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    ぴスタ

    @ginnan_ark、現ぴスタです。
    自分の性癖に正直に生きています。
    こっちはルーレット無しで書いてってます。

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    ぴスタ

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    #aknkプラス
    🦾×🌸様
    名前の話
    前のTwitterに載せたお話を広げてみました
    ※キャラ崩壊

    名前は最初の呪いらしいけど増えたらどうなるんだろうね名前は最初の呪いらしいけど増えたらどうなるんだろうね
    ふと思い出したが、うちの主様は変わった名前を名乗っている。
    本名、にしては凝っているというか……そう、違和感があるんだ。
    それに気づいてから、居ても立っても居られねぇほどでもないがなんというか、喉に魚の小骨が刺さったような気持ち悪さがある。
    それを取り除くためにも、聞いておいて損はないだろ。本名だったとしたらそん時はそん時だ。

    「主様」
    「何?🦾」
    「失礼だが、主様のその名前は本名なのか?」
    「マジで突然過ぎてびっくり。当たり前じゃん」

    さも当然の様に答えた主様にまあ当然か……と思った。偽名を名乗るほど頭が弱いか、単に平和ボケしているかが俺の所見だったからだ。

    「偽名だけど」
    「は?」
    「なんなら誕生日も嘘だよ」
    「事実が一つもないってことかよ……」
    「そうともいうね」
    「そうとしか言わないが?」

    前言撤回だ、主様は存外強からしい。知らなかった事実に驚きはするが、警戒心があって安心した部分もある。ちゃんと自衛できるに越しはことはないしな。
    だが、ここに来てもう随分と経つ。俺や俺以外の人間についてもある程度知れたと思うんだが、なんで伝えねぇんだ?

    「まあさ、その名前でみんな覚えてるし困ることもないかなって」
    「困るだろ。呼ぶ時とか」
    「え?その名前で通してたりする場合あるから別に困んないよ」
    「……そーかよ」

    俺の心を読み取った様に主様はそう答えると、紅茶を口にした。
    こっちとしては騙されていた様な気分になるんだが、気づかないのかこのお人は……まあいいか。今聞いて知っても問題ねぇだろ。

    「んで?」
    「何?」
    「本当の名前はなんて言うんだよ主様」
    「え、別に良くない?今の名前が浸透してんなら」
    「良くないって思ってっから聞いてんだよ。ほら、早く教えろ」
    「ええ……どうしようかな。口外しない?」

    一つ思案して主様がそう尋ねる。困る事はないだろ、と思うんだがどうもそうじゃないらしい。感受性豊かというか、慎重というか……まあこの人の気遣いのできる部分は美点だと思うが、もう少し肩肘張らずにいて良いだろ。

    「……分かった、口外しない」
    「その間が怖いんだけど。まあいっか」

    主様が呟いて全く別の名を転がす様に口にした。俺たちが聞いていた名前とはまた違うその名は、どの単語よりも『らしい』名前に感じて胸にちょうどよく収まった。
    これを誰でもない俺だけに話したと思うと、心のどこかに仄暗い悦びが満ちる。

    「他言無用にしておくさ。絶対に、な」
    「なんだか怪しいけど……まあいいや、吐いた唾は戻せないってね。信頼しておくよ」
    「ふはっ、俺を信頼ねぇ。まあ、悪くないな」
    「どこ目線?それ……いや、気にしたら負けか」

    ため息を一つついてティーカップの取っ手をいじる姿はどこか優雅さがある様に感じた。前の茶会の訓練のおかげもあるんだろうが……それだけじゃない様に思えるのは気のせいじゃねぇな。
    だが、あまり自分のことを語りたがらない主様のことだ。あえて触れないようにしておくか。
    菓子に用意していたスコーンを割って、クロテッドクリームとジャムをつけて齧る主様を眺めて頬緩む。

    「あの、そんなに見られると気まずいのだけど」
    「知ってる」
    「見ないでいただきたいんですが?」
    「そりゃ申し訳ないができない約束だな」
    「……はー、食べづらいんだけどな」
    「そういやそのジャム」
    「なんかあるの?」
    「うちで朝摘みされた薔薇を使ったジャムなんだと」
    「まじ?どおりでなんだか赤いのに苺の香りじゃないわけだ……」
    「苺ジャムと思ってたのかよ。後で🍽に感想でもいうと喜ぶと思うぞ」
    「そうだね、そうしようか」

    そう返すと、アッサムを飲み終える。眠気で少しめまいもするが、これくらいはいつも通りだ。幸い、このことに主様は勘づいてる様子はない。バレたら俺を担当から外すだろうことは容易に想像つく、絶対にそれだけは避けてぇな。

    「……🦾もここの皆も頑張るねぇ」
    「何のことだ?」
    「さあ?なんのことだろう」

    ―前言撤回、こいつはバレてるな。
    だが俺が言わねぇ限り、主様は何も言わねぇスタンスなんだろう。
    ……そういった姿は見せるつもりねぇんだが。
    目の前でお上品に紅茶を嗜む主様を睨みつけても、素知らぬ顔でいらっしゃることに無性に腹が立つ。

    「何かな?」
    「いや、うちの主様はえらく洞察力にだけでいらっしゃるなと思ってよ」
    「褒めてもここにあるスコーンしか渡せないからね」
    「褒めてない」

    呆れてため息を一つついた。
    主様は俺とは反対に笑って誤魔化していた。

    🎭🎭🎭

    「🦾、🌹を見なかったか?」
    「さぁな。少なくともここには来てねぇぞ」

    あくびをしながら🔧に伝えると、呆れたように額に手を当ててため息をつかれた。俺のせいでも何かしたわけでもねぇよ、こっち見んな。

    「もし見かけたらトレーニングメニューを渡すから来るように伝えてくれないか?」
    「なんで俺が」
    「お前が一番会う確率が高いからな」
    「……仕方ねぇな。貸し一つにしとくぞ」

    今度はこっちがため息をつく番になっちまった。面倒だが、後々この貸しを押し付けるのも悪くねぇ。
    それに、俺が動かずともおいおいこっちに来るだろ、🌹は。
    探し回って余計なエネルギーを使うよりも、待ってた方が効率がいい。
    ……そういえば、主様に誕生日のことを聞いてなかったな。また後で聞きにでも

    「あ、いた。おさぼりさん」
    「休憩と🌹が来るの待ってんだよ、サボりじゃない」
    「これはこれは、失礼いたしましたっと。んで、肝心の🌹は?」
    「生憎とまだ来てないな。用事か?」
    「この間の薔薇ジャム、品種は何を使ったのかなって気になっただけだよ。どんな薔薇かも見たいし」
    「へぇ、勉強熱心なことで」
    「そんなんじゃないよ、ただ少しでもここに馴染もうとしてるだけだし」
    「……あんま気ぃ張りすぎんなよ」

    まさかタイミング良く来るとは思わず、驚いたが平静を装って会話をする。相変わらず神出鬼没なことで。
    隣に座り込む主様の髪に少し触ると、撫でろと言わんばかりに頭を押し付けてきた。執事に頼むことじゃねぇだろこれは。仕方なしに撫でてやるが。

    「これでも気を緩めてる方なんだけどな」
    「まだ弓の方が緩んでる方だろ」
    「えっそんなに?うーん……これ以上緩めると君達が居ないと生きていけなくなってしまいそうだね」
    「良いだろそれで。困ることも無し」
    「ダメでしょ、いつか天使との戦いが終わってもうこの世界にこないってなったら何もできなくなるじゃん」

    乾いた笑いを浮かべてそう答えると、遠くを眺めて息を吐いた。そんな顔をさせたくて俺は言ったわけじゃねぇ。どっちかと言うと―……待て、俺は今何を考えた。

    「🦾?どうしたのさ、黙り込んで」
    「いや……そろそろ🌹が来るかと思ってな」
    「そう?まだ足音も聞こえてないけど」
    「悪い、気のせいだったみたいだな」
    「変な🦾」

    コロコロ変わる表情は見ていて飽きねぇ。木漏れ日の心地よさか、退屈からか分からねぇが主様があくびが一つこぼした。俺にも移ったらしくあくびが出そうになったが、心を許していると思われるようで癪だから噛み殺す。

    「遅いねー、彼」
    「だな。少し探しに行ってやるか」
    「そうする?なんかあったら心配だし」
    「……いや、主様に探させる執事がいるかよ。待ってろ」
    「ええ、一人より二人の方が早くない?良いじゃん良いじゃん」

    呆れて言葉が出ねぇ……。主様は部屋で待っててくれや、せめて。主らしからぬうちの主様は俺のその考えに気づくはずもなく、呑気に立ち上がると思い切り伸びをした。

    「さー、探しにいこっかあ」
    「……せめて部屋で休んでてくれ、主様。見つけたら連れて行くから」
    「えー?散歩にもなるのに」

    口を尖らせてぶすくれる主様を宥めて部屋まで送るか、と立ち上がろうとすると足早に草を踏みしめてこっちに来る気配が二つ。やっときたか。

    「🌹。🔧がトレーニングメニューを渡したいっつってぞ」
    「うげ、気づくの早過ぎません?こんにちはっす主様」
    「あっるじ様ー!さっきローズくんと主様のお話してたんですよ!まさかお会いできるなんて、ボク嬉しいです!」
    「こんにちは二人とも。どんなお話ししてくれてたか後で聞かせてね、🌟」
    「はーい!主様!」

    探す手間が省けて助かった上に言伝も伝えた。俺のやる事は終わったが、主様の聞きたいことが終わってねぇな。あっちは🌟の相手してるし、代わりに聞いておくか。

    「🌹、主様が今回ジャムに使った薔薇を聞きてぇらしいんだが」
    「ああ、あれはパパメイアンってやつっす。ここに咲いてるのとかそうっすね」
    「ここのだったのか……へぇ。インテリアに使うのも悪くねぇな」
    「枚数も大きさも華美で綺麗っすし、映えると思うっすよ」

    どこからか鋏を出して一輪切り取ると棘を取り除いて俺に渡してきた。こいつを見ながら新しいインテリアを……壁紙やカーテンを新調して、後は家具の配置をどうするかだな。資金のこともある、💰がまた本邸に行った時にでも依頼交渉を頼むとするか。

    「じゃ、主様失礼しますね、ローズくん!またねー!」
    「あっ🌟!掃除しないとまた💰さんに怒られるっすよ!」
    「後でー!」
    「待つっす🌟!主様、失礼します!」
    「……あいつらは嵐かなんかか」
    「元気があるのはいいことだよ」

    忙しない二人をまるで幼い子を見るような目で🌹達を見送る主様にため息が漏れた。このお人はどうしてこう、飄々としてるというかマイペースというか……そこも美点ではあると思うから仕方ない。
    あの二人のせいで話を忘れていたが、丁度良いか。

    「主様。聞きたい事があるんだが」
    「はいな、なんでしょ?」
    「名前を偽るのはわかるんだが、なんで誕生日まで偽ったんだ?」
    「あ、それ?名前だけじゃ不安だから念のため誕生日も、って感じかなあ」
    「……もしかして、誰かの誕生日や記念日だったのか?」
    「まっさかあ、適当に見た数字を並べ替えたらこうなっただけだよ」

    コロコロ笑う主様に何処か安堵した俺がいて困惑した。なんで安心したかは否定したいが、理解してしまう。畜生、なんでよりによって主様なんだよ……

    「🦾?お疲れなら休んだ方が」
    「大丈夫だから気にすんな。ほら、そろそろ戻るぞ」
    「わかった……本当に無理しないでね?」
    「無理してないから安心しろ」

    この感情をどう整理するかより、先に部屋に入れねぇと。季節の変わり目は特に風邪を引いちまう可能性が高いしな。まあ、🌹が切った薔薇を見せて主様に話題を振るのも悪くねぇ。

    「あ!🌹にジャムの事聞くの忘れてた!」
    「代わりに聞いといてやったから早く入るぞ、主様」
    「ほんと?ありがと、🦾」

    嬉しそうに笑う主様はある意味で心臓に悪いことを今まさに体験するとは思わなかった。

    🎭🎭🎭🎭

    そういや、主様の名前を言う場所は結構限られてるのとに気づいたのは部屋に送ってからだった。
    他言無用で知っているのは俺だけ、ともなると俺と主様だけの時にしか使えねぇ。
    意識させるにもってこいだが……俺がしてもいいのか?相手は別の世界から来た主様だぞ?

    「🦾?おーい、疲れてる?休む?」
    「……俺がこれくらいで疲れてると思われてんなら心外だな」
    「ごめんごめん。ぼんやりしてたみたいだから、気になっちゃって」

    俺の思考も知らず呑気に笑う主様の姿に少し腹が立つ。
    ……少し揶揄っても問題ないよな?
    さっき教えていただいた名前を主様の耳元で囁くように言うと面白いほど飛び跳ねて耳を抑えていた。

    「なっななっな、なん!?」
    「ちゃんとわかるように話してくれや、主様」
    「いやあの、え!?なんで突然」
    「今じゃないと使えないだろ。『コレ』は」
    「そうかもしれないけどさあ……!私もびっくりしちゃうから」
    「へぇ……驚くだけか、主様?」
    「えっと、あの、ぼ、🦾?」

    顔を赤くして目を白黒させる様子に少しだけ胸がすいた気がした。距離をとって笑いを堪えると、口を尖らせて怒る表情すら可愛いと思う。惚れた欲目、というか負けたような感覚がするが知らん。

    「もう、からかわないでよ。顔熱い……」
    「悪いな、あんまりにもわかりやすくてよ」
    「酷っ。名前を呼ぶのは確かに、今みたいな場合だけどそれにしても照れるというか気恥ずかしいから、その」
    「まるで熟れたりんごじゃねぇか、ふはっ」
    「誰がこうしたのさ!もう!」
    「さあ?誰だろうなあ?」

    照れ隠しか、頭ひとつ分下にいる主様の頭が俺の鳩尾に向かって頭突きをした。全然痛くねぇんだが……。
    むしろ攻撃した主様の方が頭抑えるってどんな状況だよ。

    「本当よく鍛えてるね!コブができそうだ……」
    「まさかそれで反撃したつもりか?本当主様は」
    「なに?愚かだとでも?」
    「いや?随分と可愛らしいなと思ってよ」
    「はー?キレそう。本気出したらシャイニングウィザードすんぞ」
    「これはこれは、失礼いたしました」
    「許さん本当マジ……顔と声がいいからってほんと、ほんとさあ……」

    怒ってんのか呆れてんのか分からねぇが、ずっと呟き続けている。少しからかいすぎたか……。
    軽く頭を撫でて髪を一房掬い上げて口付けて主様の名前を呼ぶと目玉がこぼれ落ちそうなほど目を丸くした。

    「からかいすぎて悪かったな、許してくれないか?」
    「えっあ、の、ひぇ……」

    呆れた顔からまた顔が真っ赤になっていくのがわかる。短時間に本当によく変わる表情だな、このお人は……。

    「なあ、これからもずっと俺だけにこの名前を使わせちゃくれないか?」
    「あ、ぅ……は、はい」

    真っ赤になった顔と混乱でぐるぐると回っている目が本当に堪らなくて心の中で舌なめずりした。
    早く俺だけを見てくれよ?主様。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ハナマル夢(?)
    ※本編2.5章、水龍の唄、ワインフェスティバルの内容に触れています。
    時系列的にはワインフェスティバル8話のあと。イベストを読み返していて感じたことをこねこねしました。捏造過多です。
    独白なので夢と言っていいものかわかりませんが、考えているのは主様のことなので一応夢ということにしておきたい。
    ないものねだり 宛てがわれた宿の一室でベッドに身を横たえたハナマルは、酒精が入ったわりに冴えてしまった目で、ぼうっと天井を眺めた。ついと利き手を天に伸ばす。緩く拳を握ると、掴んでおきたかった大事なものの記憶が脳裏を駆け抜けた。
     感傷的な気分になっているのは、ルカスを相手に過去の話をしたからだろう。まさか中央の大地に、燃え尽きた郷里のことを知っている人間がいるとは思わなかった。
    「百年経てば、か……」
     刺青を消したいと相談したハナマルに、刻まれた印は消えずとも人々の記憶のほうが風化すると、ルカスは言った。確かにそうだとハナマルも思った。
     だが、背に負った龍の意味を知るものがいなくなるのにそれだけ年月がかかるのだとすれば、彼が唯一と定めた主人がハナマルの出自を知る日が、いずれやってくるかもしれない。
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