あの日どうしてか、我慢ならなかった。
ミスタの側から一時も離れまいと、保護者のように彼を守るシュウの姿に眉を顰めた。
なんとなく分かってはいたさ。私のせいであの子が苦しんでいることくらい。伊達に長く生きちゃァいない。シュウの瞳の奥に潜む緩やかな炎、それは悪人を責め立てる者の瞳だった。確かに彼の瞳には覚えがあった。
それは昔昔、遠い昔、それこそ生まれて間もないくらいの鬼子の時のことだ。
食うものもなく、飢えを凌ぐために死体を漁った時、たまたま人の子に見つかってしまった。その子供は穏やかな瞳を一変させ、烈火のごとく目を吊り上げ、俺を罵倒し殴ろうとしてきたのである。
私は生憎と道徳を携えずに生まれたものだから、どうして怒っているのかとんと分からなかった。
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