけではなく、しっかりとネット環境も整っている少し隣家が遠いぐらいの場所にある。以前ドラルクが暮らしていた城よりもこじんまりとしているが、十分な広さだ。最初の頃は大きさと広さに慄き、一人では迷子になると言ってドラルクやジョンと一緒でなければ動けなかったロナルドも今では勝手知ったると言わんばかりに城の中を歩けるようになっている。キンデメと死のゲームは、ゲームやテレビが置いてあるリビングが城の中での定位置だ。リビングでは何もしない、というのがドラルクがロナルドとしている約束の一つなので、団欒を楽しむ時はこの部屋になる。日常からかけ離れすぎてもいけないので、そういう場所は必要だった。ジョンも基本的にはこの部屋でのんびりと過ごしている。
     ロナルドは城に到着した段階で既に寝室へと向かい、ジョンやロナルド用の料理を作り終わればドラルクも寝室に行く。この一週間、ドラルクは棺桶に入ることはない。寝室には窓がないため日が差してこないから棺桶にはいる必要が無い、というのも理由の1つ。けれどそれよりもずっと大事な理由がある。

     城の地下、陽光が絶対に差し込まない場所に二人の寝室はある。豪奢な扉を開ければ、入ってすぐのところには寛ぐためのソファーとテーブルが設置されていて、部屋の奥を隠すように造り物の観葉植物をいくつか置いている。それを超えれば、黒い天蓋付きのベッドが現れる。大の大人が3人は横になれるほどの大きさで、この寝室のために注文した特注品だ。ベットの天井から降りている濃紫のレースカーテン二種とそれらを覆い隠す重厚感のある黒のドレープカーテン。特に一番外側のカーテンは遮音性にも拘った。現在、カーテンは全て開けられており、ベッドの側ではロナルドがサイドテーブルに水差しとコップを置いたところだった。そのテーブルに持ってきた軽食用の食べ物を置けば準備は万端である。
    「ロナルド君、いい?」
    「……ん」
     手を伸ばせば、大人しく手を握ってくれるロナルドに気分は高揚する。手を引いたまま、ベッドに乗り上がる。まだ横にならずに、ドラルクは持っていたものをロナルドに見せた。
    「つけるよ」
    「おう」
     ドラルクに背を向けて無防備に差し出された首にドラルクは手に持っていたソレ……濃い紫色をしたレザーチョーカーをつけた。色の白い肌に己が好んでいる色をつけた姿に頬が緩んでしまう。それに気がつかれないようにドラルクはなんでもないような声を発した。
    「それじゃあ、プレイを始めようか」

     そう、これはただただロナルドを休ませるための期間ではない。Subであるロナルドが何も気にすることなくプレイに集中するために、Domでありロナルドの恋人兼パートナーのドラルクが設けた、双方合意の上での休暇もとい監禁期間なのだった。

    ▼▼▼

     ことの発端は、ドラルクがロナルドの事務所に押し掛けてから数ヶ月がたった頃のこと。自身の城を壊した男に一目惚れをして必ず男を手中に手に入れて見せると誓って、手を変え品を変えドラルクに依存させるように動きドラルクに対して恋愛感情を抱かせるための作戦が実を結ぶ少し前。明らかに恋情が混じった瞳でドラルクを見るロナルドに、いつ告白しようかとシチュエーションを考えていた頃の話だ。少しずつ、けれど確かにロナルドの体調が悪くなっていった。〆切前でもないのに目の下にうっすらと隈が出始めたことから始まり、ほんの少しだが食欲も落ち、動きも鈍くなった。宝石のような目の輝きが失われ、禁煙してだいぶ経っている煙草を無意識に探す仕草をする。全て少しだけの変化だ。おそらく一緒に暮らしていないと気がつかない、観察していないと見過ごしてしまうぐらいのもの。だけれども、ロナルドを大事にしたいと思っているドラルクには放っておくことができないほどの体調不良だった。掃除をしていて見つけてしまった物もあり、これはあまり様子見をしておくと大概愉快なことにならないことも理解していた。なので見逃せないと判断した次の日には問いただすことに決めたのだ。
    「ロナルド君、これなんだけど」
     夜食を食べ終えソファーでふくふくと油断しているロナルドの目の前に立ち、掃除中に見つけた物……Sub用の精神安定剤を突き出した。一瞬きょとんと何を出されたか理解できなかったロナルドも、それが何か分かった途端ひったくるようにドラルクから薬を奪った。先ほどまで眠気で赤くなっていた顔はすっかりと青ざめている。
    「な、お、勝手に、なんで」
    「君ね、隠しておきたいならちゃんと片付けなさいよ」
     そう、ドラルクも別に机の中を漁ったわけじゃない。前科はあるが今回は無実だ。ロナルドが仕事に行った後に起きれば、飲んだ後に片付け損なった薬がテーブルの上にドーンと乗っかっていたのである。よほど急いで出かけたのだろうが、さすがに呆れたしため息も出た。ドラルク的にはラッキーであったが、不用心がすぎる。とはいえ隠し事が上手になられても困るので、今回はお説教はしない。それに、優先すべきことはそこではないし。ドラルクは意識して柔らかい声と表情を心がけて、ロナルドの隠し事を暴いた。
    「ロナルド君、君Subなんだね」
     ヒュ、と息を飲む音がする。紫色になってしまった唇が震えて何かを言おうとしては言葉に詰まっている。そのうえ、先程より顔色が悪くなったのを見てドラルクは慌てて言葉を続けた。
    「責めてるわけじゃないよ、咎めてる訳でもない。ただの確認だから落ち着いて」
    「あ、ううぅ、お、おれ」
    「大丈夫、大丈夫だからね。ほら、息を吸って……吐いて……吸って、ゆっくり吐いて……」
     間違ってもSubdropにならないよう、深呼吸をさせる。体調が悪くマイナス思考が悪化しているから、ドラルクの発言をDomから隠し事を怒られたと判断してしまったのだろう。Commandと判断されないように気をつけながら声をかけ、ゆるゆると背中を撫でる。ひゅっひゅっと苦しそうな呼気が、ドラルクの声に従って緩やかに落ち着いてくる。常の呼吸音に戻る頃には、顔色もだいぶ赤みが戻っていた。それでも微かに青は残ったまま、ロナルドはドラルクから目を逸らし続けていた。
    「わりぃ」
    「こっちこそ言い方が悪かった。隠し事を責めているわけじゃないんだ」
     背中を撫でる手は止めず、先程よりも柔らかい声色を意識する。Subをこれ以上追い詰めないように慎重に言葉を選ぶ。
    「ただ、最近ロナルド君体調悪そうだったから確認したかっただけなんだよ」
    「かくにん、」
    「うん。もしかしてロナルド君、Subの欲求をずっと薬で抑えてるのかなぁって」
     今度はパニックに陥ることはなかったが、肩が大きく跳ねた。どう返答すべきかを悩んでいるのだろう。
     第2の性別とも呼ばれるダイナミクスは少しばかり厄介で、DomもSubも長い期間、それぞれの欲求が満たされなければ体調を崩す。だから政府公認のマッチングシステムが整えられているし、プレイを行うための店もある。素性は隠され、個人情報も守られる安心設計だ。ただそれにも抵抗があったりする人の心の準備期間のために、ある程度症状を抑える薬があるが、長期間の服用には向かない。結局体を騙しているだけなので何れガタが出てしまうからだ。恐らく、今のロナルドはそういう状態になっている。
     退治人のSubは珍しい。吸血鬼は多くがDom性を持つからだ。とはいえ全く存在しない訳ではなく、きちんと定期的にプレイを行い自らの欲求を解消していれば問題が無い。……と、ドラルクが調べたところには書いてあった。ただ、この数ヶ月ロナルドがそういう所に通っている形跡もなければ、パートナーがいる様子もない。本当に今まで薬だけで耐えてきたのだろう。むしろよく持った方だ。とはいえ、気がついてしまったからには薬漬けは止めてもらいたいが。
     そんなことを考えていると、ロナルドの頭が小さく縦に動いた。
    「そっか、」
    「よくねぇ、とはわかってっけど、……でもしんどくて」
     1度dropしかけたからか、いつもより素直に口を開いたロナルドの背中を撫でながらドラルクは優しく相槌をうつ。
    「前は、兄貴が……兄貴はノーマルなんだけど、それでも褒められたりして解消できてた。それに、独り立ちしてからも、ここまで酷くなったことなくて……。でも、パートナーはいねぇし、マッチングは……行けなくて……それで、薬に、たよった」
     なるほど。
     もしかしたら、仕事場だけでなく日常生活にすらDomがいるという生活は無意識にロナルドの欲を煽ってしまっていたのかもしれない。ドラルク側の欲も煽られていたかもしれないが、ロナルドの世話をやくことで解消できていただろう。そしてこうなった。予測、推測の範囲だがあながち外れてもないだろう。つまり、ドラルクのせいとも言える。
     ドラルクはわざと明るく声を出した。
    「よく話してくれたね、ありがとう」
     Good boyと続けそうになり、言葉を飲み込む。まだ早い。それでも褒められたことで少し欲が解消されたのか、ロナルドの顔の青色は少し薄れたように見える。背中を撫でている方とは逆の手で、下ろされているロナルドの手を触る。途端に逃げようとした手を軽く握った。
    「でも、私は君が心配だ。薬は一時のものだろう?」
    「あ……それは、そう、だけど」
    「こんな時にいうのもなんだけどね、ロナルド君」
     今だと思った。ロナルドは弱っており、ドラルクから逃げ出さない。脈はある。ロマンチックさは無いが妥協すべきだ。ここを逃したらダメだと捕食者の本能が告げる。
     怖がらせないように、揶揄っているなどと思われないように。
    「私はロナルド君を愛してる」
    「え、は、」
    「愛してるから、君が体調を崩すと心配になるし、良くなるなら何でもしたいと思うんだ」
    「どらこ」
     突然のドラルクの告白にロナルドが顔を上げる。潤んだ青空を見つめながら背中の手を離し、両手を囲うように握る。
    「丁度よく私はDomだ。君のことをよく知ってるし、色んな姿を見てるから幻滅もしない。君のことをまるごと大好き。愛してるから酷いことも絶対にしない。ね、こんな好条件なDomは中々いないと思うよ。だから、君の恋人兼パートナーにしてほしい」
    「ま、まって」
    「いくらでも待つとも」
     にこやかに答える。なにせ、ドラルクを見るロナルドの瞳はすでに蕩けていたので。ドラルクの勝利は確定だし目前。頷く勇気が出るまでの間ぐらい、待てるとも。


     そうして5分後にはロナルドが頷いてくれ、ドラルクとロナルドは恋人兼パートナーになった。そのまま流れる様に予備室で初プレイを行い、ロナルドの体調も回復させた。
     それが始まりだった。
     事務所は人の出入りが激しく、ゆっくりとプレイをするには適さない。初めての時は偶然にも床下からも窓からも襲撃はなかったが、いつもそうとは限らない。それにどれほどプレイ中だったとしても、緊急で依頼が入ればロナルドは飛び出していくだろう。中途半端に欲を溜め込んだまま退治など危ないにも程があるのに、ロナルドを止めることはドラルクにはできない。つまり、完全に仕事から引き離し、ゆっくり恋人としてのイチャつきとプレイに耽溺できる時間が必要だった。
     可能なら週一。と思っていたが、それに待ったをかけたのはロナルドだった。曰く、
    「そんな頻度でしたら、嵌って戻れなくなりそう」
     一生私がお世話をするのだから戻れなくても良いのでは、とドラルクは口走り、キレの良い正拳突きで殺された。流石に今の殺しはないだろうと怒るつもりだったのだが、拳を握りしめたまま声にならない唸り声を上げて照れている恋人を見て怒りもするする解けていく。
     嫌がるのなら仕方ない。今は譲歩しよう。と、ロナルドの意見を踏まえて確立されたのが今の形だ。

    ▼▼▼

    「じゃあ、まずはRollから。仰向けになって」
     ドラルクが指示をすれば、ロナルドは大きなベッドの真ん中に横たわった。Goodboyと褒めて頬を撫でれば目を細めて擦り寄ってくる。ふだんからは考えられないほど従順な姿にドラルクの飢えも満たされていく。少しだけ離れて、柱から垂れていた紐をひく。カーテンで周りが覆われ、ベッドの天蓋部分に付いた間接照明の淡い光だけとなった。吸血鬼のドラルクにとって問題ないが、人間のロナルドには薄暗く感じるぐらいの光量だ。
    「どらるく」
    「大丈夫。私はここにいるよ」
     不安げに名前を呼ぶロナルドの頬に口付けを1つ。それだけで感じいった風に吐息を洩らす可愛いSub。普段プレイできない分、浸っていいとわかれば直ぐにSubの本能が顔を出す。それもロナルドにとっては恥ずかしいらしいが、パートナーとしては信頼されているのだと歓喜すら感じるのだ。
    「いい子、今回も頑張ったねぇ」
    「……んぅ」
    「Strip。できる?」
    「……できる」
     黒いトップス、白のスボンと脱げば派手な下着1枚になる。少しだけ迷うように手を止めるが、恥じらいながらも下着も取り払った。全裸で、ドラルクの送った首輪だけをつけている姿は黒いシーツの上で良く映える。健康的でありながら、夜からに活動することが多いために白い体が黒い空間に包まれ浮かび上がる様はドラルクにとって何よりの絶景だった。この光景が見たいがために毎回初っ端から脱いでもらうようにしている。勿論空調設備はばっちりなので体調を崩させるつもりもない。
    ドラルクはロナルドがしっかり下着まで脱ぎ去ったのを見て、目を少し見開いた後喜びを隠しもせずに、ロナルドの額に一度キスをした。
    「Goodboy!いい子だ!頑張ったね」
     実は下着まで脱いでくれるかは半々の確率だったのだ。普段ポンチな吸血鬼に脱がされる時は恥じらいはないが、プレイ中にパートナーに見られながら脱ぐのは羞恥心が勝るらしい。気持ちはわからなくないので、どちらだったとしても褒めるつもりだったけれど、ロナルドは全部脱いだのだ。恥ずかしい気持ちを抑えて、己のDomために。これを褒めないDomはいないだろう。上から被さるようにして更に沢山口付けをおとす。額、頬、鼻、そして唇へ到達する。ロナルドはドラルクからの口付けを目を閉じて堪能しているようで頬は緩み、体から力が抜けていた。Domに心から褒められて、溜まっていた欲求不満だとかが解消されてリラックスしているのだ。
    「ロナルド君可愛い、可愛いなぁ」
    「どらこぉ、ん……どらるく……」
     何度も何度も唇を重ねる。息継ぎの合間に蕩けた声がドラルクを呼ぶものだから愛おしさが積もっていく。ドラルクを信頼しきった声を聞かされてドラルクも満たされていく。このまま続ければキスだけでロナルドはSubspaceに入るだろう。だが、まだ初日の今日はそこまでするつもりはなかった。ふわふわと夢見心地なロナルドも大好きなのだが、初日にSubspaceに入ってしまうと、翌日ロナルドが照れてしまうのだ。溜まっていた証拠みたいに思えるようで、恥ずかしがって毛布にくるまって篭城してしまう。そういう姿も可愛いし出てくるように口説くのも楽しいのだが、ロナルドの精神安定のために数回に一度の頻度に抑えるようにしている。前回の時は初日から頑張ったので、今回の初日は控えめに。
     キスを続けながら、片手でロナルドと自分に毛布をかける。毛布の上からゆっくりしたリズムで胸の当たりをぽんぽんと叩く。それを続けていると、どんどん呼吸が深くなっていった。
    「ん……んぅ……どら、……こ、ぅ」
    「おねむかな?一緒に寝ようね」
     ちゅうと下唇を少し吸って、唇を離す。名残惜しげに口が半開きになっているが、目は閉じられたまま。ドラルクはロナルドの横に寝転がると腕を少しだけ引っ張った。
    「ロナルド君、私の方向いて」
    「……ん、」
     目は瞑ったままで体を横に向けたロナルドの頭を抱きしめる。髪を撫で、背中を撫でる。そうすれば、ロナルドは安心しきった息を吐いた。
    「ありがとう、いい子だね。……おやすみ、ロナルド君」
     眠りの挨拶と同時にロナルドから完全に力が抜けた。多少ドラルクが身じろいだところで起きないほどの深い眠り。この部屋は、この腕の中にいれば安全だと刷り込んだ結果だ。

     腕の中の頭にそっと頬を乗せて、ドラルクは恍惚とした笑みを浮かべた。ロナルドは気がついていないだろうが、実は少しずつこの城へ来るペースが短くなっている。どっぷりとプレイをしてしまっているのだから当然のことだ。Subの幸福を知る前と後では、飢えへの耐久値も変わる。前まで耐えられた期間でも、耐えられなくなる。そんな状態だ。
     どんどん我慢出来る期間が短くなって、最後にはこの城の中でSubを隠さずに暮らして行ければと願っている。そのための城だ。ここは居心地が良いのだと、ドラルクの前では何も隠さなくていいのだと教えこんで、この場所とドラルクに依存させて1人ではもう生きてはいけないのだと思い込んで欲しい。

     黒い籠の中、ずっとロナルドを囲って過ごす。いずれ来るそんな未来を夢見ながらドラルクもロナルドの隣で静かに眠りについた。
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